研究課題/領域番号 |
21K02896
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 大阪公立大学工業高等専門学校 |
研究代表者 |
中谷 敬子 大阪公立大学工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60295714)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 技術者キャリア発達支援 / ナラティブアプローチ / 理工系女性技術者 / 場の設計 / 内的キャリア / 統合的ライフプランニング / ユニバーサルコミュニケーション / ユニバーサルコミュニケーションデザイン / キャリア発達 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、幅広い世代と多様な個性とキャリア発達および構築の経験を持つ個人から成る集団での、互いの課題と価値観に直接触れるナラティブな語り合いとその場の力動が、個人の価値観と続くキャリア実践与える影響に着目する。個人が、他者の実践についての語りと照らし合わせ、個人の特徴に沿う解釈で内面に落とし込み、能動的に得た知識を、自らのキャリアの転換に積極的に活用し、実践可能な戦略を構築し、キャリア意識と資質の変容していくプロセスを分析することにより、より有効なピア・サポータブルな場を設計・提案する。
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研究実績の概要 |
前年度の、ナラティブな語り合いがなされるピア・サポータブルな場での中堅層女性技術者の個人のキャリア構築プロセスの意識変容の心の動きの考察を経て、令和4年度は、『より若年世代へのキャリア構築プロセスのフィードバックの効果の検証』に向けて、主に、高校生、高専生、そして、大学生を若年世代と設定して、中堅~定年後の60歳代、70歳代とのかかわりが持てる場を設計した。 具体的には、キャリア発達プロセスの特徴のフィードバックが意識変容とプロセスに与える効果の検証として、特に、企業(組織)の中で、キャリアを積み重ねた、女性、および、男性技術者との語り合いを設定した。語り合いは、語り合うことを目的とするのではなく、彼らが実践したいことを達成するための知恵袋的な役割を担う「匠」集団として、中堅およびレガシー世代の技術者を位置づけ、助言はサポート実践をする際の議論や語り掛けに、彼ら自身も無意識のうちに、自らのキャリアで得た知恵や技術、マインドを語っていることが分かった。すなわち、実際に、両者は目に見える目的を達成するために「議論」をしているのであるが、それと同時に、「語り合い」というマインドの交流が起こっていることがわかった。 当初想定したキャリア発達のピア・サポータブルな場は、キャリア発達そのものを扱うことを当初想定したが、具体的な全くそれには関係のない実践目標を達成するためにピア・サポータブルな活動をする中で、キャリア発達に大きな影響を与えることが明確となった。 また、申請者は、2021年度の理工系女子学生のダイバーシティ研究に対する日本工学教育協会JSEEAword受賞に続き、2022年度に内閣府令和4年度 女性のチャレンジ支援賞を受賞した。この受賞は、男女共同参画領域でのキャリア発達支援の場づくりのためのメカニズム分析の研究の成果が学術的だけでなく実践的にも評価されたものと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初想定したキャリア発達のピア・サポータブルな場は、キャリア発達そのものを扱うことを当初想定したが、具体的な全くそれには関係のない実践目標を達成するためにピア・サポータブルな活動をする中で、キャリア発達に大きな影響を与えることが明確となり、今後の場づくりに大きな指針を与える結果を得ることができたから。 テーマを設定するのではなく、当事者が当事者自身の実践すべき(したい)事柄の目的達成のために両者が協働的に課題に向かうことで、その目的達成とは別の、キャリア発達の支援が連動して起こっているということを、引き起こす場を創ることができたから。 語り合いは、語り合うことを目的とするのではなく、彼らが実践したいことを達成するための知恵袋的な役割を担う「匠」集団として、中堅およびレガシー世代の技術者を位置づけ、助言はサポート実践をする際の議論や語り掛けに、彼ら自身も無意識のうちに、自らのキャリアで得た知恵や技術、マインドを語っていることが分かった。すなわち、実際に、両者は目に見える目的を達成するために「議論」をしているのであるが、それと同時に、「語り合い」というマインドの交流が起こっていることがわかったことは今後の研究に大きな成果となる。
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今後の研究の推進方策 |
キャリア発達のピアサポータブルな場を、静的なモノでなく、動的な、場から飛び出して社会と交流しながらの活動を、若年・中堅女性技術者・女子学生(男性技術者・男子学生も含む)がよりキャリアを積んだ中堅・レガシー世代と、協働的な活動をする機会を提供する。その中で、目に見える具体的な目的のための協働実践の裏側で同時並行的に起こっている、キャリア発達プロセスの特徴を分析する。語り合いの中のフィードバックが意識変容とプロセスに与える効果の検証を、聞き取りとインタビュー分析から解明する。最終年度は、人生全体、および、キャリア転機に焦点を当てたキャリア発達のメカニズムの解明を目的として、過去2年間で得た個人の価値観と続くキャリア実践に与える影響を考慮した、多様な個性とキャリア発達および構築の経験を持つ個人から成る集団での、互いの課題と価値観に直接触れるナラティブな語り合いとその場とそのカリキュラムを完成する。場の力動が、個人の価値観と続くキャリア実践に与える影響と、長期スパンの人生全体にわたるキャリア転機に焦点を当てたキャリア発達のメカニズムも、同時に明らかにする。申請者が持っているヒューマン・ネットワークを活用して、女性技術者・研究者の活躍が目覚ましい国の一つである米国での実践について、調査、情報収集、および、研究への反映を目指す。
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