研究課題/領域番号 |
21K02860
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
大下 晴美 大分大学, 医学部, 准教授 (00618887)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 英語絵本読み聞かせ / NIRS / 英語絵本 / 読み聞かせ / 視線追跡 |
研究開始時の研究の概要 |
2020年度より,小学校から順次新学習指導要領が施行され,導入期における「英語絵本の読み聞かせ」指導の効果が注目されており,英語学習や情緒面での効果についての研究が行われている。しかし,英語での絵本の読み聞かせや発達・学習段階の異なる対象者を比較検証した脳科学的研究はほとんどない。そこで,本研究では,小学生と大学生の被験者の脳の賦活状況の変化と視線の動向・注視の状況を比較検証することによって,未知語に対する寛容度の差,教材の難易度による差,指導法による差を明らかにし,脳のメカニズムに即した英語絵本の読み聞かせの教材選定法や指導法に関する教育的示唆を得る。
|
研究実績の概要 |
2020年度の小学校新学習指導要領施行に伴い,導入期における「英語絵本の読み聞かせ」が注目されている。英語絵本の読み聞かせでは,英語の音声に親しむことができるだけでなく,インプット量の確保,語彙の習得,情緒面での効果などが期待されている。本研究では,NIRSを用いて発達・学習段階の異なる小学生と大学生の英語絵本読み聞かせ聴取時における脳活性状態を比較検証することによって,英語学習導入期である小学生が英語を理解する際の脳内メカニズムを解明するとともに,英語絵本読み聞かせに関する教材選定方法や指導法に関する教育的示唆を得ることを目的としている。 2021年度には,言語理解に関する脳機能についての国内外の先行研究を概観した。その結果,NIRSを用いた言語理解・言語習得に関する先行研究,英語絵本読み聞かせに関する脳科学的見地からの先行研究はあまり見られなかったため,言語習得における脳科学的理論を広く検討した。2022年度は,実験実施のために倫理委員会の承認は得たものの,新型コロナウィルス感染症拡大に伴い,実験を当初の予定通りに実施できなかった。そのため,当初は3回に分けて実施する予定だった実験を1回にまとめて行うことができるように,実験計画および実験教材の見直しを行った。2023年度は2022年度に修正した実験計画に基づき,(1)既知語の理解および未知語の推測における脳活性状態の差の検証,(2)文字や絵の分量が異なる教材を提示した際の脳活性状態の差の検証,(3)コンテントスキーマの有無による脳活性状態の差の検証を行うための実験を小学生と大学生に対して開始した。また,実験を行うと同時に,予算の関係上,側頭葉および後頭葉の同時測定を行うことができないため,前頭葉と言語理解の関係に絞って文献の再調査・検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年5月に新型コロナウィルス感染症が5類感染症に移行したが,その後も新型コロナウィルス感染症およびインフルエンザが流行した時期があったため,予定していた実験数を2023年度中に終了することができず,遅れが生じている。まだ被験者数が十分に確保できていないことから,実験結果の簡易分析の段階であるが,小学生と大学生では各実験教材での前頭葉の賦活状況および賦活部位に差があることが確認できた。現在は新型コロナウィルス感染症およびインフルエンザの流行が収束しつつあるため,今後は順調に実験を行うことができると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は,遅滞していた実験を夏までに終了し,結果の分析,研究成果の発表・論文化を行う予定である。実験においては,小学生の対象者を3年生~6年生としていたが,外国語活動を受けている3・4年生と教科・外国語科を受けている5・6年生とは学習期間・内容の観点から実験結果が異なる可能性があるため,3・4年生と5・6年生も比較検証できるように,2024年度に実施する実験では各学年の被験者数がほぼ同数となるように調整を行いたいと考える。また,結果の分析においては,NIRSだけでなく視線追跡装置の結果も参照し,脳活性化の要因を多角的に分析したいと考える。以上の内容を研究成果として,学会での口頭発表および論文として発表する予定である。
|