研究課題/領域番号 |
21K02900
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩城 奈巳 名古屋大学, 国際機構, 教授 (50436987)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | STEM / 理工系学生 / 留学 / 交換留学 / 短期留学 / 理工系学生留学 / 海外インターンシップ / STEM教育 / 国際人材育成 / グローバル人材育成 |
研究開始時の研究の概要 |
「STEM教育機関での国際性育成効果の調査・検証」(2021年度) 「留学前・留学中・留学後教育の実施」(2021~2023年度) 「研修プログラムの開発・実施・評価」(2021~2024年度) 「日本の理工系学生に特化した国際人材育成政策の提言」(2023・2024年度)
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研究実績の概要 |
本研究はこれまで学術・専門知識の習得を重要視してきた理工系教育に、語学、異文化への適応・対応スキル等を習得する国際教育分野のカリキュラムを加えることで日本の理工系学生に特化した国際競争力向上に寄与する教育モデルを構築することを目的としている。今年度も昨年度に続き、夏および春に北米にて開催した短期留学に参加した理工系学生を対象にSTM生に必要な国際教育に関する調査をおこなった。昨年度実施した調査でも多くの学生が理工系学生の留学は就職活動やキャリアアップで大きなアドバンテージになる、留学は海外の最先端の技術や研究に触れることができるよい機会になる、と回答したため、今年度は短期留学中にさらに多くの日系企業への訪問を組み込んだ。現地では、日本から出向している駐在員に協力を得て海外で働くことの意義、やりがい、そして課題について話を聞く機会を設けた。学生からは今まで意識してこなかった海外での会社員としての生活を具体的に知ることができ今後のキャリアの参考になった、自分の可能性がひろがったと、大変前向きな感想が多かった。STEM生が海外に眼を向ける良いきっかけになるため今後も留学プログラムに日系企業訪問、駐在員との対話の場を積極的に組み込んでいく。STEM生は語学の面で自身が人文系学生と比較して劣ると思う傾向にあるということが多く報告されているが、実際は自身の専門分野であれば積極的に留学先の研究室訪問をおこなったり、ラボ見学にいったり、講義終了後に担当教員に質問をしたりと、興味の持てる分野であれば語学力よりも自身の興味が上回ることも垣間見えたことも今回の調査では大きな収穫である。理系だから語学が苦手であるとの学生の思い込みを取り払うことを教えることもSTEM生の国際化教育には大切であると感じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は2つの短期留学を通して新たな研修プログラムの開発・実施を目指した。協定校のオレゴン大学にて夏休みに実施された理工系生対象のSAIL (Student Academic to Inspire Learning) プログラムに学生を派遣した。具体的に、Biology, Environmental Science, Chemistry, Computer Science, Physicsなど理工系に特化されたプログラムが用意され、学生は自分の専攻に沿った科目を選択して研究室の見学、実験見学を現地生とともにおこない、さらにその分野のポスドクとのディスカッションなども実施した。このプログラムを足がかりに参加学生には交換留学などの長期留学に進めるようフォローアップをしている。また、ノースカロライナ州立大学にて実施したプログラムにはSTEM生が9名参加し、それぞれ研修中に専門分野の講義聴講やラボ訪問をおこないSTEM生への留学に関する意識づけには成功した。参加学生には滞在中面談し、理工系学生に求められる専門分野以外の能力についての聞き取りをした。さらに日経企業訪問を通して、理工系の卒業生が海外にて必要とされていることについての気づきもあった。これらを通し、予定していた現時点まで得た知見を組み込んだプログラム構築までは進めることができたが、新たな要素を取り込んだ春休みでのプログラム実施には至らなかった。所属組織の改変による人員削減のため学内業務を優先し後期は研究に着手することが困難であったことが主に理由である。プログラムは準備できているので来年度の夏休み・春休みに実施する短期留学プログラムにて実施を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
今年度実施に至らなかったプログラムは来年度オレゴン大学、ノースカロライナ州立大学にて開講する夏休み、および春休みの短期留学プログラムにて実施したい。ノースカロライナ州立大学では実施してきたラボ訪問、日系企業訪問を継続するが、プログラムに取り入れた理工系学生が社会にて求められる役割についてより深く考えさせ、学生発表を予定している。また、オレゴン大学ではSAIL (Student Academic to Inspire Learning) 開講時期が来年度は学生派遣と合わないため、現地と交渉して昨年度よりさらにSTEM生に特化した本学学生独自のプログラムを実施することとなった。このプログラムはより研究要素も含んだものになっている。また、新たな取り組みとして工学研究科にて開講が予定されている地域コミュニティにて留学生と本学学生が協働し、地域おこしのグループプロジェクトを提案するセミナーの一旦を担う。これは目標として掲げている「理工系学生国際性育成講座」の開講のトライアルとして位置付ける。2つの短期留学、理工系学生に地域おこしセミナー、これらの活動を通して得られた知見をもとに、日本の理工系学生に特化した国際人材育成政策提言を目指す。具体的な活動を通して従来理系学生に求められてきたハードスキルだけでなく、自己表現力や異文化コミュニケーション能力、クリティカル・シンキングなどのソフトスキルを持つグローバルな人材育成に繋げたい。これらは日本の理工系学生のグローバル人材育成に関する研究に寄与し、産学官が協働で進める「理工系人材育成戦略」の社会的要請に応え、最終的に「世界規模での課題発見・解決」できる学生を生み出す普遍的なプログラムの構築に繋がると考える。
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