研究課題/領域番号 |
21K02731
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 花園大学 |
研究代表者 |
山口 真希 花園大学, 社会福祉学部, 講師 (20637623)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 数概念 / 基数性 / 幼児 / 数量認知発達 / 数の基本原理 / 概念変化 / 発達のつまずき |
研究開始時の研究の概要 |
特別支援教育においては、知的障害のある場合など幼児期の認知発達課題を達成しないまま高度な学習に移行し、指導に困難が生じているケースが多い。特に数の領域については、通常4歳前後に理解が進む数の基本原理を獲得できず、数量概念の形成不全が起こっていると考えられる。本研究計画では、数の基本原理獲得期における困難の諸相と乗り越えの移行過程を明らかにすることを目的とし、3段階構成で実験課題を用いた個別面接調査を実施する。得られたデータの分析を行いながら、随時研究成果の報告を行う。3年次には、総合的な検証を行い、概念変化のプロセスをモデル提示する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、子どもが幼児期に数概念をどのように獲得していくか、とりわけ数の基本原理をどのように理解していくかというプロセスを明らかにしようとしている。本年は、第二年目にあたり、計画書では第2実験を実施する計画であった。一年目の第1次実験においては、調査協力園に在籍する3歳児クラスの幼児を対象に個別面接を実施し、4歳前後の子どもの数概念の変容を把握した。第1次実験の分析を進める中で、4歳前後よりも早期における子どもの思考を把握する必要性が確認された。そこで、第2実験のデザインを再考し、本年度は2歳児クラスの幼児を対象とする個別面接を実施することとした。実験課題や手続きは一年目と同様にし、研究課題計画時には想定していなかった追加課題も実施した。追加課題は、大きさ(量)の異なる積み木の集合を等量に2つに分ける課題であり、正誤に加えて子どもの方略を分析対象とした。二年目に収集をした2歳児に関するデータは、一年目の3歳児に関するデータと合わせて分析中である。 一方、一年目に第33回日本発達心理学会で発表をしたデータを再分析し、第1回K式発達検査研究大会にて発表した。基数性の理解に至るまでには、数える方略の変化が見られ、数を取り出す課題に使用される方略の変化と連動していた。幼児においては、数に対して未分化な関心から、1個ずつ正確に把握する志向性が芽生え、やがて小さな集合における合成分解の理解に至ると想定される3つの段階が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年10月23日に行われた第1回新版 K 式発達検査研究大会では、本年度の研究成果を発表した。発表タイトルは「子どもの数概念発達における基数性の理解過程」であり、標準化された検査項目との関連性という新たな視点を得ることができた。また、発達心理学会はじめ他の学会や研究会を通し、本研究課題の位置づけを捉え直すきっかけを得たとともに、引き続き、研究協力園にて調査を実施することができた。ただ、一年目の新型コロナウイルス感染症の再拡大時に調査実施が遅れ、計画が滞った状況を回復するまでには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、今年度の調査を開始し、並行して論文執筆を進めたい。第1回新版 K 式発達検査研究大会で発表した内容をもとに加筆修正し、成果を報告する。追って、現在分析中のデータをまとめて、次の執筆を進めていく。第35回日本発達心理学会が年度末であるため、これまでの成果を合わせて、基数性理解に至るプロセスを整理して報告したい。
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