研究課題/領域番号 |
21K02560
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
横山 真理 東海学園大学, 教育学部, 准教授 (70784601)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 構成活動 / 探究 / 協働 / 社会的相互作用 / 問いの生成 / 音楽に対するイメージの再構成 / 「構成活動」を原理とした音楽科授業 / 学習プログラムの開発 / 個のイメージの再構成 / 学習環境要因 / 「構成活動」 / 音楽表現 / イメージ / 授業書要因の関連構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「構成活動」を原理とした音楽科授業において学習者が活発に関わり合って学んでいる場面を分析する。それだけでなく、学習者同士の関わり合いのない音楽演奏の個別レッスンの場面、さらには音楽演奏家が個人的に音楽演奏の工夫を行う場面も分析し、三つの場面の分析結果を比較検討する。このように社会的相互作用の活性度の異なる複数の場面を分析し比較検討する方法を通して、社会的相互作用が音楽表現の過程における個のイメージの再構成メカニズムに及ぼす影響の特徴を明らかにする。本研究を通して、時間と空間を共有する場で人と人がイメージを媒介に関わり合って学ぶことの意義を改めて浮き彫りにすることが期待できる。
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研究実績の概要 |
2021年度は、本研究課題を遂行する上で必要となる音楽科の研究授業の開発と授業実践の諸記録の収集について研究協力者(授業実践者)との連携のもとで取り組み逐語記録に基づく授業分析を行った結果、学習環境要因としての共用の学習道具(楽譜など)が学習者間の社会的相互作用を触発する重要な要因となっていることを見出した。 2022年度も、複数の研究協力者と協働で「構成活動」を原理とした音楽科表現領域や鑑賞領域の授業デザインを開発し、複数の学校での研究授業の参与観察を行いながら授業実践の諸記録を収集し、逐語記録に基づく授業分析を行った。研究成果は、新たに以下の学習指導案を研究協力者と協働開発し、授業実践の諸記録を収集することができたことである。 1.表現領域器楽分野の単元「奏法と音色または調子を意識した箏の演奏」(中学1年)。 2.表現領域歌唱分野の単元「フレーズを意識した《エーデルワイス》の演奏」(中学1年)。3.鑑賞領域の単元「リトルネッロ形式または旋律を意識した《春》より〈第1楽章〉の批評」(中学1年)。4.鑑賞領域の単元「動機(モティーフ)を意識した《交響曲第5番》より〈第1楽章〉の批評」(中学2年)。5.鑑賞領域の単元「旋律と伴奏の重なりを意識した《展覧会の絵》の批評」(中学1年/高校1年)。6.鑑賞領域の単元「ギターの奏法と音色を意識した《アルハンブラの思い出》の批評」(中学3年)。 以上の研究授業によって収集した授業実践の諸記録の分析により、学習者が協働で音楽表現を探究する過程においては、学習者自身が連続的に生成する「問い」が探究を持続させる主要因となっていること、「問い」それ自体に音楽に対するイメージが包含され、「問い」の連続的な生成を通して音楽に対するイメージの再構成が起こっているという示唆を得た。以上の研究成果を、学会発表や成書の出版により公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者と学習指導案について具体的な検討を重ねながら、協働的な探究過程を軸とした音楽科授業を多く開発することができた。不定期的なオンライン授業研究会や対面による教材開発研究会を実施し、学校や校種の異なる複数の研究協力者と協働で授業研究を推進することができるようになっている。それにより、個のイメージの再構成がどのよ うな社会的相互作用の影響を受けているのか分析するに値する授業実践記録を十分に収集することができ始めている。また、授業研究を通して得られた知見をを学会での口頭発表や成書の出版により公開することができた。以上のこと から、本研究は概ね順調に進んでいると言える。 一方、本研究課題に関わる仮説モデルの設定については曖昧なままになっていることから、今後の検討課題として次年度に引き継ぎたい。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の課題として残された仮説モデルの設定について、次年度に検討する。そのために、先行研究や文献レビューを通して思考・イメージ・感情など 個の精神活動と社会的相互作用の影響の関連に関して理論的検討を深めたい。特に、音楽表現を協働で探究する過程において、多様な学習者同士がどのように言語的な媒体 (擬音語・話し言葉・書き言葉など)や非言語的な媒体(身体動作・色や形・口ずさみ・音や音楽など)を組み合わせながらイメージを伝え合い、その結果として個 のイメージがどのように再構成されていくのか、音楽科授業実践の分析に基づく研究が乏しいためよくわかっていない。そこで次年度も、継続して研究協力者と 協働で学習指導案を作成しながら、それに基づいて実践される授業の参与観察を行って授業実践の諸記録を収集し、分析視点を定めて授業分析に取り組みたい。このような授業実践の諸記録に基づく授業分析によって得られた示唆について、先行研究や文献に基づく理論的検討を参照しながら考察を深め、仮設モデルを生成したい。
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