研究課題/領域番号 |
21K02738
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡林 浩嗣 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 講師 (70333309)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 研究マネジメント / 研究公正 / 教育カリキュラム / 職業教育 / プロフェッショナルスキル / 専門知 / 生成系AI / 研究インテグリティ / 研究者教育 / 技術者倫理 |
研究開始時の研究の概要 |
職業人としての研究者には、例え厳しい競争的環境下であっても、個人的利益を超えた観点から公正な判断を下すことが求められる。一方、研究不正対策における自己管理への意識付けは、倫理的態度の裏付けが無い場合、容易に「意図的に発覚しない不正を行う」ことに結びつき得る。既存の大学院教育では調査・実験・議論等の実践を通じて研究の進め方を教えているが、将来職業人として求められる責任や様々な管理スキルの学習は、徒弟制度的指導のみに依存する面が大きい。本研究では、研究者の育成課程における指導・被指導のあり方に関する分析等を通じ、職業人としての研究者のスキルと倫理観を効果的に学習可能なカリキュラム案の開発を行う。
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研究実績の概要 |
3年目となる2023年度も引き続き、職業研究者を対象として、特定不正行為や「研究者の職場環境や競争環境の健全性を失わせる行動」に適切に対処する為の知識の習得や、研究室やゼミの運営に関するスキルやノウハウの成立過程とその多様性を理解するという視点に立ち、調査対象者の継続的な選定と質問事項のアップデート、インタビュー等を行った。これまでの予備的ヒアリングや一次調査では、自らの研究分野の常識を異分野のそれと比較するという経験そのものが無い、もしくは意識したことが無い研究者が多いことに加え、特に座学を中心とする通常の講義や、専門職としてのスキルに関わる指導以外の面では、日常的な研究指導における教育的側面やその手法の妥当性に関する自己認識が不明確な例が比較的多数を占めることが分かってきた。これらの傾向を踏まえ、改めて質問事項のうち、特に学生指導スキルに関わる設問の具体化を行い、調査対象者を選定し、順次本調査(対面ヒアリングによるインタビュー調査)を開始した。また、これまでの予備調査の結果を踏まえてこれまでに筑波大学内で実施してきた「学生へのキャリアパス教育への研究倫理的要素の溶け込み」の実践例について、広島大学高等教育開発研究センター第51回研究員集会で報告を行った。さらに、これまでの結果を踏まえ、科学者のもつ「専門家として妥当なふるまい」の範囲に関する認識の差異に着目し、近年特に求められる「研究者の専門知と社会的意思決定」および「生成系AIの利用」の2点に焦点を絞り、これらに関わる現場の研究者らの認識がどの様に醸成され伝達されるかを追加調査すべき要素として取り上げ、新たな質問項目の設定を開始した。これらの問題意識に関する情報収集を目的とし、第46回日本分子生物学会年会においてフォーラムを主宰した他、2023年度全国公正研究推進会議では生成AIの適正利用と課題に関する報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来の研究計画の最終年度として、分析対象とする有力研究者の選別を行い、インタビュー調査へと進んでいるものの、2023年度に改めて追加した2つの視点(専門知の信頼範囲に関わる認識、および生成系AI利用に関する認識)に関わる質問を付加するなどの変更を行ったこともあり、全体として調査は遅れている。また、論文の共著関係のネットワーク可視化に基づく調査対象者の選定の妥当性の数値化という点でも作業が遅れている。今後インタビュー調査を加速化すると共に、調査対象者選定の妥当性に関する分析を進め、最終的な取り纏めを行う。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、進行中の調査対象者への本調査を引き続き実施すると共に、Webアンケート調査の設問項目を早期に確定し、関連する学会事務局へ協力依頼を行ったうえで調査を実施する。年度内に調査を完了し、基礎生命科学分野における大学教員の「職業人」としての自己認識と「専門家」として求められるふるまいに関わる認識の合致性に加え、日々の研究指導における具体的な「指導者として望ましいスキル」の定義やその取得に関するカリキュラム案を検討し、成果として報告する。
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