研究課題/領域番号 |
21K02762
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
利光 和彦 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (10180150)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | Palpation system / Force sensation / Biomedical deformation / MPS method / Medical simulator / Virtual reality / 触診教育システム / 力触覚インターフェース / 計算医療工学 / 粒子法解析 / 遠隔診療 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国の医学教育では,患者リスク回避や実習時間の制約で,学生が体験的に触診技術を学ぶ機会が少なくなっている.特に,現コロナ禍で,学生は直接患者に接することができず誤診などが問題となる.この課題の一助となるのがVR触診教育訓練システムである.研究は,3D触圧インターフェースおよび症例対応型VRモデルによる医学生教育システムおよび手術シミュレーションにも対応できる粒子法解析プログラムの開発を行う.特徴は,「触る感覚」と「症例」を関連づけながら体験的に学習できることであり,遠隔診療においてもより正確な診断が可能になると期待される.
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研究実績の概要 |
本年度は,触診対象として乳がん触診および検査を想定し,以下を行った. 開発中の粒子法生体解析プログラムの修正を行い,乳房を模擬した,実物大の一様硬さ半楕円体生体モデルの重力による変形において,縦弾性係数を非線形近似することで,変形計算精度が格段に向上することが分かった.具体的には,楕円頂点変位が,実験で19.2mmに対して,変形計算では20.3mmで1.1mmの差で計算可能である. 次に,実際の乳房は非一様な硬さの軟組織モデルであり,数値計算においてこの非一様性を考慮する必要がある.そのため,この非一様な硬さの特性をモデル化した半二重楕円体人工生体モデルを作成し,重力変形実験と粒子法計算で比較検討を行い,本開発プログラムの適用性を検討した.モデルは,計算時間をできるだけ短くするため,実物大より小さくした.その形状・性質は,外側半楕円体の単軸直径が52mm,長軸直径が140mm,縦弾性係数E≒1.6×10^5×ε+5984(一定近似で1.09×104Pa), 内側は,単軸直径が20mm,長軸直径が80mm, 縦弾性係数E≒5.43×10^5×ε+5789(一定近似で1.65×104Pa)の2重構造である.重力変形実験では楕円頂点変位が,22.2mmに対して,計算では18.5mmで3.7mmの差で計算可能であることが分かった.一様硬さモデルより計算精度は悪いが,モデル単軸直径が一様硬さモデルの半分で小さいため,測定誤差が生じやすいことを考慮すれば,実物大の非一様な硬さの乳房にも適用できる可能性があることが確認できた. さらに,リアルタイムの計算法開発のために,機械学習(AI)と粒子法計算を組み合わせたリアルタイム触圧計算法については,グラフ畳み込みニューラルネットワーク(GCN)の手法を使用する検討および定式化を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. 触診システムの触圧センサーのしこりの検知は可能であることが確認できたが,システムへの組込みが難航している. 2. 目標の一つとしていた手術に対する数値計算の適用,すなわち,半楕円体カットモデルの粒子法解析プログラム開発がうまくいっていない.カットモデル計算の問題はあるが,触診システムに適用するための非一様硬さ生体軟組織に関する粒子法計算法については着実に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
前述の現在の状況を踏まえ、下記のような方策で進める. 1. 触診システムの触圧センサーの組込みは,基本的にはハード面のことであり,メーカーに連絡し,組込みの方法を考える. 2. 手術に相当する切断の数値計算がうまくいかないことについては,半楕円体人工カットモデル作成し,変形条件を変えて粒子法計算を行い,その原因を考える.物理的には,カットモデルは今までの計算よりモデル形状が複雑でかつ変形も数倍以上大きく,その点が根本の問題であるかも調べる. 3. リアルタイム高速計算法の開発は,単純で比較的小さな計算モデルを用いて,粒子法計算で学習データベース作成する.次に,機械学習として,グラフ畳み込みニューラルネットワーク(GCN)の手法を適用し結果を検討する.
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