研究課題/領域番号 |
21K02558
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 玉川大学 (2022) 松蔭大学 (2021) |
研究代表者 |
立野 貴之 玉川大学, リベラルアーツ学部, 准教授 (50564001)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ビジネスゲーム / マルチタスク / 情報Ⅰ / アイトラッキング / 視線追跡 / AI(人工知能) / スマートフォン / 非認知能力 / 教科「情報」 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、継続した一連の研究からビジネスゲームを利用した教育プログラムにおいて、1.マルチタスクを制御し優先順位の仕分けをしている若者は多く、2.よりマルチタスク制御できる人はビジネスゲーム成績が高い、ことを明らかにした。しかし、学習中のマルチタスク制御は重要である一方、その詳細は明確ではない。本研究では、視線追跡(アイトラッキング)技術とAI(人工知能)技術を活用し、ビジネスゲーム学習時のマルチタスク制御の要因を明確にした上で、教育プログラムを開発することが目的である。研究全体を4年とした詳細な分析と実践によって、2022年から始まる新学習指導要領の「情報Ⅰ」にも対応可能な成果が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、高校生のマルチタスク制御における情意的側面に影響を与える要因を明確にし、より充実した学習支援を組み込んだビジネスゲームの教育プログラム開発である。この教育プログラムでは、申請者が開発した同期型ビジネスゲームの「ビジネスゲームPrice Game」を利用する。2022年度は、以下の2つの成果を示した。
①まず、被験者を対象に複数人で会話やSNSの利用をしながら、タブレット、スマートフォン、PCを利用する日常場面、この3点を元にマルチタスク発生の特徴を抽出し分析を行った。その結果、ビジネスゲームの学習効果を高めるためのマルチタスク制御の可能性ついて、得られた知見の成果を発表した。 ②また、学生の目の動きに特化した分析を行うため、Tobiiアイトラッカーを利用し調査を行った。同時に、ビジネスゲーム学習のマルチタスクとの関係が高いと考えられる、非認知能力(社会情動的スキル)に関連する調査を行い、昨年度に引き続き非認知能力を測定するための探索的研究を進めてきた。
①の一部に関しては、雑誌(Information and Technology in Education and Learning)に投稿し4月に採択された。②の研究成果は、速報的に8月の国内学会で発表を行った。現在は、抽出されたマルチタスクの特徴分析を進め、AI学習用データを作成しながら、ビジネスゲーム学習におけるマルチタスクの類似性を評価するための準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
引き続きコロナの影響もあり、当初の予定にあった高校生を対象とした実践は延期となった。また、オンラインを利用した調査が多く、対面による実験が十分に出来なかった。そのめ、対面の実験によるデータ収集は次年度も継続が必要である。このため、研究計画にやや遅れが生じている、と考えている。
現時点において見出された成果から、今後は特にビジネスゲーム学習に影響を及ぼす要因をより詳しく調査する必要がある。質問紙やインタビューのデータ分析にとどまらず、狭義の学習支援から学習者の情動の制御の影響が与える学習支援全般にまで広げた調査・検討を対面で進めていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き視線行動の分析と、マルチタスクと非認知能力との関係について調査を続ける。また、Price Gameを利用した仮授業モデルの実践調査と分析、改良するPrice Gameの検証を複数回に渡り実施し、開発と検証の過程で問題発見と改良の相互作用を繰り返し、学習環境の質を高めていく。授業設計と学習環境の開発は、5月以降のコロナ状況を考慮しながら進めていく。そして、ここで開発した教育プログラムを検証していく。検証では、主に不十分であった高校生を対象に実践授業を行い、質問紙のデータを収集、参加者へのインタビューから多面的な分析を行う。マルチタスク拡充の追加調査、AIの精度向上、授業実践の評価については、引き続き実施する予定である。順調に進めば、仮授業モデルと評価のための授業実践は、冬季休業中の特別講座を利用して実施する予定である。
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