研究課題/領域番号 |
21K02499
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
中山 博夫 目白大学, 人間学部, 教授 (80406561)
|
研究分担者 |
石田 好広 目白大学, 人間学部, 教授 (40783949)
多田 孝志 金沢学院大学, 教育学部, 教授 (50341920)
和井田 清司 武蔵大学, 総合研究機構, 研究員 (50345542)
成田 喜一郎 東京学芸大学, 教育学研究科, 研究員 (80456251)
峯村 恒平 目白大学, 人間学部, 専任講師 (50759371)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | SDGs / 学習スキル / コミュニケーションスキル / 情報活用スキル / 自己啓発スキル / 教師スキル / ファシリテーション / 総合的な学習の時間 / ファシリテーター / SDGs研究協議会 / 学習・教師スキル / 教師教育 / ESD / 共創型対話 / 学習方法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、SDGs(持続可能な開発目標)に対応した教師教育に資する学習スキルを開発する。それは、ESD(持続可能な開発のための教育)を推進するためのものである。その学習スキルのアクティビティーにはSDGsに関する最新の情報と学習理論を付し、小さな研修の積み重ねで教師の意識や実践力を培うことをねらっている。学習スキルの開発とインターネットによる普及活動を通して、学校教育におけるESD実践の活性化に貢献したい。
|
研究実績の概要 |
SDGsに対応した学習スキル(コミュニケーションスキル、情報活用スキル、自己啓発スキル)と教師スキル(ファシリテーション)を開発してきた。総合的な学習の時間と生活科を実践の場とするSDGs学習において、課題設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現に、学習スキル、体験活動を関連させた。すなわち、課題設定においては、実践者がSDGsの視点をもって体験活動を行い、そこでの気づきから課題設定を行う。情報の収集においては、情報活用スキルを活用する。整理・分類のためには、情報活用スキルとコミュニケーションスキルを活用する。まとめ・表現においては、コミュニケーションスキルを活用するという流れである。 コミュニケーションスキルは、始業前や余裕のある時に、スキル学習のアクティビティを実施してスキルを磨くと共に、対話型の授業実践を継続する。また、学習の並走者としてのファシリテーションとしての教師スキルに心がけ、児童の探究学習を支援するようにする。そして、自己啓発スキルを活用して児童の自己肯定感を高めながら協同的な探究学習を推進するという考えで学習スキル・教師スキルを組み立てた。 それを学校現場に普及させ、学習スキル・教師スキルの有効性と、実践者としての教師の意識変化を調整する予定であった。鹿児島県大崎町教育委員会と提携して、大崎町の小学校・中学校の全教員を対象とする研修会を実施する予定であったが、台風のために実施不可能になってしまった。東京都奥多摩町立古里小学校と提携して、校内研究の中で学習スキルの普及を図ることは進めることが少しずつ実施できた。だが、まだまだコミュニケーションスキルを教員が使いこなせていないのが実情である。 2024年度にはスキル学習研修会と全教員が行う研究授業を通して学習スキル・教師スキルの普及を図り、学習スキル・教師スキルの有効性と教員の意識変容の調査を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
考案した学習スキル・教師スキルを鹿児島県大崎町の小学校・中学校の全教員を対象とした研修会を実施して、学習スキル・教師スキルの普及を図る予定であった。だが、台風の影響で航空機が飛ばず、研修会自体も中止になってしまった。大崎町の教員への学習スキル・教師スキル普及は頓挫してしまった。ただでさえ、コロナ禍のために対面での学習スキル・教師スキルの普及ができなかったのだが、これは大きな痛手となった。だが、2023年度に東京都奥多摩町立古里小学校の校内研究と提携でき、少しずつではあるが学習スキル・教師スキルの普及を進めることができた。 古里小学校では、まず第4学年の総合的な学習の時間の研究授業に関わった。練馬区の小学校の児童が古里小学校を児童が交流するということが行われていた。奥多摩のよさを伝えようという実践であったが、実践者は図書室の資料をまとめて発表させる指導を考えていた。体験活動も対話もないという計画だった。それを奥多摩の自然にふれる中で、奥多摩のよさを見つける内容に変えることができたが、まだコミュニケーションスキルが活用されたという状況ではなかった。次に第1学年の生活科での実践に関わった。夏休みにも古里小学校を訪問して、コミュニケーションスキルへの理解を諮った。奥多摩のよさを見つけようという内容なのだが、児童が課題を設定し、対話活動が成立した授業が実施された。第6学年では、奥多摩町の人口減少に実践者が着目して、空き家を活用した学習活動が展開された。これは他の地域における空き家活用の実践を、私が実践者に紹介して実施されたものである。児童は嬉々として活動していた。空き家を改造する、空き家をギャラリーにして展示物を飾る、YouTubeを作成して宣伝するといった三つのグループに分かれて活動した。だが、課題設定の時に活動の面白さだけが全面に出てしまい、SDGsにつながる学習にはならなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
奥多摩町立古里小学校のSDGsに関する校内研究において、学習スキル・教師スキルの研究会を実施して、学習スキル・教師スキルの普及を図る。そして学習スキル・教師スキルの有効性を検証し、実践者の意識変容を調査することが、本科研費研究のゴールである。 昨年度、研究授業の前には、実践者と一緒に授業実施計画に関わり、分かったことがある。実践者が失敗を恐れ、なかなか冒険できないことである。そのため、児童に任せて学習活動の並走者としてのファシリテーションを実行するのではなく、教師のコントロールで学習活動をまとめようとするのである。そのことも踏まえて、学習スキル・教師スキルの理解を図るとともに、実践者が教え込んだり、小さくまとめ込む学習活動とは質的に異なる姿勢を培うことをねらいとしたいと考えた。 4月4日に、古里小学校を訪問して、教職員と共に校内研究の方向性を考えた。5月に、学習スキル・教師スキルとは何かについての理解を深める研修会を実施できることになった。ここで、学習スキル、特にコミュニケーションスキルを磨き、それを対話型授業において活かす方法論を理解し、実践への姿勢を培うようにする。7月には総合的な学習の時間におけるSDGsに関する授業研究が予定されている。研究授業の前には、複数回古里小学校を訪問して、実践者と共に研究授業の在り方を検討する。10月の生活科の研究授業、11月の研究授業においても、同様に実践者と共に研究授業の在り方を検討する。つまり、私自身が実践者の並走者になって活動して、学習スキル・教師スキルの普及を図るのである。研究授業においては、古里小学校の教職員と共に児童を観察して記録を取り、学習スキルの有効性を研修する。 11月の研究授業終了後に、教師の意識変容のの調査を行い、学習スキル・教師スキルを活用した研究授業が教師教育に有用かを検証する。2月の研究授業の後にも同様な研究活動を行う。
|