研究課題/領域番号 |
21K02771
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中西 良文 三重大学, 教育学部, 教授 (70351228)
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研究分担者 |
梅本 貴豊 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (50742798)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 自己効力感 / オンライン学習 / 教授ストラテジー / 学習動機づけ / 学習のミクロプロセス / 実践研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、オンライン学習での動機づけ向上を目指すべく、動機づけ要因の中でも主要なものとして取り上げられる自己効力感に着目した検討を行う。そこでまず、学習中のミクロレベルの自己効力感に注目し、オンライン学習のミクロプロセスにおいて自己効力感がどのように機能しているかについて明らかにする。そこでは、オンライン学習におけるミクロレベルの過程を測定する手法を開発し、オンライン学習の実施と、学習成果および自己効力感の測定・検討を行う。これらに基づき、自己効力感の影響を望ましいものにする学習環境の検討を行い、そこで明らかになった知見に基づいたオンライン学習のデザインを行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は,オンライン学習における自己効力感のミクロレベルの過程に関してさらなる詳細な検討を進めた。まず,昨年度作成した概念変化を促す教授ストラテジーを導入した教材を用いたデータ収集を進めた。その教材においては,異なる教授ストラテジーのものを2種作成し,その違いを検討できるものであった。そして,オンライン学習で用いる動画については,複数に分け,教授ストラテジーの違いを動画の違いで示す一方,最後に提示する動画は同一のものとして,実験的な統制ができるようにするとともに,複数の動画の間で調査を行うことで,本研究での視点であるミクロレベルの過程における自己効力感の変化が検討できるものとした。 2023年度は,このような学習環境において得られたデータに基づいた検討を進めた。特にエンゲージメントとの関係から検討を進め,まず,最初の動画を見た直後のエンゲージメントに対して,自らの知識を再構築できるという自己効力感が影響を与えていることが見いだされた。それとともに,自らの知識が正確であるという自己効力感の影響については,教授ストラテジーとの交互作用が見られ,既有知識に反する情報が最初から与えられる教授ストラテジーでは,自らの知識が正確であるという自己効力感が高い方がエンゲージメントが低くなるというネガティブな影響が示される様相が見られた。また,複数の動画を視聴した学習過程全体における,エンゲージメントと自己効力感の相互影響過程についての検討も進めた。なお,これらの検討の基礎となるような,自己効力感と動機づけのミクロレベルの変容過程についての検討も進めた。 これらの検討を通して見いだされた知見については,国内学会においても発表を進めた。 また,これらに加え,大学教育以前の学校教育現場での課題についての教材開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は,前年度に作成したオンライン教材に基づいて入手したデータを用いて検討を進め,オンライン学習におけるミクロレベルの過程の検討を行った。中でもエンゲージメントとの関連において, 2つの自己効力感がそれぞれどのように異なる影響を示すのかについて明らかにするとともに,それらが2種類の教授ストラテジーによってどのように異なるのかについて検討した。これらを通して,オンライン学習においてどのように教材を作っていけばよいか,オンライン学習の開始時から段階ごとに示唆するような知見が得られた。 当初の予定では,大学教育以前の学校教育現場でも検討を行う予定であったが,年度当初はCOVID-19の影響が残っていたため,実施することができなかった。また,研究成果の公表については,国内学会での発表を行うことができたが,当初の予定に含まれていた国際学会での発表はCOVID-19の影響もあり,実施することができなかったため,次年度に進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度では,これまでの研究をさらに発展的に進めていくとともに,研究での成果を,当初の計画通り,国際学会での発表を進めていきたい。2024年度の研究では,これまでの研究でオンラインの学習過程での,自己効力感の変化について見いだされたものを踏まえてどのように学習環境を構築していけばよいかについて検討を進める。中でも,一時的に自己効力感が低減することも見られているため,どのように学習課題を作成していくことが自己効力感への望ましい影響につながるのかについても検討を進める。 また,現実の学習課題における実践的な手法の開発・実践につなげていくため,大学教育以前の小・中あるいは高等学校での教育場面における検討を進めていく。そこでの検討を通して,一般的にどのように教材を開発していけばよいかの知見を提供していきたい。
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