研究課題/領域番号 |
21K02811
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
西岡 圭太 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (10748734)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 物理教育 / 力学実験 / 実験動画 / 力学シミュレーション / データ解析 / eラーニング教材 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,等速直線運動,等加速度直線運動,放物運動,振動,回転運動の現象について 理論解説・実験装置・データ解析ソフト・シミュレーションの教材パッケージを作成する. 力学の本質的な運動に対象を絞り,ホームセンターで手に入る材料を用いて実験装置を作製し,実験データの測定については主にスマートフォンのカメラやセンサを利用する.また,これらの実験に対応した力学シミュレーションや測定したデータの解析ソフトを開発し,Web上で公開する.開発した教材を実際の授業で利用して,受講学生に理解度調査やアンケートを実施し,教育効果を検証するとともに学生からのフィードバックを基に教材の改善を図る.
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研究実績の概要 |
初等力学教育用の理論解説・実験装置・データ解析ソフト・シミュレーション教材パッケージに含まれるスマホ用の加速度測定Webアプリの改良とそれと連動したデータ解析Webアプリの開発を行った.加速度測定アプリについてはUIの調整と測定したデータを直接解析アプリに受け渡せるよう改良した.解析アプリは加速度データから数値積分により速度と位置のデータを得るものであり,元々,PythonのWebアプリフレームワークで作成していたため利用するにはPythonを実行するサーバが必要であったが,Javascriptによる実装に変更してWebブラウザのみで実行できるようにした.また,フーリエ変換を用いたデータの平滑化と最小二乗近似を用いたデータの平滑化を実装し,さらに,主成分分析を用いて最適な座標軸へ変換する機能も搭載した.この加速度測定アプリ及びデータ解析アプリを用いて,等加速度運動・放物運動・回転運動・単振動の測定実験を力学の授業で実践した.これらのアプリは誰でも自由に利用できる物理教材としてKIT物理ナビゲーションで公開している(https://w3e.kanazawa-it.ac.jp/math/physics/category/experiment/mobile_device/). また,教材パッケージに含まれる力学シミュレーションとして,斜面を転がる剛体(球・球殻・円筒)シミュレーションを作成した.さらに,物理実験モジュールのページを作成し,単振り子実験モジュールのページを公開した(https://w3e.kanazawa-it.ac.jp/math/physics/category/experiment/experiment_module/). 今年度は共同研究者が主体となって,臨場感のある立体視/VR実験動画の作成も進めており,KIT物理ナビゲーションやYouTubeで公開している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では,本年度までに等速直線運動・等加速度直線運動・回転運動・振動を観測できる実験モジュールを作製し,これらの実験装置に対応した解析ソフト・シミュレーションの作成した上で,実際にこれらの教材を用いて実践授業を行う予定であった.理論解説,及びシミュレーション作成については,当初の予定通り順調に作成し,KIT物理ナビゲーション(http://w3e.kanazawa-it.ac.jp/math/physics/)に掲載している.本年度は,回転補正機能を実装した加速度測定アプリの改良,及びデータ解析アプリの開発に注力したため,実験モジュールについては,単振動・単振り子モジュールや斜面上を運動する剛体モジュールなど一部を除いて,試作・試用の段階で授業で十分実用できる段階には至っていない.加速度測定アプリ・データ解析アプリについては,より広く利用してもらうために使用方法のマニュアルを整備しているところである.また,実際に実験ができなくても現象を見れるよう実験モジュールを使用した動画作成を進めている.本研究における現段階で作成した教材などの成果物について,工学教育研究講演会(9月),及び,日本物理学会春季大会(3月,オンライン開催)で発表を行った.
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今後の研究の推進方策 |
本研究については期間延長したことによりR6年度が最終年度となる.R6年度の研究活動としては,本研究の総まとめとして,開発した教材を用いて授業を行い,受講学生に理解度調査やアンケートを行って,教育効果を検証することを重点的に計画している.そのため,前学期では,試作・試用段階の実験モジュールを用いて学生からのフィードバックを基に教材の改善を図って,後学期が始まるまでに,授業で十分実用できる教材として整備する.また,KIT物理ナビゲーションのサイト内に実験モジュールのページを順次拡充させていき,理論解説・実験装置・データ解析ソフト・シミュレーション教材パッケージとしてまとめる.研究成果については,物理教育関連の学会や論文などで発表していく予定である.
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