研究課題/領域番号 |
21K02740
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
松浦 慶総 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 特別研究教員 (70282960)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 技能教育支援 / 共感 / モチベーション / 主体的習得 / 習得熟練度目標 / 技能情報構造化 / 体性感覚 / 技能特性要因分析 / 注意要因 / 評価要因 / 身体技能 / 気づき / 技能教育 / 体性感覚情報 / 暗黙知 / 構造化技能情報 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では被覆アーク溶接を対象技能とし,これまでほとんど扱われていない身体部位と体性感覚情報を含め,技能情報を構造化する.さらに構造化技能情報から,学習者の目的とする熟達度に対応する基本的な技能情報を選定する学習者主体型技能情報選定システムの開発を行う. 次に学習者が学習過程で気づいた情報を基本技能情報に追加して新たな技能情報教育データベースを作成することで,個々の学習者に対応した新たな技能学習プログラムの創出する機能を持つ教育支援システムを開発する. 最終的に,技能情報教育データベースに新たに学習者と教授者が付加した情報に基づいて,相互の共感を創出する技能教育支援システムの開発を目的とする.
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研究実績の概要 |
令和5年度は,まずものづくり分野での技能承継問題における学習者の主体的習得を促進するために,新たに習得熟練度目標マップを提案した.また,技能教育において重要な身体技能の共感についての定義を行い,技能の身体感覚における教授者と学習者の主体的評価の相違の検討を行った.この結果から技能教育での共感創出の手法の検討を行った. 具体的には,技能の承継問題の解決が滞っている現状があり,その原因のとして,「承継する技能の熟練度と,学習者の目標の熟練度の差の問題」と「学習者の主体的な技能習得への影響によるモチベーション低下」が考えられる.従来の技能教育のプログラムが教授者の技能評価が主体であり,学習者が求めている技能の熟練度を目標とする技能学習ができない.学習者が技能学習に主体性を意識することが困難であり,最終的に自ら学習する意欲が低下してしまう.そこで,習得熟練度目標マップを提案した.このマップは「工業的-芸術的」,「職業的-趣味的」,「熟練度」の3軸で構成している.このマップにより技能教育の目的やそのための評価項目・基準を学習者が主体となって選択が可能となり,モチベーション向上が期待できる. 次に本研究では,共感を「互いが環境からの同様な刺激に暴露された時に,同じ感覚器が励起されることで情報に気づき,その情報によって想起されるイメージの類似度が高い状態である.」と定義した.身体動作を伴う技能においては,身体動作にともって変化する状態を体性感覚が極めて重要な教育情報であり,この評価を言語・非言語の区別なく表出すれば,教授者と学習者の主体評価を比較して共通点と相違点を明確にすることが可能と考える.著者が既に提案した技能情報構造化手法により,体性感覚要因と注意要因,評価要因の提案から,教授者と学習者の共感を促進するシステムを提案した. 令和5年度は国際シンポジウム1件,国内発表2件を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和5年度の研究予定では,最終年度として(1)学習者主体の技能学習計画システムの開発,(2)基本構造化技能情報の入力GUIの開発と,教授者による要因間の重要度付与を可能とするシステム開発,(3)教授者用GUIから構造化技能情報データベースの構築,(4)学習者と教授者が技能教育プロセスで得た感覚情報や気づきを付加させ,共感を創出させるシステムを開発,(5)TIG溶接技能学習による実証実験の実施を予定していた.しかし, 前年度からの世界的な半導体不足に伴う必要機材の調達の大幅に遅れで,実験ができなかった.さらに,TIG溶接への移行と実験が実施できていない.したがって,(1)学習者主体の技能学習計画システムの開発と(4)学習者と教授者が技能教育プロセスで得た感覚情報や気づきを付加させ,共感を創出させるシステムの研究・開発を行った.
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,最終年度として(1)基本構造化技能情報の入力GUIの開発と,教授者による要因間の重要度付与を可能とするシステム開発,(2)基本構造化技能情報の入力GUIの開発と,教授者による要因間の重要度付与を可能とするシステム開発,(3)教授者用GUIから構造化技能情報データベースの構築,(4)統合システムの開発,(5)TIG溶接技能学習による実証実験を実施する.
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