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母語活用型日英中三言語対照学習法と学習システムの開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K02803
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分09070:教育工学関連
研究機関東京都立大学

研究代表者

湯山 トミ子  東京都立大学, 人文科学研究科, 客員教授 (60230629)

研究分担者 神田 明延  東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (10234155)
藤本 かおる  武蔵野大学, グローバル学部, 准教授 (20781355)
篠塚 麻衣子  東京都立大学, 人文科学研究科, 客員研究員 (90782805)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード日英中三言語 / 多言語学習 / 対照言語学習 / 動的ランゲージング / ランゲージング / 統合的言語能力 / 学習者本位 / 自律的学習 / 対照学習 / 中国語 / 英語リメディアル教育 / 学習主体 / 身体化
研究開始時の研究の概要

グローバル化の進展、中国の台頭により英中両言語を運用できる人材が求められている。本研究は、漢字能力等飛躍的に言語力を発展できる有利な条件をもちながら、初級段階の学習負荷等により継続学習者が少ない日本語母語話者を対象に中国語力の発展と英語力の強化を図れる母語活用型英中同時学習法(日英中対照学習)とシステム構築を研究する。具体的には、対照言語学と語用論に拠り、日英中の言語表現、文化的特色の異相を対照化し、構造的理解を深め、個別学習より効果的に言語能力の向上と文化理解の増進、メタ言語意識の発展を図る。これにより複数言語の同時学習と学習者の言語能力の活用、発展を図る新たな言語学習の可能性を探求する。

研究実績の概要

本研究の目的は、日本語を母語とし英語学習歴をもつ初修初級中国語学習者の言語能力を活かし、中国語学習の発展と英語学習を補助できる日中英三言語対照学習システムを開発し、日中英を運用できる国際化人材の育成に寄与すると共に多言語教育の新たな展開を図ることにある。この目的を達成する為、本研究は学習者の言語能力を個別の言語の達成度として評価するだけでなく、言語学習歴「母語+外国語」により学習者に内在的、多層的に形成される統合的な言語能力に着目し、これをさらなる言語学習の推進力として、意識的、積極的に活用する学習法、及び紙媒体では煩雑で適正化が難しい三言語対照同時学習用ICT教材の実現法を検討し、これにより言語単位に分断されない学習者本位の新たな多言語学習形態の創出を目指している。
2023年度は、これまでに行ってきた三言語対照学習法の理論構築、教材コンテンツの基本構想(初期構想、再考、検討)を基盤に、発音と表現の学習の二部構成による日英中三言語対照同時学習アプリの実装と成果公開を行った。具体的には、①先行研究の少ない三言語対照学習法の理論構築、進化、発展、②対照言語学による発音(文字と音声、韻律、基本発音)、文法・慣用表現学習用コンテンツ(課題文、例文、解説)の作成、④入力システム、表示機能、データ処理方式の改善、修正等について、ほぼ毎月一回定例研究会、隔週に開発仕様会議を開き、研究開発を進めた。さらに外部意見の吸収による発展も目指して、学会年次集会で本課題を専題とするセッションを開いて報告し、論文を発表した。特に本年度は、昨年度より着目してきた言語学習歴(母語+外国語)により学習者に内在的に生成される統合的言語能力について、複数の学習者に聞取りを行った。また2023年度末に開発アプリをApple、Googleに提出し、審査を受け、認可フリーソフトとしてそれぞれのストアから一般公開した

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日中英三言語対照学習法に基づく教材コンテンツを作成し、学習アプリに実装し、フリーソフトとして一般公開し(Apple・Google)、学術的成果論文を発表する等、研究課題としての基本目標を実現した。特に2023年度は、学習コンテンツの作成作業を通して、「言語学習歴」(母語+外国語)が生み出す学習者の内在的な統合的言語能力の生成を促進するランゲージング論について深化を図り、学習者に視点を置く学習者本位の多言語学習の理論的基盤として明確化した。各項目の特色、意義を以下に記す。
①日英中三言語対照学習法&システムの実現:二言語比較が多く、三言語が少ない対照学習法を構築し、教材コンテンツを作成し実装することにより、学術理論に裏付けられた三言語対照同時学習法と学習アプリの初開発を実現した。
②教材コンテンツ作成の独自性:微細な相違を持つ複数言語の発音は、母語では意識されない発音器官の意識的な動作性と身体性を要求する。日中英の音声特色を対照学習する「発音の学習」は、自らの身体器官の意識的な使用により、言語活動の主体者意識の形成を図り(発音学習の身体化)、これにより「言語本位から学習者本位への転換」を目指す新たな多言語学習の試みを提示した。話題学習(自己⇒社会⇒世界)により、学習主体の社会性の拡充と文化理解の深化を図る「表現の学習」では、三言語の相違、共通性、類似性、特に不整合性に目を向け、言語理解とメタ言語意識の深化、発展を図った。
③コンテンツの作成、実装:入力フォーマットの仕様を漸次改良し、画面形態で確認できる点検用のDBとの併用で、効率的、効果的な自力制作体制を実現した。
④学習者の内在的言語能力の生成と学習アプリの使用課題を認知する為の学習者調査、アプリ紹介(学会セッションホスト報告2024年3月)、アプリ公開(Apple・Google認可フリーソフト)により社会的還元を図った。

今後の研究の推進方策

2024年度上半期に教材コンテンツの補充作成を行い、下半期に本科研課題の開発成果としての学習アプリの最終点検を行う。具体的には、2024年9月初めごろをめどに(音声・画像・文字)のコンテンツの補充作成を終え、下半期に三言語対照同時学習、学習者に内在する統合的言語能力(生成、ランゲージング)についてヒアリング、インタビュー調査を行う。当初、学習アプリのユーザ実験を考えていたが、複数言語対照学習法&システムの開発においては、専門的知識による構築よりも、そのままでは顕在化せず認知しにくい学習者の内在的な言語能力の生きた状況について理解を深めることが重要であるとの考えに至った。その為、学習者に内在する統合的言語能力を認知する為の学習者調査を重視することにした。以上の研究活動により、三言語対照同時学習法&システム、その要件となる統合的言語能力について、総合的な考察、分析を進め、その成果を論文、学会報告等で発信し、外部意見も取り入れて最終成果をまとめる予定である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (29件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 日英中三言語対照連携学習法&アプリの開発: 学習者の動的ランゲージングの促進を目指して2024

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子・神田明延・藤本かおる・篠塚麻衣子・武田紀子
    • 雑誌名

      言語学習と教育言語学

      巻: 2023年度版 ページ: 42-55

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 言語教育・研究における生成AI利用の可能性と課題:授業実践と研究活動の初期利用からの観察2024

    • 著者名/発表者名
      神田明延・陳紹shen
    • 雑誌名

      東京都立大学人文科学研究科人文学報(日本語教育学教室編)

      巻: No.520-7 ページ: 27-42

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 統合的言語能力に着目 した複数言語同時学 習 (中英 )の考察:言語本位から学習者本位への転換を求めて2023

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子
    • 雑誌名

      複言語・多言語教育研究

      巻: 11 ページ: 143-152

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 言語能力に着目した多言語学習の試み:中国語学習者のための母語活用型日英中三言語対照学習法&システムの考察2022

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子,神田明延,武田紀子,藤本かおる,篠 塚麻衣子
    • 雑誌名

      信学技報

      巻: 121no. 87, TL2021-11 ページ: 44-49

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 言語能力に着目した外国語学習の考察 :日本語母語話者のための中英連携発音再学習の攻略-2022

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子、 神田明延、 藤本かおる、 篠塚麻衣子、 武田紀子
    • 雑誌名

      信学技報

      巻: 121,no.440, TL2021-44, ページ: 68-73

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] コロナ禍における日本語教師と授業のオンライン化2022

    • 著者名/発表者名
      藤本かおる
    • 雑誌名

      グローバルスタディーズ

      巻: 6号 ページ: 129-149

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ハイフレックスモデルとは何か2022

    • 著者名/発表者名
      藤本かおる、尹智鉉
    • 雑誌名

      小出記念日本語教育研究会

      巻: 30号 ページ: 105-122

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 言語能力に着目した多言語学習の試み: 中国語学習者のための母語活用型日英中三言語対照学習法&システムの考察”2021

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子、 武田紀子、 神田明延、 藤本かおる、 篠塚麻衣子
    • 雑誌名

      信学技報

      巻: 121, no.87, TL2021-11 ページ: 44-49

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 内発的発展論」から見た言語学習:言語学習歴による多言語資源の活性・活用に着目して2024

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子
    • 学会等名
      日本英語教育学会・日本教育言語学会第54回年次研究集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 日中英三言語対照同時学習法の開発と支援システムの実装2024

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子・神田明延・藤本かおる・篠塚麻衣子・武田紀子
    • 学会等名
      日本英語教育学会・日本教育言語学会第54回年次研究集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 学習者に聞く:言語運用能力の自律的発現とその限界2024

    • 著者名/発表者名
      藤本かおる・篠塚麻衣子・湯山トミ子
    • 学会等名
      日本英語教育学会・日本教育言語学会第54回年次研究集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 討議と意見交換:生成AIの利用とマルチリンガル学習2024

    • 著者名/発表者名
      神田明延・湯山トミ子・篠塚麻衣子・藤本かおる・ 武田紀子
    • 学会等名
      日本英語教育学会・日本教育言語学会第54回年次研究集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 社会的要請に対応可能な日本語教育機関に必要なリー ダーシップとは:民間日本語学校の当事者に対するインタビュー調査から2023

    • 著者名/発表者名
      藤本 かおる・尹 智鉉
    • 学会等名
      筑波大学 CEGLOC 日本語教育部門 第 7 回 「未来志向の日本語教育」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 教育のDX化における日本語教師のキャリア支援:言語教師認知研究の観点から2023

    • 著者名/発表者名
      尹 智鉉・藤本 かおる
    • 学会等名
      JSAA-ICNTJ2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 同期型システムを使った初級レベルのオンライン対面授業に関する研究:教師の授業の振り返りから2023

    • 著者名/発表者名
      藤本かおる
    • 学会等名
      CASTEl/J(日本語教育支援システム研究会)2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 日本語教師は生成AIとどう向き合っていくのか2023

    • 著者名/発表者名
      藤本かおる
    • 学会等名
      令和5年度独立行政法人日本学生支援機構 日本語教育機関教員と高等教育機関留学生教育担当者との研究協議会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 生成AIとどのように向き合うのか2023

    • 著者名/発表者名
      藤本かおる
    • 学会等名
      23年度日本語学校教育研究大会(分科会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 統合的言語能力の動的生成・ランゲージングとは:自律的言語学習の促進を目指して2022

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子
    • 学会等名
      日本英語教育学会・日本教育言語学会第53回年次研究集会 , セッション「複数言語連携学習:進む学習者!出遅れる教材!どうする教育? 統合的言語能力の動的生成・ランゲージングをめぐって」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 進む学習者:自然発生的ランゲージングの声2022

    • 著者名/発表者名
      藤本かおる
    • 学会等名
      日本英語教育学会・日本教育言語学会第53 回年次研究集会 , セッション「複数言語連携学習:進む学習者!出遅れる教材!どうする教育? 統合的言語能力の動的生成・ランゲージングをめぐって」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 自律的ランゲージングと教育の課題2022

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子
    • 学会等名
      日本英語教育学会・日本教育言語学会第53 回年次研究集会 , セッション「複数言語連携学習:進む学習者!出遅れる教材!どうする教育? 統合的言語能力の動的生成・ランゲージングをめぐって」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 日中英三言語連携対照型学習教材アプリ:統合的言語能力の動的生成・ランゲージング、自律的言語学習の促進を目指して2022

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子
    • 学会等名
      日本英語教育学会・日本教育言語学会第53回年次研究集会,パラレルセッション「複数言語連携学習:進む学習者!出遅れる教材!どうする教育? 統合的言語能力の動的生成・ランゲージングをめぐって」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 統合的言語能力に着目した複数言語連携学習の構築:内なる言語との内なる出会い(日中英の場合)2022

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子
    • 学会等名
      日本英語教育学会・日本教育言語学会・日本ビジネスコミュニケーション学会臨時研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 身体化アプローチによる外国語の発音学習:日中英連携対照学習の場合2022

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子
    • 学会等名
      明治大学サー ビス創新研究所研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 言語能力の動的生成をさぐる:日本語母語話者の中国語声調学習と英語音声学習2022

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子,神田明延, 篠塚麻衣子,藤本かおる,武田紀子
    • 学会等名
      日本英語教育学会・日本教育言語学会・日本ビジネスコミュニ ケーション学会臨時研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] オンライン授業を問い直す:学びの最適化をめざして2022

    • 著者名/発表者名
      高橋薫,保坂敏子,藤本かおる,尹智鉉
    • 学会等名
      日本語教育学会2022年度秋季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] コロナ禍の大学における日本語教育現場を支えたもの:非常勤講師を対象としたフォーカスグループインタビューから2022

    • 著者名/発表者名
      尹智鉉,藤本かおる
    • 学会等名
      日本語教育学会2022年度春季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本語母語話者のための中英連携:学習システムの構築2022

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子,神田明延,藤本かおる,篠塚麻衣子,武田紀子
    • 学会等名
      日本英語教育学会・日本教育言語学会第52回年次研究集会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 多言語学習の新たな試み :言語本位から学習者本位への転換を求めて2022

    • 著者名/発表者名
      湯山トミ子
    • 学会等名
      明治大学サービス創新研究所研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 教育へのテクノロジー導入に必要な知識・スキル・ マインドとは2022

    • 著者名/発表者名
      藤本かおる・尹智鉉
    • 学会等名
      日本教育工学会2022年全国大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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