研究課題/領域番号 |
21K02825
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
村上 佳久 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 客員研究員 (30229976)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 視覚障害 / 遠隔授業 / 協同授業 / 天変地異 / 人工透析 / 全盲 / 弱視 |
研究開始時の研究の概要 |
盲学校や視覚特別支援学校に在籍する児童・生徒が、他県の同様の境遇の児童・生徒と遠隔授業を利用して協同学習を行うことを実現するために、学習環境の整備と協同学習を効果的に行うための教育方法等を検討するための研究である。 全盲や弱視などの障害程度が異なる視覚障害者に対して、1つの教材で対応できる学習端末を利用して、遠隔授業で他県を結び、あたかも複数人で授業を受けている環境を作り出すものである。先生と生徒・児童の1対1での授業ではなく、相手がいる環境で授業を行うことにより、人間関係や他人を意識するという教育に繋げることが可能となる。
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研究実績の概要 |
今年度は、実験協力校の盲学校や視力障害センターにより、1)他校との遠隔授業:県外他校と接続し、互いの授業の見学などを通じ、遠隔授業の問題点を探る。2)他場所の生徒の遠隔授業:他の場所にいる、生徒に対して遠隔授業用システムで接続し、教室を拡張する。3)他校との協同授業:県外他校と接続し、協同学習を実施し、他県の教諭が接続された学校を教科指導する。様々な協同学習の問題点を探る。を中心に進められた。特に、3)の県を越えた他校との協同授業における授業の単位認定を目指して、学校長や教育委員会等と折衝して進めた。 県を越えた授業の場合、相手校の授業開始時間が一致しない場合も多く、授業時間の確保が重要な問題となる。また、実験協力校の実務担当者以外の教員による遠隔授業も実施し、県を越えた遠隔授業による協同授業が多くの教員で成立するよう、実験協力校の参加協力教員を大幅に増員して実験を行った。さらに文部科学省に法律上の問題点を照会し、単位認定の擦り合わせを当該県の教育委員会と行い、授業の単位認定のための問題点を精査した。 一方、実験協力校から、天変地異などによる緊急避難時の対策として活用できないかという声もあり、システムの一部を天変地異による緊急事態に於いても活用できるようシステムを改良し、Li-IONバッテリーとカセットボンベ発電機を組み合わせて、他県との遠隔授業を行えるよう実証実験を実施した。商用電源が喪失したと仮定して、72時間程度の運用を目指して、システムの改良改善を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験協力校間で他校との調整が必要な課題については、教育委員会の許諾等も含め、文部科学省との連携で、少し進展があった。実証実験は学校長同士の許諾ででき、正規の授業として単位認定されるためには、様々な関門があり、様々な実証実験結果を示し、実証実験の段階を得ることで、教育委員会の理解が得られた。また、各県の情報通信に関する制限のため、その制限の中で実験を進めるのが最も難しことが示唆された。引き続き、他県との協同授業や、同一県内での他校との協同授業の実験を模索してゆく。 一方で、地震や津波、風水害などの天変地異において、教育の継続がはかれるよう、被害地に於いて、他県との遠隔授業で対応できるような、バッテリー動作可能な低電力システムも含めてシステムの改良と実験を実施し、電子黒板についても検証したが、各県の教育委員会の制度上の問題、法律上の問題や、情報通信に関する規定などの問題点を整理して、どのように進めれば、県を越えた協同授業が円滑に実施できるかをなどを中心に、研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
各県の教育委員会との折衝や文部科学省への照会により、法律上の問題点が整理されつつあるため、県を越えた遠隔授業による協同学習を正規の授業として認定を受けるべく、実証実験をさらに進めていく。特に、実験協力に関わる特定の教員だけでなく、多数の教員が参加して、他県との遠隔授業を円滑に進めていき、高等部専攻科以外の学科についても協同授業を実施できるよう、学校長を通じて進めていく。 また、将来的に、医療系の合同カンファレンスの実施に向けて、双方の多人数の参加を検討し、技術的な問題点などを精査していく。 さらに、天変地異に対応する様々な仕組みについて、1)電源確保、2)授業形態、3)教員の確保など様々な問題点について検討を進めていく。
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