研究課題/領域番号 |
21K02541
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
両角 達男 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (50324322)
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研究分担者 |
荻原 文弘 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30846390)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | スパイラル / 学校代数 / カリキュラム / 学習の深化 / 協働型探究 / 例で考える / 数学的探究 / 教授実験 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、スパイラルを重視した数学的活動による学校代数カリキュラムの開発と、そのカリキュラムに基づく代数学習の深化を促す協働型探究の様相の解明を行う。スパイラルによる学校代数カリキュラムの開発では、小中高連携による「深い学び」を志向した学校代数に関するカリキュラムの開発を行う。また、代数学習の深化を促す協働型探究の様相について、児童・生徒の協働型探究の特徴の明確化、協働型探究の記述枠組みの精緻化、算数・数学の授業における協働型探究の効果、学校代数に関わる知識の成長過程と協働型探究との関わりの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、スパイラルを重視した数学的活動による学校代数カリキュラムを開発するとともに、そのカリキュラムに基づく代数学習の深化を促す協働型探究の様相と学習効果を解明することである。この目的に向けて、令和5年度は、「乗法九九表にひそむ性質を見いだし文字式で説明する数学的探究」に関する代数カリキュラムを開発し、そのカリキュラムによる学習効果や協働型探究の様相についての考察を進めた。 例えば、9の段までの乗法九九表をもとに、乗法九九表にある数を一度だけ用いて和が81となる加法の式を多様に表現する数学的活動では、乗法九九表にある数の配置やその構造への関心を高めたり、集合と要素の関係を直観的に捉え、演算に関して閉じることの素地を意識したりする生徒の動きが見られていた。また、見いだした乗法九九表のもつ性質を文字式を用いて説明すること、文字の表す数の範囲を拡げて文字式での説明を解釈し直すこと、和が奇数となる加法の式を導く過程やその振り返りの中で、奇数のもつ特徴を再発見すること等の、探究活動の様相を明らかにした。また、乗法九九表のもつ性質について、具象性や可動性をもつ典型例とその働きに注目しながら、文字式で説明したり、解釈を進めたりする生徒の動きも見いだされた。この学習を含む、中学2年の単元「文字式」の教授実験における生徒の学習過程の質的分析を進めている。また、同一教師による「三角形や平行四辺形の基本的な性質などを具体的な場面で活用すること」等の教授実験に関わる授業データの分析を通して、知識の形成過程との関わりについても考察を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の研究目的である、数式および文字式による説明・証明および複数の領域を融合した学習などに焦点をあてながら、スパイラルを重視した数学的活動による学校代数カリキュラムの開発と、そのカリキュラムに基づく単元「文字式」の学習等で協働型探究の様相と学習効果の考察を進めている。単元「文字式」の教授実験、図形分野も含めた複数の領域を融合した授業について、実践およびその質的分析に関して、横浜国立大学教育学部附属横浜中学校の教員との協働研究の体制をとり、授業の中で顕著にみられた協働型の学習過程の抽出等も試みている。また、反省的抽象と例で考えることとの関係、学習の深化と知識の成長に関わる理論的な考察も継続して行っている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、複数の領域の学習や複数の単元の融合に焦点をあてながら、スパイラルを重視した数学的活動による学校代数カリキュラムの開発と、そのカリキュラムに基づく代数学習の深化を促す協働型探究の様相と学習効果の解明を進める。例えば、方程式と関数の学習内容の相補関係に着目した、中学3年の教授単元を開発し、その単元における生徒の代数学習の可能性を明らかにする。その際、教職大学院生による授業実践と熟練の教師による授業実践との比較・分析等も試みたい。また、数式および文字式による説明・証明における、図や図形を用いた解釈や説明との相補関係に着目した単元を開発し、その単元における生徒の代数学習の可能性を明らかにする。その際、高校の数学Ⅱの「いろいろな式」と中学3年の「式の展開と因数分解(多項式)」の内容を関連づけるなど、中高連携の視点も重視する。小学校算数においても、スパイラルを重視した数学的活動による学校代数カリキュラムの開発を試みる。また、反省的抽象と例で考えることとの相補関係、学校代数における協働型探究に関する理論的考察を進める。さらに、学習の深化を促す協働型探究と「批判的思考や創造性」との関わりについても理論的考察を進める。
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