研究課題/領域番号 |
21K02844
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
戸川 聡 四国大学, 経営情報学部, 教授 (20399166)
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研究分担者 |
金西 計英 徳島大学, 高等教育研究センター, 教授 (80204577)
近藤 明子 四国大学, 経営情報学部, 准教授 (60514081)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | eラーニング / 学習支援システム / 避難時学習 / 学習履歴保持 / ブロックチェーン / 学習履歴管理 |
研究開始時の研究の概要 |
学習環境のオンライン化が進んでいる.教育オンライン化は膨大な学習履歴収集を可能とし,AI技術を応用した学習支援等も検討されている.これら教育DXの進展には,学習者側においても安定した情報通信環境の存在を前提とする.一方,集中豪雨の多発やスーパー台風の発生など,災害激甚化が止まらない.激甚災害の多発は学習者を長期避難生活に陥れる.避難状況下での安定した通信環境確保は困難を伴い,学習継続を阻害される大きな要因となる. 本研究ではIoT機器を応用した学習者個別LMSの構築をはじめ,避難所におけるオンライン学習の継続と学習履歴保持を目的とした分散型学習支援フレームワーク構築を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究では,被災時における長期の避難生活下での学習継続と学習履歴確保を目的としたフレームワーク構築を目指している.特に自然災害の激甚化により避難生活が長期化するなか,被災後の不十分な情報通信基盤においてもeラーニングを継続し,学習履歴の保持を担保できる枠組みについて検討を進めている.学習履歴分析や人工知能(AI)の発展と相まって,AIを活用した学習者支援も加速すると考えられる.このため,災害発生時やその後の経過において,学習支援環境の維持と学習履歴の保持を担保しなければならない.これらの問題に対し,我々はエッジデバイスとブロックチェーンを活用した学習履歴の分散統合機構を提案し,その実装と効果検証に取り組んできた. 計画二年目の本年度は,提案するフレームワークを構成する要素技術を継続的にサーベイし,係る要素技術の技術的検証を行った.特に,ブロックチェーンによる学習履歴統合機構を設計後,技術検証のためプロトタイプシステムを実装した.実装された学習履歴統合機構によりラボレベルでの実証実験を実施し,その有効性の検証と問題点の洗い出しを行った. 今後,構築する学習履歴確保のためのフレームワークにおいて,プロトタイプによる実証実験の結果明らかとなった問題点に対する解決方法を検討し,改善点をフレームワーク実装にフィードバックする.これにより,提案する学習履歴確保のためのフレームワークとプロトタイプシステムの洗練を進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の研究計画として示した「LMS間連携機構開発」では,避難生活時におけるeラーニングでの個別学習の継続性確保を担保しようとするものである.また,「ブロックチェーンノード制御機構開発」では,災害時における学習者の学習履歴保持を担保しようとするものである.いずれもプロトタイプとしての実験的実装を試みてきたが,2022年以前から慢性化している半導体不足と,2022年2月24日に勃発したウクライナ侵攻による世界的サプライチェーンの停滞は,本研究で使用する予定であったIoTデバイスの調達にも影響を与えてきた.具体的には,ラボでの実証実験のためIoTデバイスであるラズベリーパイ4を複数台調達予定であったが,2022年度末においても供給困難な状況である. これらの状況から,クラウド環境上に仮想的にIoTデバイスを模した実験環境を構築するなど,実証実験のための対応策が必要となった.これらのエミュレート環境において,実装したブロックチェーンノード制御機構の稼働実験を実施した.実験により得られた成果と見出された課題は,関連論文や国際会議論文として報告済みであり,成果発表の点では相応の成果を残していると言える. しかしながら,先に述べた実証実験のための機材調達の問題は研究遂行の進捗に影響を与えた.また,2022年度においてもコロナ禍が収束したとは言えず,関連学会の開催自体に種々の影響を与えていたことから,成果公開の十分な実行が出来なかった点で課題が残ったと言える.
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今後の研究の推進方策 |
課題進捗における自己点検評価で示した通り,コロナ禍が未収束の状態であることや地域紛争の勃発など,学習継続を阻害するリスク要因が多様化している.これら多様化するリスク要因への対処が求められる.研究推進の観点では,地域紛争に起因するIoTデバイスのサプライチェーンが機能していないことから,クラウド上での実験シミュレートなど,評価方法について再検討が必要と考えている. 一方,IoTデバイスなどのエッジデバイスとその関連技術やバックエンドとなるクラウド関連技術の進展は目覚ましい.ブロックチェーン関連技術においてもその進展は目覚ましい.これらの成果進展を引き続きサーベイしながら,成果のフレームワークへの適用も併せて検討し,提案するフレームワークの洗練に取り組む.
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