研究課題/領域番号 |
21K02685
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
狗巻 修司 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (30708540)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / 反復的行動 / 自傷行動 / 常同行動 / 相互交渉 / 共同注意 / 情動調整 / 療育実践 / 保育者との相互交渉 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は自閉症スペクトラム障害の診断基準の一つに挙げられる「反復的行動」が有する適応的機能に着目し「反復的行動」の発達的変化・変容について検討する。具体的には,療育実践での観察等を通じて,①自閉症スペクトラム障害をもつ幼児と保育者との相互交渉でみられる情動調整場面において「反復的行動」がどのように『活かされている』のか,②保育者との愛着形成や集団活動への参加形態の変容プロセスに「反復的行動」が適応的機能を持ちうるのかについて検討を行う。 補助事業期間中を通して,療育場面での縦断的観察を実施し,保育者が「反復的行動」を『活かした』療育実践を展開するうえでの基礎的資料を提供することを目的とする。
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研究実績の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)児にみられる「反復的行動」と対人相互交渉における質的障害との関連を検討するため,2023年度は,1)関連する先行研究のレビュー,2)児童発達支援センターにおける療育場面の観察とデータ整理・分析,3)奈良女子大学大学院附属心理・教育相談室でのASD児への支援場面の観察・分析の3点を引き続き実施した。 先行研究のレビューでは,自傷行動と常同行動を中心としたASD児にみられる反復的行動について,先行研究の到達点と研究課題について整理した。とりわけ,近年の研究から,1)ASD児が示す自傷行動が不安の高さや情動調整の困難さと関連すること,2)反復的行動と情動調整の困難さが,ASD児者の社会的コミュニケーション機能の発達を阻害する要因となることの2点を見出すことができた。一方で,これらの研究はASD児の養育者や教師などの支援者を対象とした質問紙による検討が中心であり,反復的行動と対人相互交渉場面での行動の発達的関連について,ASD児の行動観察による検討が十分に行われておらず今後の研究課題として指摘されていることも明らかとなった。 また,2023年度は療育場面などでの行動観察も継続して実施し,1)ASD児が示す反復的行動の変容過程,2)共同注意を中心とした対人相互交渉場面での行動の発達的変化,3)反復的行動と対人相互交渉場面での行動の発達的関連の3点を中心にデータの整理と分析も実施した。分析の途中であるものの,現時点では,自傷行動には①前後の文脈とは無関係な自己刺激的理由で産出される自傷行動,②相手のはたらきかけを拒否するために産出される自傷行動,③自らの要求を伝達するために産出される自傷行動が存在し,これら3つの自傷行動は対人相互交渉場面での行動の発達と関連する可能性があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
療育場面などの観察も中断することなく実施できており,観察データの整理と分析も順調であるため
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今後の研究の推進方策 |
反復的行動についての先行研究のレビューを引き続き実施していくとともに,療育場面での観察を継続しつつデータの分析を進めていく予定である。とくに,これまで継続して観察してきたASD児を対象として,自傷行動と常同行動の変容過程と,共同注意を中心とした対人相互交渉場面での行動の発達的変化との関連について検討してくことを予定している。
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