研究課題/領域番号 |
21K02800
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
湯地 宏樹 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50290531)
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研究分担者 |
湯地 由美 四国大学, 生活科学部, 准教授 (40807426)
佐々木 晃 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (10967003)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | VR教材 / 保育者養成 / 保育実践力 / VR / バーチャルリアリティ / 保育者 / みえ / アイトラッカー / 映像教材 / 実践知 / VR / 教材 / 視線計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ポストコロナ時代の保育者養成のあり方を見据え、オンライン授業の充実のために、熟達保育者の「みえ」を疑似体験できるVR映像教材を開発し、その有効性について明らかにすることを目的としている。そのための前段階として、①熟達保育者が「みていること」を可視化するとともに、②熟達保育者の「みえていること」から「実践知(コツやカン)」を探り、言語化することを試みる。
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研究実績の概要 |
本研究は、保育者養成校の学生が効果的に保育環境や保育技術を学修できるVR教材を開発し、その有効性を検討することを目的としている。 昨年度には360度の静止画による保育環境のVR教材を開発し、保育者と保育学生の視線データや語りを比較した。その結果、教育実習経験者は注視する停留時間が長く、注目回数も多かったが、保育者との差は見られなかった。 今年度は、静止画ではなく、360度動画によるVR教材の有効性を検討している。実際の保育は目の前の子どもの状況が変化し、即座の対応が求められるため、動的な映像が有効であると考えられる。その結果、視線追跡技術を用いたデータ分析から、子ども側への注目度が学生間で異なることが明らかになった。 またWebアンケートによる評価では、VR教材が保育者の環境への配慮を助け、保育実践力の向上に寄与することが示された。VR教材は実際の保育場面を模倣し、保育者としての技術や理解を深めるのに役立つと考えられる。さらに、視点の変更が容易であり、保育の現場感を体験できることから、学習効果が高いことが示唆された。一方で、VR酔いやVR機器の重さによる不快感、周囲の音が聞こえにくいことによる不安感など、VR教材の問題点も明らかになった。これらの研究成果を踏まえ、今後も効果的なVR教材の開発を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、次のとおり、研究Ⅰおよび研究Ⅱを実施できたため、おおむね順調に進展していると判断した。 研究Ⅰでは、保育者の絵本読み語りの疑似体験を提供するVR教材の開発と評価が行われた。具体的には、経験豊富な保育者がウェアラブルカメラを用いて読み語りの場面を撮影し、大学生がこれをVR環境で体験することで、実際の保育現場の雰囲気を学ぶ機会を得た。視線追跡技術を利用したデータ分析とインタビュー調査を通じて、学生の保育に対する理解と感受性の向上が図られた。 研究Ⅱでは、実際に教育実習を経験した大学生が自身の絵本読み語りの振り返りをVR映像を通じて行い、自己のパフォーマンスを客観的に評価する機会を提供した。このプロセスにより、実習生は自身の教育技術を自己評価し、改善点を発見することが可能となった。 これらの研究から得られた知見は、保育者教育におけるVR教材の有効性を示すものであり、参加者からのフィードバックもこれを裏付けている。VR教材が学生の学習過程において重要な役割を果たし、保育の質の向上に寄与していることが期待される。 今後もこれらの研究成果を基に、さらなる教材の開発と評価を続ける予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、これらの利点と課題を踏まえ、VR教材のさらなる精度向上を目指す。具体的には、教育実習生の省察ツールとして、VR教材が教育実習生にどのような影響を及ぼすかを質的・量的側面から検討する。 VR教材の主要な利点としては、現場にいるかのような臨場感、視点の柔軟な変更、および保育者と子どもの双方の視点からの理解が深まることが挙げられる。これにより、保育技術の向上が期待され、保育者としての実践的なスキルも改善されることが期待される。 また、最終年度にあたり、保育におけるVRの有効性についての研究成果を学術誌や学会で積極的に発表する計画である。今後は、VRの臨場感や視点変更の柔軟性を活かし、保育者としてのスキル向上を図るための教材開発に注力したい。
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