研究課題/領域番号 |
21K02511
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
中村 好則 岩手大学, 教育学部, 教授 (00613522)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 高校数学 / 特別支援教育 / 学習困難 / メタ認知 / 授業デザイン / 特別支援 |
研究開始時の研究の概要 |
高校にも障害の有無に関わらず学習に教育的支援が必要な生徒が多く在籍し,年々増加している。彼らへの指導は数学教育でも重要な検討課題である。しかし,彼らへの支援は学習活動の支援が多く,数学の学習内容の困難性や数学学習に関するメタ認知の支援が必ずしも効果的に行われておらず,十分に成果を上げていない。そこで,本研究では,高校での数学学習に支援が必要な生徒を対象に,彼らの困難性とメタ認知を同定し体系的に整理するとともに,彼らの数学学習を支援する授業デザインの開発し,開発した授業デザインの有効性を検証し,研究成果の普及と高校の数学指導の改善を図る。
|
研究実績の概要 |
1年目の研究において,同定することができた高校における数学学習に支援が必要な生徒の困難性とメタ認知を精緻化するとともに構造化を図った。さらに,高校における数学学習に支援が必要な生徒の困難性とメタ認知を改善するための授業デザインをPDCAサイクルで開発した。そのために,授業デザインを開発するための研究協力校を選定し,研究協力を依頼した。開発した授業デザインは,①困難性とメタ認知の実態把握の方法,②困難性とメタ認知の体系化をもとに,各困難性とメタ認知の関連を考慮した支援,③多層指導モデルを参考にした,多数の生徒に見られる困難性とメタ認知(第1層),少数の生徒に見られる困難性とメタ認知(第2層),特定の生徒に見られる困難性とメタ認知(第3層)に対する多層的な支援,④プログレス・モニタリングを参考にした指導の評価の方法,⑤ICTの活用の5点を検討し開発を行った。また,数学に関する側面(数学的な意味や概念,数学的な見方や考え方,数学的活動など)と学習者に関する側面(認知特性の分析,方略の選択的採用,動機づけなど)にも留意し,授業デザインの開発を行った。今回の開発では,複数の開発協力校の協力を得ることができ,学校現場の実態とニーズに応じた授業デザインの開発ができた。また,今までの数学教育研究の困難性やメタ認知に関する研究の多くは小中学生が対象であり,高校生を対象とした研究はほとんどないのが現状であった。高校生の数学学習の困難性は,小中学校までの困難性が残っているだけでなく,高校数学の内容の高度化・抽象化や生徒の発達段階なども関連し,より複雑の様相を呈しており,大きな課題であった。今回の研究はその課題の改善を目指したものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に同定することができた高校における数学学習に支援が必要な生徒の困難性とメタ認知について,昨年度とは異なる高校においても同様の調査を再度行い,精緻化するとともに構造化を図ることができた。また,コロナ感染症の影響で研究協力校への訪問回数は少なかったが,ビデオ記録の活用やオンライン会議によって,その分を補うことができ,高校における数学学習に支援が必要な生徒の困難性とメタ認知を改善するための授業デザインを開発することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は,開発した授業デザインをもとに,実践協力校で指導実践を行い,授業研究を通して,その有効性を検証するとともに,開発した授業デザインの改善を図る。授業記録のビデオ分析,ノートとワークシートの分析,授業後の指導者と学習者へのインタビュー調査等を用いて有効性を検討する。これらにより,各指導場面での有効性をより具体的に検証可能と考える。また,本研究の成果を,研修会の開催,ハンドブックの作成,学会や国際会議での発表などを通して,高校現場への普及を図り,高校での数学指導の改善を行う。
|