研究課題/領域番号 |
21K02530
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 福山市立大学 |
研究代表者 |
森 美智代 福山市立大学, 教育学部, 教授 (00369779)
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研究分担者 |
光本 弥生 広島修道大学, 人文学部, 教授 (80280155)
倉盛 美穂子 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (90435355)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 虚構体験(文学体験) / 保幼小接続 / 自立と共生 / 子ども理解 / 集団づくり / 文学性 / 接続カリキュラム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「虚構世界との往還から自立と共生を目指す校種横断型の保育・教育プログラムの策定」を目的としている。そのために、多様な価値観が併存する社会を生きる子どもたちが自立・共生していくための保育・教育プログラムを構想し、保幼小中それぞれの学校種において実践的に検証する。具体的には、ごっこ遊びや文学教育が可能にする虚構(文学)体験に着目し①子どもの発達と虚構性(文学性)との関連に関する解明②虚構体験による自立と共生の集団・教室づくりの解明③発達に応じた保育・教育プログラムの開発と検証を中心とした研究を行う。本研究は、学問的な理論知と、各学校種で蓄積された実践知とが統合する複層的な学際研究となる。
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研究実績の概要 |
本研究では、下記の①から③を、【理論研究】【調査研究】【実践研究】の3方向から、相互に関連させつつ、螺旋的に実施してきた。すなわち、①子どもの発達と虚構性(文学性)との関連に関する解明、②自立と共生に関する集団・教室づくりの解明、③発達に応じた保育・教育プログラムの開発と検証である。本年度は、②を中心として、③につなげていくための【調査研究】を実施した。 具体的には、研究協力校において小学校2年生の教材「スイミー」(レオ・レオニ)を用いた文学の授業単元を観察調査し、全単元のビデオデータとエピソードデータ収集した。学級担任へのインタビュー調査の音声記録も収集した。対象学級は、単学級の全15名という少人数学級で、不登校の女児1名と座っていることが困難な男児1名を含んでいる。本研究では、この男児1名に着目し、男児の実態と、集団・教室づくりについて考察を行った。 当該男児は、授業中でも構わず床に寝転がり、ごろごろと横に転がりながら過ごしている。その日も、コの字型で広く空いた真ん中のスペースで、転がりながら授業に参加していた。子どもたちによる一斉音読が始まると、男児はそれに合わせるように、足を曲げたり手を伸ばしたりしながら天井を向いていた。一緒に音読をしていたかどうかはマスクをしていたためわからなかったが、リラックスした様子は伝わってきた。この男児を、授業に参加できていないと評価するのが正しいのか。本研究が論点としたのはこの点である。 少なくとも、授業に参加する気持ちがないのであれば、教室から出ていくこともできる。現に、3年生になって学級担任が変わった結果、男児は廊下や階段で寝転ぶようになった。「スイミー」の教室は、男児にとって、そこに居たいを思える場所だったのではないだろうか。 以上のような観点から、収集したデータをもとに、自立と共生に関する集団・教室づくりの解明を行なっていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力者である小学校教諭が病気休養のため急遽休職することとなったため、追加のインタビュー調査等の研究協力が得られない状況となっているため。
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今後の研究の推進方策 |
追加のインタビュー調査を予定していたが、当該の学級担任の休職に伴い、現在収集済みのデータを用いて可能な分析や考察を行う予定である。さらに、学級担任が変わった後の対象児童の様子について、研究協力校の他の教員たちから情報を集め、追加インタビューの不足分を補いたい。 その上で、発達に応じた保育・教育プログラムの開発と検証に向け、具体的な授業実践を構想し、それを研究協力校(複数準備している)で実施することで、その妥当性について検証していきたい。
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