研究課題/領域番号 |
21K02580
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
幾田 伸司 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00320010)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 国語教科書 / 説明的文章 / 教材史 / 中学校 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦後期の中学校国語教科書に採録された説明的文章教材を対象として、学習者に提示された教育内容と、それを学ぶためのカリキュラムの変容過程を明らかにすることを目的としている。具体的目標として、次の2点を設定する。 ① 戦後期における中学校説明的文章教材史の総体的記述 ② 中学校教科書で提示された説明的文章教材のカリキュラムの解明 本研究の遂行にあたっては、「(1).説明的文章教材データベースの作成」「(2).中学校説明的文章教材で扱われた題材・内容の類型化と変遷記述」「(3).各時期のカリキュラムの検証と変容過程の検討」の3段階を予定している。
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研究実績の概要 |
本研究は、戦後期の中学校説明的文章教材の採録史を総括的に記述し、学習者に提示された教育内容の変容を明らかにすることを目的としている。基礎資料として、教材採録状況、扱われている題材・内容等の情報を合わせた説明的文章教材データベースの整備を行っている。 本年度は、昨年度に引き続き、教科書研究センター附属図書館での教材本文の収集とデータベースの整備を進めた。また、作成したデータベースに基づいて、昭和62年度から令和3年度の期間に刊行された教科書での教材採録状況の全体像について検討を行った。 この期間の刊行教科書は44種で、採録された説明的文章は筆者数291人、教材数348編、延採録数は593回であった。延採録数が5回以上の筆者は18人いるが、桑原茂夫「ちょっと立ち止まって」、河合雅雄「若者が文化を創造する」、呉人恵「『ありがとう』と言わない重さ」、富山和子「暴れ川を治める」、龍村仁「ガイアの知性」、早川文代「食感のオノマトペ」、安田喜憲「モアイは語る」など、長く採録された教材の筆者の採録数が多くなっている。森本哲郎、池上嘉彦、伊藤和明は平成9年度あたりまでの前半期に多く採られ、平成24年度以降では池上彰、池内了、高槻成紀に複数の採録が見られるようになる。また、鷲田清一、野矢茂樹、内田樹等、高校教材に多く採録される哲学者の文章も近年には見られ、平成前半期に多かった森本哲郎や鶴見俊輔などと交替している。題材面で最も多かったのは「動物」で、次いで「言語」について論じる文章であった。「環境」は平成になって増えたトピックで、「動物」と重ねて生態系の破壊について論じる教材も増えている。動物園、図書館、遊園地などの大衆文化財を題材とする教材が増えたことも、平成後期以降の特徴である。、 これらの検討結果については論考として公表するとともに、作成したデータベースの一部を公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は説明的文章教材データベースを作成し、データベースに基づく教材採録状況の集計・分析を行った。データベース作成は、全教科書の調査を終え、教材名、筆者、教科書収載状況、採録教科書、題材を一覧化した目録を作成した。作成したデータベースに基づいて昭和62年度から令和3年度までの平成期に刊行された教科書に採録された教材の特徴について検討を行った。次年度は平成期の教材採録状況についての調査結果を公刊するとともに、昭和期に対する検討を行い、採録状況の全体像について研究発表等を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、説明的文章教材データベースの整備を終え、教材、筆者、題材・内容の時期ごとの特徴を検討している。今後、題材・内容等に関わる社会的背景とあわせて採録の要因について考察するとともに、採録期間が長い教材の文言や指導事項の異同を検討し、教材内容が書き換えられる背景を明らかにする。
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