研究課題/領域番号 |
21K02721
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
武居 渡 金沢大学, 学校教育系, 教授 (70322112)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 日本手話 / 聴覚障害生徒 / 評価 / 手話学習プログラム / 手話獲得 / 高等部 / ろう学校 / ろう学校高等部 / 教材 / 手話評価 / 手話 / 学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ろう学校高等部に在籍する生徒が手話を学習するプログラムを開発することを目的とする。プログラム開発を行うために、研究1でろう学校高等部生徒の手話力を定量的に把握し、研究2で内外の手話学習プログラムに関する資料を収集、分析を行う。研究3で、手話文法を柱としたろう学校高等部で使用する手話学習プログラムを開発する。研究4では、5校のろう学校高等部で手話指導を行い、プログラムの妥当性を検証する。これにより、日本語と手話の両言語を習得するろう者を育てることができ、手話使用者を増やすことで日本手話を消滅させないことにも寄与できる。
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研究実績の概要 |
近年人工内耳等により音声でのやり取りが可能な子どもが増え、ろう学校に在籍しても自然に手話を獲得、習得することができなくなってきた(武居, 2016)。特に高等部では、通常の小中学校からろう学校に転校してくる生徒が多くを占めるようになり、ろう学校に在籍しながら、手話を獲得、習得しないままろう学校を卒業する状況も増えてきた。 そのため、ろう学校高等部に在籍する生徒の手話力の実態をまず把握する必要があると考えられ、2021年度、2022年度は、ろう学校高等部生徒の手話力について、3つのろう学校高等部の生徒に対して、日本手話文法理解テスト(武居, 2009)を実施し、一部の生徒には手話語彙流暢性検査(武居, 2018;2019)を実施した。その結果、幼稚部からろう学校に在籍する生徒や両親ろうの生徒など、一部の生徒については非常に高い手話力を有していることが確認できたが、中学部や高等部からろう学校に転校してきた生徒においては、小学部4年生でほぼ天井を示す日本手話文法理解テストにおいても十分に手話文を理解できていないことも多い状況が明らかになった。これらのことから、ろう学校に在籍するだけでは、手話の獲得・習得が難しい実態が浮き彫りとなり、その理由として音声でのある程度のやり取りが可能な聴覚活用ができる生徒が増えたこと、ろう学校高等部の生徒集団が小さくなり、手話を使って同級生とやり取りする機会が減ったことなどが考えられた。 これらのことから、ろう学校高等部の手話指導プログラムの開発が喫緊の課題であることが明らかとなった。2022年度にはパイロットスタディとして自立活動の時間に活用できる手話指導プログラム試行版を作り、協力してもらえそうなろう学校とどのような形で指導を行うことができるのかについての具体的な打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度はコロナ感染の影響で、ろう学校現場へ出向き、データを取ることができなかったが、2022年度の後半より、ろう学校高等部の生徒の手話力の測定を始めることができるようになった。日本手話文法理解テストは、協力ろう学校すべての高等部生徒に実施できたが、手話語彙流暢性検査は、様々な事情により一部の生徒にしか実施できなかった。しかし、ろう学校を訪問できるようになり、高等部教員とろう学校高等部において実際に手話を指導する上での具体的な課題や解決すべき問題について議論をする機会を作ることができ、2023年度に実際に手話指導プログラムのパイロット版を作成する上での視点を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、ろう学校高等部の生徒の手話力の測定を継続的に行う予定である。日本手話文法理解テストだけでなく、手話語彙流暢性検査と手話談話の分析も可能な限り行い、ろう学校高等部の手話力の現状について分析を行い、論文としてまとめることを考えている。 また、手話指導プログラム作成についても、すでに日常的に手話を使っている生徒と手話によるコミュニケーションが十分にできない生徒が混在する中での手話指導プログラムを作成する必要があることが、高等部の教員との議論の中で明らかになった。そのため、同じ教材を使用しながら、手話実技そのものを学ぶ生徒と手話を学ぶことにより自分たちが使用している手話の構造や日本語との違いなど手話をメタ言語的に理解する生徒の2段階の目標を設定し、生徒に合わせて目標を設定して使用できる教材の作成を行う。可能であればろう学校高等部で活用してもらい、そこでの問題点や改善すべき点についても実践を通して明確にしていく。
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