研究課題/領域番号 |
21K02559
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
曽山 和彦 名城大学, その他部局等, 教授 (50454418)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 学校不適応予防・解決 / 短時間グループアプローチ / ペア・グループ活動 / かかわりの力 / ソーシャルスキル / 自尊感情 / ソーシャルスキル・トレーニング / 構成的グループ・エンカウンター / 人間関係づくり |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、教師が日常的に活用できる高校生の「かかわりの力」育成プログラム開発を行う。本プログラムは「かかわりの力」構成要因として「自尊感情」「ソーシャルスキル」を想定し、それらの向上・定着に向け、(1)週1回10分の短時間グループアプローチ実施、(2)各教科等における「ペア・グループ対話」導入の2本柱からなる。本プログラムは既に小中学生に対する効果が示されている(曽山.2019)。それ故、同プログラムの「高等学校版」を開発することで「無気力」「ネットいじめ」等、「かかわりの力」不足に起因すると推測される問題の予防・改善を図ることができると考えられる。
|
研究実績の概要 |
研究2年次(令和4年度)は、予定通り、新たに対象校として指定した2校(愛知県立C校、大分県立D校)の生徒に対し、1年次同様、「試行版かかわりの力育成プログラム」(短時間グループアプローチ&各授業場面におけるペア・グループ対話)を実践し、質的・量的なデータ収集を行った。C校はヒューマンサービスを学ぶ専門高等学校であり、プログラムの開始は10月からである。一方、D校は、令和3年度より大分県下に全面導入・実施された「人間関係づくりプログラム」として、本申請者が提唱するプログラムに取り組み、2年目を迎えた普通高等学校である。そこで、プログラム効果を検証するため、C校がプログラムを開始する直前の7月に、両校生徒の学級適応状況の比較検討を行った。対象生徒は、両校とも1.2年生とし、効果測定の指標は「学級診断尺度Q-U」を用いた。 結果から明らかになったのは、プログラム導入2年目のD校生徒の適応状況が、導入前のC校に比較し、良好であるということであった。具体的には、「教師関係」「学級雰囲気」「承認」の3項目について、統計的に有意な差が認められた(D校>C校)。また、プログラムに関する独自アンケートを作成し、D校生徒に実施したところ、その中の1項目;「○○タイムは楽しいですか?」に対し、90%弱の生徒が「楽しい」と回答しており、高校生にとっても十分に受け入れられる「かかわりの力育成プログラム」であることが示唆されたと考えられる。 研究の最終年度となる3年次には、これまでに収集した4校のデータを整理・分析することにより、「高校生版かかわりの力育成プログラム」の完成をめざす予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大分県D校の実践は、令和3年度から全県下一斉の導入・実施がなされている「人間関係づくりプログラム」に、本申請者の提唱する「かかわりの力育成プログラム」を採用・活用していることから、大分県教育委員会からの協力が得やすく、参観及びデータ収集等、スムーズに研究を進めることができた。一方、愛知県C校は、管理職の協力は得られているものの、プログラム導入への全校的な共通理解に弱さがあった。そこで、6月に、本申請者による「生徒向け講演」を行い、管理職との連携のもと、少しずつ理解・啓発を図り、10月からプログラム導入を行うことができた。 研究2年次の成果は、第65回2本教育心理学会(2023年9月オンライン開催)において、発表予定である。また、2023年7月に発刊予定の、本申請者の単著;「超多忙でも実践できる! スリンプル・プログラム~週1回10分の「◯◯タイム」で「かかわりの力」を育てる」(ほんの森出版)の中でも紹介している。
|
今後の研究の推進方策 |
研究3年次(令和5年度)は、研究の最終年次、まとめの年である。これまでの対象4校の中で、最も成果を上げ、校内の実施体制が整っているのは大分県立D校である。大分県では、本研究がスタートした令和3年度、偶然にも「人間関係づくりプログラム」が全県下の学校に一斉導入され、D校は、本申請者の提唱する「かかわりの力育成プログラム」を採用・活用している高等学校である。そのような理由により、本研究の主題;教師が日常的に活用できる高校生の「かかわりの力」育成プログラム開発に向け、D校の実践及び収集データがエビデンスになり得ると考えられる。それゆえ、年度内、可能な限り、直接D校を訪問し、生徒の様子を参観するとともに、管理職、実践推進担当者と協議を重ね、さらにエビデンスの積み上げを行いたいと考えている。一方、D校以外の対象3校(A校、B校、C校)からは実践過程における様々な課題(定期的な実施が難しい等)が示されている。それらの課題について、D校ならばどのように応えるのか、考察することで、より活用しやすいプログラム開発ができると考えている。
|