研究課題/領域番号 |
21K02822
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 広島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
藤原 滋泰 広島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20390495)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 電子書籍 / 微分積分を用いた物理教育 / 授業動画 / Teams / オンラインテスト / LMS / 深い学び / 物理教育 / 体系的な理解 / 微分積分と力学 / L M S |
研究開始時の研究の概要 |
微分積分を用いて体系的に物理の法則を深く理解する為のインタラクティブな電子書籍を開発し、LMSを用いたオンラインテストと誤答分析、作問演習を組み合わせることで、“深く学べる物理教育”についての研究を行う。具体的には、以下の開発・研究を推進する。 ① 物理量の微分積分の結果や法則の体系番号を図示する電子書籍を開発し、体系的な深い学習を行わせる。 ② LMS上でのオンラインテストと、誤答原因と推定される電子書籍の体系番号への学習の誘導を行う。 ③ 学生同士で、体系番号に沿った作問と解き合いをLMS上で行わせて、理解の深化を実証する。 以上により、深い理解をもたらす物理の学習システムの実践的な構築を行う。
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研究実績の概要 |
令和4年度も、広島商船高等専門学校の3年生に対して、微分積分を用いた力学の電子書籍と授業動画、オンラインテストを連携させて物理教育を実施した。また、Microsoft Teamsのグループチャットを用いて、1年生から3年生の物理の授業に於いて、毎時間の進度に合わせた予習・復習用の授業動画の配信も継続した。具体的には、以下の4点を軸として、深く学べる物理教育を推進した。 ① 1年生に対して、将来的に電子書籍のギャラリー機能を活用し,“物理量を傾き(微分)や面積(積分)として求める意味”や“各物理量や法則が微積で繋がっている理論体系”について学ばせる準備として、グラフの傾きや面積から物理量を求める問題演習の動画を追加した。 ② 授業動画については、令和4年度の追加分を含めて、ほぼ全ての授業範囲を網羅する54本の動画コレクションを完備した。1年生から2年生用の有効数字、落下運動、力とその性質、運動方程式、浮力・圧力、仕事とエネルギー、熱などの授業動画を計30本、3年生用の動画としては運動量と力積、微分積分と力学、波の性質、ドップラー効果、円運動と単振動などの計24本の授業動画を揃えた。 ③ また、授業動画に連携したLMS(Blackboard)のオンラインテストも実施回数を増量し、1年生で3回、2年生で6回、3年生で7回実施した。 ④ 授業の問題演習の時間に動画の解答解説の部分を視聴させて“個別のペースに合わせた主体的な学習”をさせたり,動画の投稿チャットに理解できたことや気が付いたことなどをコメントで返信させて,互いのコメントに「いいね」等のリアクションを付け合うことで“相互的な学び”を深める教育も継続した。 年度末のアンケートや令和4年度の全国高専CBTの結果より、電子書籍やTeams配信の授業動画とコメント等が理解に役立ったことが確認できた。加えて、査読付きの論文も発刊された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電子書籍による体系的な学習と授業動画による主体的・相互的な学習を組み合わせて,深く学べる物理教育を実施した。具体的には、以下の3点を中心として概ね良好に進展している。 ① 1年生から3年生の全授業に対応できるように、動画を補完的に追加した。1年生用の動画として、グラフ上の傾きや面積から変位・速度・加速度を求める問題演習の動画を追加して、3年生で学ぶ微積と変位・速度・加速度へ向けた基礎力を強化した。2年生用としては、力学的エネルギー保存則の授業動画(落下運動編、振り子編、ばね振り子編)、力学的エネルギー保存則が保存されない場合の授業動画(平面編と斜面編)等を追加した。そのことにより、3年時に取り扱う、運動方程式の積分によって導かれる関係式の体系的理解の基礎固めを行った。3年生用には、単振動や水平振り子、単振り子の授業動画等を追加し、微積を用いた力学の知識を応用して理解を深めた。 ② 通年で授業を実施し、微積と力学を一通り学習した3年生のクラスAでは、令和4年度の全国高専CBTの「物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる」という問題の正答率は約66%であった。本試験での全国の正答率(約60%)、追試験の全国の正答率(約59%)を上回る好結果となった。アンケートでも、電子書籍が役立ったという学生が約73.7%、動画が役立ったという学生が約84.2%であった。動画の配信チャットに理解したことや気付いたことなどを考えてコメントすることが理解に役立ったという学生は、75%という良好な結果であった。 ③ 令和5年度に全国高専のLMSがBlackboardからWebClassへ移行されることに伴い、全54本の授業動画に対応するオンラインの課題テストを再編成した。2年生用のオンラインテスト25回分、3年生用のオンラインテスト24回分をWebClassへ新規に設置した。
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今後の研究の推進方策 |
深く学べる物理教育のシステム構築と実践的な検証を継続的に進展させる為に、今後は以下の4つの研究方策を推進する。 ① 新規のLMS(WebClass)に再編成したオンラインテスト(2年生用:25回分、3年生用:24回分)と授業動画の連携を強化する。学生達には、Teamsでの動画配信の際に、対応するWebClassのオンラインテストの課題番号をチャットに明記することで、連携的な活用を推奨する。 ② 前年度に続いて、Teamsの動画の配信チャットへのコメントとリアクションも入力させて、主体的かつ相互的な学びを継続させる。また、コメントやリアクションの様子を参考にして、動画に改善を施す。 ③ 誤答原因や解法の糸口への誘導を行えるように、微分積分と力学の学習領域を中心として、物理量や法則間を結び付けている微分や積分に対して、体系番号を割振る。問題演習やオンラインテストの解答解説にも、体系番号の表示を導入する。 ④ WebClassで実施した、各授業動画に対応したオンラインテストの誤答分析を行い、体系番号を用いた誤答原因への学習の誘導と克服を行う。 以上の推進方策により、物理を学ぶ際の深い理解に対して、どの様な教育効果があったのかを明らかにする。また、定期試験や高専機構のCBTの結果、アンケートなどの評価・解析も行う。
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