研究課題/領域番号 |
21K02617
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
荊木 聡 園田学園女子大学, 人間教育学部, 准教授 (90881954)
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研究分担者 |
吉田 雅子 大阪体育大学, 教育学部, 講師 (00849698)
高宮 正貴 大阪体育大学, 教育学部, 准教授 (20707145)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 価値認識 / 自己認識 / 自己展望 / 道徳授業力 / 授業構想力 / 授業対応力 / 授業改善 / 理論と実践 / 価値の一般化 / 質的拡充 / 時処位 / セパレート式 / 体験 / 宿題 / 積極性 / 改善効果 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、現在の教科書の実態及び名著『道徳教育の構造』を著した村上敏治の理論から構想した「価値認識・自己認識・自己展望」の視座に着目する。 そして、教師用指導書に示された発問上の傾向と課題を掴んで改善すべく、この視座に基づく道徳授業を構想・実践するための力量形成の指標として、授業力の要素と階梯を明らかにする。特に、授業力の要素については、普段は知覚・視認できない授業者の内言にも着眼するものとする。さらに、得られた知見に基づき、確かな授業改善が得られることを実証する。
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研究実績の概要 |
本年度までに、学生や現場の教員を中心とした道徳授業を通して、「価値認識・自己認識・自己展望」の3視座を与える試みを行ってきている。価値認識に関わる発問づくりについては把握・理解がスムーズであるのに対し、自己認識の発問づくりに関しては、良否の個人差が大きく、理解し使いこなすまでには一定の時間が必要である。しかし、例えば「立場表明」を行った後の議論を深める上で、「一方の立場の根拠・理由が他方の根拠・理由としてもなり立つのではないか」という視点を基に、「成り立つとすれば、どちらの立場の理由を重く捉えるか」「成り立たないとすれば、両者で何が異なるのか」といった流れも一案として有効であることが分かってきた。 また、道徳授業の形態に関する研究では、セパレート式道徳授業の有効性について、家族愛を扱った授業実践を通して実証的に示した。ここでは、家族の足を洗うという課題を設けることで、より切迫感・現実感を活かした議論ができることを確かめることができた。 道徳授業力の一部として「教材作成力」を考えることができるが、従前までは、教材を作成し発問を考えるという流れが一般的であったが、発想を逆転させて、ねらいや発問をある程度明らかにしておいた上で、その発問が問えるような教材となるようプロットを取り、肉付けしていくという手順により、短時間に完成度の高い教材が作成できることが明らかとなった。 さらに、これまでの「発問並べ替え課題」に加え、「ねらいへの複数ルート課題(登山マップ)」を経験する有効性も、徐々に明らかになりつつある。一つの教材で考え得る発問を「価値認識」「自己認識」「自己展望」ごとに数多く考えておき、その中からねらいに肉薄するための発問を精選し、その順序を決定して終わりにするのではなく、その後、さらに幾つかの発問構成を、別の発問を選択して練り上げる経験を通して、確実にタクト力が高まると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍による影響で、研究の2年目・3年目に予定していた教育現場の授業参観機会が極めて少なく、道徳授業のビデオ撮影が4本程度に留まっているため。
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今後の研究の推進方策 |
実践面では、昨年度後半から、幾つかの学校現場の協力を得られるようになってきているので、本年度は、本格的に現場の授業に当たって調査していく。また、理論面からは、「自己認識」に関わる理解の促進方法と具体的な発問の類型化とともに、内容項目の深い理解が道徳授業の構想力や対応力にどう繋がるのかについても考察する必要がある。 追究発問力については、「発問・発言 登山マップの作成体験」を経験することが「発言に対する追究発問への瞬発力」を養成することに繋がることを明らかにする。 また、ある発問の効果を明らかにするため、当該発問単独と発問群全体を示す中での遣り取りの違い、あるいは、発問群全体を示す場合と当該発問を削除した発問群での遣り取りの比較については、調査対象者を増やして引き続き進める必要がある。
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