研究課題/領域番号 |
21K02679
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
松崎 丈 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (50400479)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ろう重複障害 / 手話 / 教育実践 / コンサルテーション / 専門性 / コミュニケーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、視覚障害および手指を主とする上肢の運動障害がなく、知的障害、発達障害あるいは何らかの発達の遅れを併せ有するろう児(以下、ろう重複障害児とする。視覚障害のあるろう児は盲ろう児として区別する)に対し、係わり手がろう重複障害児の行動をどのように観察・理解するのか、ろう重複障害児との手話を主とするコミュニケーションをどのように形成・展開するのかについて実践的に検討することで、教育実践の場において求められる視点や手立ては何か、それを支える基本方針は何かといった教員支援・研修のコンテンツ開発やコンサルテーションの進め方に関する基礎資料を収集する。
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研究実績の概要 |
本研究は、ろう重複障害児との手話を主とするコミュニケーションを検討することで、ろう重複障害教育に関する教員支援・研修のコンテンツ開発やコンサルテーションの進め方に関する基礎資料を収集することを目的としている。当該年度の研究業績の概要については以下の通りである。ろう重複障害教育実践の視点や手立てに関する心理学的実践研究として、2020年度から研究協力を得ている聴覚支援学校2校で、ろう重複障害児への教育実践をしている教員との協働でアクション・リサーチ及びコンサルテーションの手法を用いた実践研究を2023年度も継続することができた。A校では年2回(研究対象3事例)、B校では年3回(研究対象3事例)でデータ収集し、各対象事例のコンサルテーションによる事例の変化に関する知見が得られている。 また、2023年度がデータ収集最終年度となるため、A校とB校で先行して担当教員全員との意見交換も交えて研究成果報告会を行った結果、3年間にわたるコンサルテーションに対する担当教員全員のフィードバックが得られた。特に、①子ども理解の視点、②行動分析の手法、③指導の方針や手立ての検討、④共通する見識の蓄積の4つを1つのプロセスとして循環的に行うコンサルタントとの共同作業が担当教員全員にとって実践的見識の向上につながったとの示唆が得られた。これらも2024年度における本研究のまとめにも反映させることにする。 なお、2023年度は論文投稿や学会発表を行っていないものの、約40年間手話を基盤とする聴覚障害教育に関する実践・研究に取り組んでいる「ろう難聴教育研究会」が本研究に関心を向け、同研究会主催の講演会にてB校におけるろう重複障害教育に関する研究成果の一部を報告した。講演会では上記2校以外の国内の聴覚支援学校の教員が100名多く参加しており、結果として全国の聴覚支援学校への還元につなげる実績になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述した通り、ろう重複障害教育実践の視点や手立てに関する心理学的実践研究としてA校およびB校における事例データを収集することはできており、いずれも年2,3回(研究対象3事例)でデータ収集し、各対象事例に関する縦断的な観察及びコンサルテーションによる事例の変化に関する知見が得られている。 ただ、当初研究していた計画で2023年度実施としていた「手話を主とするコミュニケーションの形成や展開に関する教育的な視点と方法の体系化を試み、教育現場で実用可能な形にまとめて成果を発表すること」に関しては、2023年度に入って以降は学内の業務が非常に多忙となったために、次年度に行うことにした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画を遂行するため、2022年度に発表した査読付き論文2件、2023年度に発表した「ろう難聴教育研究会」の講演資料および2校での研究成果報告会における担当教員全員からのフィードバックをもとに「手話を主とするコミュニケーションの形成や展開に関する教育的な視点と方法の体系化を試み、教育現場で実用可能な形にまとめて成果を発表すること」を行う。 具体的には、学校教員およびろう重複障害児を持つ家族が使用することを想定し、同冊子に各校で収集したエピソード群を可能な限り多く掲載するとともに、ろう重複障害児とのコミュニケーョンの形成と展開につながる視点や手立てに関する方法論的な探求の結果を紹介することを目指している。 ただし冊子としてまとめるにあたって、ろう重複障害教育実践の足場となる理論体系も踏まえておく必要があるため、長年重度重複障害教育の研究および実践の実績に基づいて学校教員研修及び家族支援を実施してきた専門家のチェックや助言指導のもとで進めていく必要があり、すでに専門家1名に協力の意思を確認している。
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