研究課題/領域番号 |
21K02890
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
興治 文子 東京理科大学, 教育支援機構, 教授 (60409050)
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研究分担者 |
小林 昭三 新潟大学, 人文社会科学系, 名誉教授 (10018822)
右近 修治 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (60735629)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 思考の可視化 / CBT / 物理学における多様な表現 / 反駁文 / 視線追尾 / 単振動 / グラフ理解 / 動画分析 / 物理学における多様表現 / 思考過程の可視化 |
研究開始時の研究の概要 |
物理学を深く理解するためには、物理現象を文章、図、式、グラフなど多様な表現で理解する必要があり、またそれら表現間の変換ができることが求められが、このことが初学者にとって物理学の理解が難しい一因になっている。 本研究では、学習者の特にグラフの理解の困難について調査問題を作成し、視線計測装置を併用した調査および半構造化面接により明らかにする。さらに、これらの困難を解決するための方策として、動画分析ソフトやシミュレーションの活用の教育効果について検討する。このことは、CBTの普及やウィズコロナでの新しい学びの在り方に寄与するものと考えられる。
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研究実績の概要 |
学生が物理概念を理解する上での動画分析やシミュレーションの有効性、物理学の多様表現による理解の困難に関する調査は引き続き行ったが、視線追尾装置を用いて思考を可視化する調査には至らなかった。その理由としては、被験者が問題解法の際に単にモニターを見るだけでなく、書き込んだり操作できるような状況で調査を行うことを計画していたが、現在の実験装置では被験者の姿勢が悪い場合に視線のデータが取れないという技術的な問題が発生しており、すぐに改善できなかった。そこで、今年は被験者がモニターを見るだけの実験方法に変更し、文章構成の違いや図があることによる科学概念理解の有効性について検討を行うことにした。
文章構成については、先行研究において反駁文で提示された群は、通常の文章で提示された群よりも読む時間が短く、事前事後調査においても概念理解に有効であることが明らかとなっている。この研究について、先行研究とは調査方法を変え、文章全体がコンピュータの画面に提示される状況にして、被験者がどのように文章を読んでいるのかを視線追尾装置を用いた研究を行った。被験者数は約20名である。群による違いよりも個人差の方が大きい状況ではあるが、読む時間や概念理解の有効性についてはおおむね先行研究と似た傾向がみられた。 視線追尾装置を用いた研究を行ったことにより、反駁文で提示された群は通常文が与えられた群と比較して、反駁文を含む段落を読む速さが早いことが明らかとなった。これは、文章の要点が明示されているからだと考えられる。一方で、文章を読みなおしたり、内容理解のために図をどの程度参照するのか、いつ図を参照するのかについては、明確な結論を得ることができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者の姿勢が悪いと視線追尾装置を用いた実験において視線のデータが取得できないという問題について、実験方法の見直しを検討したが有効な改善の手立てを見つけることに困難が生じ、計画を延期することとした。 新たに行った文章構成の違いと図が科学概念形成に与える影響についての研究についても、モニターに表示した問題文の分量が若干多く、被験者がどの段落を読んでいるのか、図をどの程度見ているのかなどの解析の際に明瞭ではない結果が出る場合があった。モニターに表示させる問題文を短くする、被験者自身が問題文をスクロールして読むことができるような調査方法にするなど、調査方法の見直しを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
被験者の姿勢が悪い場合に視線のデータが取れないという技術的な問題については、実験方法を引き続き検討し、来年度は当初の研究計画を遂行する。
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