研究課題/領域番号 |
21K02911
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
野崎 健太郎 椙山女学園大学, 教育学部, 准教授 (90350967)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 物質循環 / 分解者 / 土 / 水 / 保育 / 学校教育 / 教材 / 幼児教育 / 科学教育 / 栽培活動 / 陸域 / 水域 / 環境教育 / いのち / 好奇心 / 食育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、幼児の科学教育教材として定番である自然観察、飼育・栽培、食育を用い、それらを「物質循環」の枠組みでつなぎ、包括的に理解を深めることを目的とする。教材開発は、常に「何か新しいものSomething New」を問われるために、専門化、細分化する方向に進む。その結果、課題解決のための教材開発から、研究目的の教材開発へと変質し、開発された複数の教材を組み合わせて行う統合化の実践は乏しくなっている。本研究は、教材を「物質循環」という枠組みで統合化し、研究者が保育教諭と合同で長期間に渡り子どもたちと直接接しながら実施する。本研究によって、「小さな知の探究者・実践者」を育むことが期待される。
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研究実績の概要 |
2023年度は保育・学校現場に研究成果を還元するための教材開発に注力した。保育では、物質循環における分解者の存在と役割を幼児に認識させるための絵本製作を行った。材料は身近な小動物で子どもたちに人気のあるダンゴムシとした。筆者が保育に参画している勤務先系列のこども園では、落葉や雑草を燃えるゴミとして処理していた。そこでこれらが分解を受け土がつくられることを主題とした。まずダンゴムシを飼育し落葉の分解実験を行った。その結果、落葉には選好性があること、ダンゴムシ成体3匹が5~7日間で落葉3枚を分解すること、分解速度は気温の高い時期に早いこと、ダンゴムシは落葉を速やかに分解するがその大部分をフンとして排出し体重は増加しないことを確認した。これらの結果をまとめ、野村沙希氏(豊田市保育教諭)と「つながるいのち」と題した絵本を作成した。 学校教育では、身近な自然の存在を伝える冊子の制作を行った。筆者がPTA会長を務めた豊田市立梅坪台中学校において、期間限定の企画「梅坪の自然」を2022年4月から2023年12月まで29回実施した。この連載のために梅坪台中学校教頭の黒田渉氏(現在、豊田市立本城小学校教頭)、PTA会員の河合寿八氏と「梅坪の自然研究会」を結成した。連載終了後、他の競争的研究資金も得て、29回の連載を「植物編」「動物篇」「地理編」に区分して冊子に編集し、2024年3月に全カラー頁58頁の「梅坪の自然」を発行した。全部で150部印刷し、その内50部は教師用としてタブレット学習に利用できるようにDVD-Rを添付した。完成した冊子は、梅坪台中学校に生徒用40部+教師用2部、梅坪小学校に生徒用35部+教師用2部を寄贈した。今後、近隣の小学校、中学校の図書室、豊田市立図書館および交流館図書室に順次、寄贈する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の成果を学会発表、学術論文発表、書籍発行といった学術的な活動に留めず、保育や学校教育の現場で活用できる教材開発の実現に結びつけたことを評価している。絵本や冊子については現場の先生方からも高い評価を受け、2024年6月には、豊田市公立こども園2園から園内研修の講師として招待されている。また「梅坪の自然」は、新しいPTA活動の事例として地域新聞の取材を受けている。
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今後の研究の推進方策 |
保育および学校現場で実践してきた内容をまとめ学術論文として発表することに注力する。合わせて保育・学校現場での「物質循環」の考え方を先生方と議論し、SDGs教育と重ねていくことを目指す。
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