研究課題/領域番号 |
21K02801
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
大西 義浩 愛媛大学, 教育学部, 教授 (00321480)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | プログラミング教育 / 個別最適化 / パフォーマンス評価 / 自学自習 / パフォーマンス指数 / GIGAスクール |
研究開始時の研究の概要 |
2020年度から小学校のプログラミング教育が必修化された。小学校には中学校技術・家庭科技術分野や高等学校情報科のようなプログラミングそのものを学習する科目はないため,理科や算数などの既存教科の内容をプログラミングによって学習することを求められている。本研究は,一人一台のコンピュータ環境を活かして,児童がパフォーマンス指数によって学習到達度を把握し,プログラミング活動によって教科の個別最適化学習を行う方法を開発する。ウイズコロナ時代の新しい自学自習教材を提案し,主体的な教科の学びを提供することを目的とする。
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研究実績の概要 |
2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されたが、中学校の技術・家庭科や高等学校の情報科のようにプログラミング自体を教える科目はない。そのため、理科や算数といった既存の教科の内容をプログラミングを通じて学ぶことが求められている。これと並行して、「誰一人取り残さない、個別最適化された学びの実現」を目指すGIGAスクール環境が整備された。このような背景を踏まえ、本研究は1人1台のコンピュータ環境を活かし、児童が自分の学習到達度をパフォーマンス指数によって把握しながら自学自習できるプログラミング活動を通じて、教科の個別最適化学習を行う方法を開発することを目指す。 プログラミング活動による個別最適化学習の実現には、学習到達度を的確に測定するためのパフォーマンス評価指標の開発が不可欠である。本年度は特にそのパフォーマンス評価指標の検討に重点を置き、研究を進めた。制御性能評価の分野で提案されている「MV-Index」や「Idle Index」、独自に検討したISE(積分絶対誤差)を基にした指標などの分析を試みた結果、それぞれに長所と短所があることが分かった。たとえば、「MV-Index」は操作性の評価に有効であるが、習熟度の推移を追うには十分ではない。一方、「Idle Index」は効率性を示す指標として有用だが、習熟度の差異を捉えるには限界がある。ISEに基づく指標も誤差の積分値を重視するため、初期の学習段階では適切な評価が難しいケースがある。そのため、これらの指標を組み合わせることで、より正確で包括的なパフォーマンス評価を実現する方法を検討した。具体的には、各指標の特徴を活かした複合評価モデルを開発することで、児童の習熟度や学習到達度を多面的に評価し、各自に最適なフィードバックを提供する仕組みを構築することを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述したように、制御性能評価の分野で提案されている「MV-Index」や「Idle Index」、独自に検討したISEをもとにした指標などの評価方法について研究を進めている。これらの指標については、大学生を対象とした予備検証を行ったが、小中学生に対する検証はまだ実施できていない。また、研究開始当初には一般的でなかった生成AIを用いた手法も検討したいため、進捗が「やや遅れている」と判断している。 具体的には、制御性能評価に関連する指標の検討に加え、生成AIの導入により新たな知見や改善点が見出される可能性を模索している。特に生成AIの活用により、小中学生を含む幅広い年齢層にわたる学習成果の向上や教育効率の改善が期待されるため、その可能性を探るべく様々な手法を検討している。これらの取り組みは、従来の制御性能評価の分野では見られなかった新しいアプローチであり、先行研究との比較においても意義深いものである。しかし、生成AIを用いた手法はまだ確立されたものではないため、その効果や有用性を検証するための追加的な調査と実証研究が必要である。特に、大学生に対する予備検証で得られた知見を小中学生に適用する際には、異なる年齢層における理解度や学習の進行状況を考慮する必要がある。また、生成AIの特性を最大限に活かすためには、指導方法や教材のデザインにも工夫が求められる。 今後の課題としては、生成AIを活用した指標の妥当性や効果を検証し、幅広い年齢層にわたる教育現場での導入に向けた実践的なアプローチを確立することが挙げられる。さらに、制御性能評価の指標自体の精度向上や、生成AIによるデータ分析を通じて、学習者の個々のニーズに合わせた柔軟な指導方法の開発も目指している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、延長された研究の最終年度である。まずは、前述したパフォーマンス評価指標を小中学生に対して検証することが第一の目的となる。これにより、現行の評価指標の妥当性と信頼性を確かめ、実践的な教育現場での活用可能性を探ることができると考える。 さらに、生成AIを用いて達成度を評価する新たな方法の検討も始めている。生成AIの導入によって、従来の手法では困難だった成果物の直接的な評価が可能となり、より正確かつ効率的な評価手法の確立が期待される。本研究課題でこれまでに得た成果との連携を図りながら、生成AIを活用する具体的な方策を検討していく予定である。 研究の最終年度であるため、これまでの研究成果をまとめることも重要な課題である。各種学会発表や論文投稿を通じて、研究成果の発信と共有を進める。特に、生成AIによる達成度評価の方法論に関する研究結果は、教育分野だけでなく他分野でも活用可能な知見となるため、幅広い学会や専門誌での発表を目指す。パフォーマンス評価指標の検証結果や生成AIを用いた評価方法の考察から得られた知見を教育現場での実践的な活用方法や、評価方法の標準化に関する提案など、多角的な視点から教育分野全体に寄与することを目指す。 最終年度においては、研究活動を通じて得られた知識と経験を統合し、成果をより効果的に社会に還元するための方策を検討する。学会発表や論文投稿に加え、教育現場での実践例を含むフィールドワークやワークショップを開催し、現場の教育者や研究者と協働しながら研究成果の普及を図ることで、研究の社会的意義を高めることが求められる。
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