研究課題/領域番号 |
21K02625
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
南 伸昌 宇都宮大学, 共同教育学部, 教授 (80292572)
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研究分担者 |
熊谷 朋子 宇都宮大学, 就職・キャリア支援センター, 准教授 (80823319)
久保 元芳 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (90451707)
石塚 諭 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (90793703)
久保田 愛子 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (90832907)
宮代 こずゑ 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (60800034)
大竹 洋平 宇都宮大学, 共同教育学部, 特任助教 (00508559)
長谷部 せり 國學院大學栃木短期大学, 人間教育学科, 准教授 (10989073)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | キャリア選択自己効力感 / キャリア教育 / 教員養成課程 / 教師効力感 / 自己効力感 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,教員養成課程を卒業する学生のうち,教職以外に就く3~4割の学生にとっても,大学での学びが実りあるものとなるための,キャリア教育プログラムの開発を行う。その効果検証の指標として「自己効力感」を用い,様々な職業に就く学生のライフキャリアデザインと教員養成課程での学びとを,有機的に結びつけるキャリア教育の実践に繋げていく。
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研究実績の概要 |
4-5月に1-3年生対象のキャリア選択自己効力感等に関するアンケート調査を行った。呼びかけの方法を改善し,9割程度の回収率を確保することができた。同じ集団の経年変化や異なる集団の学年による違い,集団間の違いなどの分析を進めている。 キャリア教育プログラムの開発の一環として開講している基盤キャリア教育科目において,外部研修会での助言などを取り入れ,授業の目標を「人生のキャリア設計」から「卒業までのキャリア設計」へと見直すと共に,人数制限やアイスブレイクの強化など,形式的な改善を取り入れた。その効果を,前年度と同じ調査を授業開始時と終了後に実施することにより評価した。「キャリア選択自己効力感」では下位尺度「目標選択」,「情報収集」において過半数の項目が,「深い学びアプローチ」では8つの項目中3つが,受講の前後で平均値が有意に上昇(反転項目では下降)していた。 2023年度は,教員志向の低い学生へのキャリア教育プログラムの開発・試行として,附属幼稚園における「幼稚園体験」を,1年生を対象に実施した。参加は2名で2時間程度の体験であったが,体験を通じて「幼児に対するイメージ」は大きく改善され,「自己効力感」,「教職志向」にもプラスの効果が見られた。実施後のインタビュー調査の結果から,幼稚園児とのふれあいを適切に設定することにより,教員を目指す上で重要な非認知能力「グリット」を強化し,教職を前向きに捉える機会を提供できる可能性を見出すことができた。 学生の教員志向に着目したキャリア選択自己効力感の背景プロセスの検討を行うために実施した,各種背景を持つ非教員就職学生へのインタビュー調査は稿起こしを終え,TEMにより分析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度初めに2名の研究分担者(分担者1,2)が急な退職によりチームを離脱することになり,役割分担の大幅な見直しを余儀なくされた。特に分担者1は当初からの参加で,本学全体のキャリア教育を担当する立場でもあり,キャリア教育プログラムの検討や,キャリア教育学会等との窓口的な役割を担っていた。全学で後任の人事は進んでいたが,新担当者と本チームとの関係構築は直ぐにはできず,年度後半から,まずは基盤のキャリア教育科目2科目の実施について相談を始めた状況である。キャリア教育プログラム開発に向けて,外部協力者として緩やかな連携構築を図っていきたい。 分担者2は参加1年目で,教育心理,データ分析の専門家として,他の分担者の業務過多を改善する意味合いも含めて,インタビュー調査や各種アンケート調査の分析等を担当することしていた。離脱により各種調査の実施や分析について,役割分担を見直すこととなったが,他の分担者の本務も立て込んでおり,思うように進めることが難しい状況であった。 このような状況下で1-3年生対象の キャリア選択自己効力感等の定点調査は予定通りに進められており,今年度は4年生についての調査も実施予定である。また,キャリア教育科目において,学内外の講師4名を確保し,様々な「人と関わる職業」について学ぶ機会の設定はできた。年度途中で附属幼稚園教諭を新分担者として迎え入れ,「幼稚園体験」の実施,分析を担当していただいたが,本年度より大学教員へ立場を変えたこともあり,幼稚園の専門家としてだけでなく,大学生の教育プログラムの検討やデータ分析等も分担し,チーム全体で研究をまとめられるよう検討を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
共同教育学部の初年次導入科目「新入生セミナー」においては,授業のコンテンツはほぼ確定したので,全体の枠組みを随時見直し,コンテンツの微調整を行うことにより,受講生の自己効力感を向上させるプログラムとする。基盤キャリア教育科目「人と関わる職業について考える」については,本授業の柱の一つである外部講師の講話について,「自己と社会の統合」の意識を持って受け止められるよう,事前学習の内容を追加するなど改善を図る。プログラム開発においては,受講の効果の評価が重要となるので,両科目を合わせた実施(前)後の調査項目の検討を進める。以上を,新入生セミナー実施WG,キャリア教育・就職支援センター教員等との連携も図りながら進めていく。 「幼稚園体験」は,試行により効果が見られたので,昨年度より規模を拡大して実施する。附属幼稚園や関係する委員会等とも連携し,学部のカリキュラムの中での位置付けも考えて行く。 効果的なプログラム設計・評価のために,「初めは教職志向が高かったが,最終的に別の進路を選択した学生」,「初めは教員志向が低かったが,最終的に教員という道を選んだ学生」,「初めから教員志向が高く,教員という道を選んだ学生」,「初めから教職志向が低く,教員以外の道に進んだ学生」4カテゴリーの学生へのインタビュー調査の分析を進める。それぞれのキャリア発達の特徴をMAXQDAでデータ整理しながらオープンコーディング・焦点化コーディングを行う継続的比較法を用いた検討を行う。また,教育学部全学年の学生対象の,4月時点における教員志向,キャリア選択自己効力感尺度の定点調査の分析を進め,教員志向とキャリア選択自己効力感の関連性を探る。 以上の結果を分析・整理し,開発したキャリア教育プログラムが教員志望度の異なる学生に及ぼす効果を検証し,国内外の学会・雑誌で報告する。
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