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子どもの発達段階に応じて学ぶ「蜃気楼」の教育プログラム開発と実践

研究課題

研究課題/領域番号 21K02766
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分09070:教育工学関連
研究機関千葉県立中央博物館

研究代表者

大木 淳一  千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (90280750)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
キーワード蜃気楼 / 総合的な学習の時間 / ICT教育 / 身近な自然現象 / 理科教育 / 九十九里 / 光の屈折 / 博学連携 / 教育プログラム
研究開始時の研究の概要

富山湾で有名な珍しい蜃気楼(上位蜃気楼)を、申請者が2015年に千葉県九十九里浜で104年ぶりに再観測し、その後の研究で日本一観測できることが判明したが、地元の子ども達は身近な自然現象「蜃気楼」の存在を知る学習の機会がない。
そこで千葉県九十九里町の幼児、小学生、中学生を対象に、「蜃気楼」を授業に取り入れることで、教科書の学習内容が実生活と結びつく「気づき」を子どもの発達段階に応じて体験する学習プログラムを開発する。
さらに、現地に気象観測装置を設置することで、上位蜃気楼の発生原因の謎解きを生徒と共に実施し、身近な自然に興味を抱き、かつ科学研究への関心を抱く「気づき」を博学連携で目指す。

研究実績の概要

申請者の研究で千葉県九十九里浜地域が日本を代表する珍しい蜃気楼(上位蜃気楼)の観測地であることが明らかになった。この地域の魅力である蜃気楼をこども園、小学校、中学校において授業展開することで、身近にダイナミックな自然現象が起きていることに興味を抱く教育プログラム開発を、令和5年度は観測地である九十九里町のこども園と小学校で実施した。
こども園では5才児クラス対象に実施し、身近な蜃気楼として「逃げ水」を観察することで、自宅へ帰っても保護者へ話すほど印象的な現象として位置づけることができた。さらに水槽を活用した実験で蜃気楼を再現することで、丸いと思っていた太陽が変形することも理解でき、身近な自然への関心が高まった。今回、望遠鏡の使い方を事前学習として、こども園に飛来するツバメの営巣を通じて学んだため、逃げ水を観察する際には扱いに慣れていたので効率的に学習を進めることができた。
小学校では第6学年を対象に総合的な学習の時間を活用して、蜃気楼学習を1年間、長期的に取り組むこととした。しかし申請者の業務が多忙なため、①蜃気楼学習への導入、②水槽実験による蜃気楼発生の仕組み学習、③逃げ水観察は実施できたが、その後の授業展開を小学校と連携しながら進めることが難しい状況となった。ただし、②と③の授業を同日に実施することで、蜃気楼の発生の仕組みを野外と室内で確認できるため理解を深められることが明らかとなった。
また、気象観測装置を活用した上位蜃気楼の気象条件を解明するべく、冬季の気象観測を行った結果、地上3mと15mで約1度から4度ほど地上15mの方が気温が高いと上位蜃気楼を観測できることが明らかになった。さらに夏季に見られる大規模な上位蜃気楼が観察できた際は気象観測装置では温度の逆転層が捉えられないことから、さらに上空の温度構造を調べる必要があるなどの課題を見出すことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

こども園、小学校と連携し、地域の魅力的な自然現象である蜃気楼に関わる授業(教育プログラム開発)を令和5年度は実施する予定であったが、業務多忙につき予定通り進めることができなかった。
しかし、こども園では昨年度の反省から、逃げ水を観察するための望遠鏡の使い方を、こども園に飛来するツバメの営巣の観察を通して事前に学ぶこととした。その結果、逃げ水を望遠鏡を使って容易に観察することができ、蜃気楼だけでなく、様々な身近な自然を園児達は学ぶことができた。また、昨年度同様に①逃げ水を野外で観察するプログラムと②水槽で変形太陽などの蜃気楼を再現する実験の2日間に授業を分けて実施した。その結果、それぞれじっくり取り組むことができ、園児達も印象深かったため、自宅へ帰ってからも保護者へ話す園児が多く、家庭への波及効果も大きいことが分かった。
小学校においては第6学年の総合的な学習の時間を活用して蜃気楼について学習した。今年度は業務多忙につき、①蜃気楼学習への導入、②水槽実験による蜃気楼発生の仕組み学習、③逃げ水観察は実施できたが、その後の授業展開を小学校と連携しながら進めることが困難だった。海岸での下位蜃気楼観察を年度末のまとめの授業とし、身近な自然の魅力を感じてもらう授業内容に変更した。今後、探究学習を授業にどのように取り入れるかが課題だと担任と意見交換を行った。
上位蜃気楼の発生メカニズムについて、夜間を中心に観測できる冬季については、地上15m以下の温度構造の逆転現象を気象観測装置から読み取ることができた。しかし、夏季に見られる大規模な上位蜃気楼が観察できた際は、気象観測装置では温度の逆転層が捉えられないことから、さらに上空の温度構造を調べる必要があるなどの課題を見出すことができた。

今後の研究の推進方策

今後もこども園、小学校おいて授業を実施し、各発達段階における学習プログラムのブラッシュアップを目指す。特に、こども園では望遠鏡の使い方をツバメの巣の観察を通して学ぶことが有効であることが分かったので、園児がより楽しく観察できる対象を増やすことで身近な自然への関心が高まるようなプログラムの発展を目指したい。また、小学校では一人一台タブレット端末が配付されているため、ICT教育による学習の向上を目指し、探究学習を組み入れた授業内容を検討する。さらに、今までの成果から、専門家が立ち会わなくても教師が授業で使える映像資料の制作、学習指導案を作成し、インターネットなどで公開する必要がある。
映像資料については今後も全国の上位蜃気楼観測地に赴き、映像を記録し教材化に向けた資料を収集する。
さらに気象観測装置を設置したことで、年間を通した上位蜃気楼発生時の鉛直方向の温度構造を解明できる可能性が高まった。この成果を授業に取り入れるプログラムを模索し、蜃気楼発生予報など、地域から世界へ情報発信できるようなユニークな活動へ繋がる仕掛けを考える必要がある。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 九十九里の蜃気楼ー変形太陽編ー2024

    • 著者名/発表者名
      大木淳一
    • 学会等名
      日本気象予報士会千葉支部例会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 九十九里の蜃気楼2023

    • 著者名/発表者名
      大木淳一
    • 学会等名
      第13回日本ジオパーク全国大会in関東中央会場
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 博学連携による子どもの発達段階に応じて学ぶ身近な自然「蜃気楼」2023

    • 著者名/発表者名
      大木淳一
    • 学会等名
      第30回全国科学博物館協議会研究発表大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 蜃気楼を題材にした小学校・総合的な学習の時間における実践例2022

    • 著者名/発表者名
      大木淳一・長澤勇哉・清水裕子
    • 学会等名
      令和4年度日本蜃気楼協議会研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 千葉県九十九里浜で2015-2020年に観測した上位蜃気楼の特徴2021

    • 著者名/発表者名
      大木淳一
    • 学会等名
      日本蜃気楼協議会研究発表会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 千葉県で観測される蜃気楼の特徴-九十九里蜃気楼を中心に-2021

    • 著者名/発表者名
      大木淳一
    • 学会等名
      日本気象予報士会千葉支部
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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