研究課題/領域番号 |
21K02624
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
金子 元久 筑波大学, 教育推進部, 特命教授 (10185936)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 大学教育 / 大学教育改革 / 高等教育史 / 大学教育の日本的特質 / 日本の大学 / ドイツの大学教育 / アメリカの大学教育 / 高等教育 / 大学教員 / 大学生 |
研究開始時の研究の概要 |
2010年近辺および2020年近辺の2回にわたって、それぞれ大学生、大学教員を対象として行った調査、および2000年のコロナ禍直後に行った大学教員調査、の5つの大規模調査(回答者のべ約6万人)をもとに、2000年代における日本の大学教育の実態を分析するとともに、長期的な視点からみた日本の大学教育の特質、21世紀に入ってからのその変容、そして将来への課題を理論的に整理する。
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研究実績の概要 |
この研究は日本における大学教育改革の実態を対象として、2010年前後および2020年に応募者が行った大規模の大学生、大学教員調査の結果をもとにして、大学教育の変化の分析を発展させるとともに、それを生じさせた要因を高等教育政策、高等教育をめぐるマクロ的構図の中で俯瞰的に検討することを目的とする。研究の第1、2年目においてはおもにこれら調査からのデータにもとずいて、大学教育の変化、そしてその背後にある、学生、大学教員の教育行動、大学教育の実態についての認知や、それぞれの行動の目的について分析を行った。 その結果として、日本の大学教員・学生の意識、行動は、大学教育をより学生に親和的な、いわば「親切」な方向に変化しつつあるものの、学生の学習行動そのものについてみれば、基本的な変化は生じていないことが明らかとなった。そしてその背後には日本の大学教育を形成してきた社会的、文化的な構造がある、と考えるに至った。そうした巨視的な構造が、大学での授業のあり方や行動などミクロな面を規定しているのである。 そうした構造の特質を把握するには、国際的な把握、特に日本が影響を受けたドイツ、アメリカの近代の大学教育がどのような特質をもつかを、その歴史にさかのぼって明らかにすることが必要である。しかもその際に、制度的な歴史ではなく、大学の教育が具体的にどのような形態、方法を用いて行われてきたかを明らかにすることが求められる。 このような観点から第3年度目には、中世ヨーロッパ、近代ドイツにおける大学教育の歴史的な変化を対象として、資料を渉猟し、整理を続けてきた。さらにアメリカのケースを加えたうえで、日本との比較を行うことが課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前述のように、本研究は大学教育の現状についての、学生、教師に対する大規模調査を出発点にするものである。それをほぼ10年をおいて繰り返し、その結果を比較することによって、いわゆる改革が具体的な変化をもたらしている部分と、そうではない部分があることが見いだされた。それが第一の発見である。それをさらに突き詰めれば、変化を拒む構造とは何か、という点になる。それについて、データ分析から制度や学生、教師の価値観、行動に容易に変化しない構造があることが明らかになってきた。これが第二の発見である。それに基づいて現在は、そうした構造を作り出した社会的、文化的な環境、歴史的な経緯に目を向け、ドイツ、アメリカとの比較を行っている。これによって、従来の議論に新しい基盤を与えることが可能となると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度においては、前述の流れの上で、国際的な比較の中で日本の大学教育の形成と現代的特質を新ためて明らかにし、それをもとにして、日本の大学教育の変化を拒む基本的な構造自体を変化させるためには何が必要かを分析したい。
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