研究課題/領域番号 |
21K02863
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 柴田学園大学 |
研究代表者 |
諏訪 才子 柴田学園大学, 生活創生学部, 講師 (30760243)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 声楽実技 / ルーブリック / 自己調整学習 / 評価アンケート / 協働 / グループ学修 / 自己効力感 / 自己調整学習方略 / レッスン記録 / オンライン授業 / テキスト / 新学習指導要領 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、教員養成課程の声楽指導における主体的な学び、すなわち自己調整学習を目指したルーブリックの開発と検証を目的とする。そのために、大学教育における「主体的に考える力」及び新学習指導要領のキーワードである「3つの柱」と「主体的・対話的で深い学び」に着目し、声楽実技のためのルーブリックと評価アンケートを作成し、改良する。さらに、ルーブリックに即したテキストを作成し、ルーブリックとテキスト、そして評価アンケートを用いて協働を取り入れた授業実践を行い、ルーブリックを活用した教育方法とその有効性について検証する。また、他領域の実技指導や初等中等教育の歌唱用ルーブリックへの応用と展開を試みる。
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研究実績の概要 |
教員養成課程の声楽実技指導における自己調整学習能力の育成に向けて、声楽実技用ルーブリック(改良版)と評価アンケート(改良版)を用いてグループ学修を中心とする授業を実施し、(1)授業前後での声楽スキルの変化、そして自己効力感及び自己調整学習方略の変化、(2)声楽スキルと自己調整学習方略との関連について検討した。ルーブリックは、大学教育の「主体的に考える力」、及び新学習指導要領の「3つの柱」と「主体的・対話的で深い学び」に着目して作成した。評価アンケートは、ルーブリックの内容を細分化したもので、自己評価による14項目の5段階評価の設問と自由記述からなる。さらに、授業の事前事後に、自己調整学習に関する質問紙調査を行った。 評価アンケートと質問紙調査で得られたデータについて、反復測定の一元配置分散分析、フリードマン検定、t検定及び重回帰分析を行った。その結果、声楽スキルは、授業回数を重ねるごとに向上し、授業実施後に、学習方略「学習計画を立てる」の使用が増え、自己効力感が向上した。さらに、学習方略「自律的援助要請」の使用を促すことが、声楽スキルの知識、技能、表現の向上につながり、学習方略「学習計画を立てる」の使用を促すことが、主体的に取り組む態度の向上につながることが示された。 以上のことから、ルーブリックと評価アンケートを用いたグループ学修を中心とする授業方法では、声楽スキルの向上・自己調整学習の方略獲得に加え自己効力感を高める効果もあることが明らかになった。 今年度は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行により、グループ学修を中心とした授業計画に加え、一斉授業による斉唱を行う学修を中心とした授業を行った。今後、引き続き声楽用テキストの作成を遂行し、ルーブリック、評価アンケート及びテキストを使用した授業を行い、その有効性について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で声楽の授業に制約がかかり、斉唱を行う学修中心の一斉授業から、少人数のグループ学修及びオンラインによる授業へと当初の研究計画を変更したため、予定よりも研究の進捗に遅れが生じている。しかしながら、少人数によるグループ学修を中心とした形態に変更して授業を実施し、改良版ルーブリックと評価アンケートを用いた学生の声楽スキルの向上及び指導の効果については検証を行っている。加えて自己調整学習に関する質問紙調査を行うことにより、声楽スキルの育成と自己調整学習能力の育成について、新たに有益な知見が得られた。 補助事業期間の延長により、当初の研究目的を達成できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、ルーブリックと評価アンケートを使用した声楽指導は、声楽スキルの向上とともに、自己調整学習能力の育成にも有効であることが確認された。一方で、ルーブリックを有効活用するためには、学生が客観性のある自己評価を行うことができるように、専門的知識を獲得するための方法を加える必要があることが示された。今後は、引き続き声楽用テキストの作成を遂行し、ルーブリック、評価アンケート及びテキストを使用した授業を行い、その有効性について検討する予定である。
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