研究課題/領域番号 |
21K02924
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
松永 泰弘 静岡大学, 教育学部, 教授 (80181741)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Unity in Diversity / United by Emotion / 動くおもちゃ / 探究 / ものづくり / 保護者アンケート |
研究開始時の研究の概要 |
本研究で取り扱う開発教材は、不思議や驚きを伴い、探究を深めるものづくり教材であり、技術革新の一端に触れ、技術者と同じような創意工夫・試行錯誤を経験する。関心意欲の原動力は、不思議さや驚きであり、熱中する姿が出現する。授業実践でのものづくり・探究活動を通して、こどもの自主的・積極的・対話的活動を多面的な分析により明らかにする。さらに、多様性が尊重された学習集団によるものづくりと探究の中で、多様な予想、確かめ、振り返りにより興味や関心を深め、また、様々な考えに触れ、自己の思いや考えなどを判断し、新しい思いや考えを生み出す喜びや味わいを感じながらよりよいものにする姿の出現について明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究で取り扱う開発教材は、子どもたちの科学の芽として最も重要とされる不思議や驚きを伴い、探究を深めるものづくり教材であり、産業界の技術革新の一端に触れ、技術者と同じ創意工夫・試行錯誤をともなう経験が可能である。本年度は、これまでの研究を発展させ、新学習指導要領、科学技術基本計画、STEM/STEAM教育、ESD教育の実施を促進するための探究型ものづくり教材の開発と実践による検証を行ってきた。 今年度の教材開発は、①位置エネルギーを利用した受動歩行教材(製作が困難な金属製と製作が容易な紙製)、②芸術性と鑑賞者を意識した制作を伴うオートマタ教材(創造性が要求される教材と部品を組み立てるだけで完成する教材)、③幼小対象の動作原理を追究する動くおもちゃ教材(道具を使用する教材と組み立て式の教材)、④理数探究における数学的ものづくり活動教材(塩山、相貫体、積層体)、の4つの柱で開発を進めた。動くおもちゃにおける科学的探究内容を、運動の理論解析、実験、シミュレーション解析により明らかにした。また、探究を深めるための手立て、授業の流れ、ワークシートなどを開発してきた。 授業実践におけるものづくり・探究活動を通して、子どもたちの自主的・積極的・対話的活動と子どもの変容を心理学的分析の手法を用いながら多面的な分析により明らかにした。多様性、特に障害の有無、異年齢という点では実践できなかったが、発達・知識・技能の差、多様な価値観などの多様性が尊重された学習集団によるものづくりと探究の実践は、コロナ禍による困難を抱える中で実施された。学習集団が、おもちゃものづくり・あそび・探究の結びつき、感動や驚き・不思議により、つくりたい、学びたいという思いが一つになること(United by Emotion)で、豊かな活動とまなびが表出する(Unity in Diversity)内容について分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
オンラインで開催された国内の学会を中心に研究発表を行っており、8本の査読付き論文(4本の学術雑誌論文、1本の国際学会誌、3本の研究紀要)の掲載、15件(2件の国際会議、13件の国内学会)の研究発表を行い、研究の成果を公開している。また、4本の論文が学術雑誌に投稿中であり、モンゴルおよびニュージランドで開催される国際会議での発表を予定している。 今年度の教材開発は、①位置エネルギーを利用した受動歩行教材(製作が困難な金属製と製作が容易な紙製)、②芸術性と鑑賞者を意識した制作を伴うオートマタ教材(創造性が要求される教材と部品を組み立てるだけで完成する教材)、③幼小対象の動作原理を追究する動くおもちゃ教材(道具を使用する教材と組み立て式の教材)、④理数探究における数学的ものづくり活動教材(塩山、相貫体、積層体)、の4つの柱で開発を進めている。 国内においては、附属学校を中心に小中学校、高校、静岡大学講義において授業実践を行っている。特に、3つの教材に関しては1年間を通して探究の授業を実施した。子どもたちの変容を子ども、保護者、教師のアンケートの3種類のアンケートから、質的分析および定量的分析により、明らかにしている。開発した探究教材の意味や価値を保護者のアンケートから明らかにしている。子どもの学びの継続・深化を引き起こす要因についても評価・考察している。 ただし、予定していた多様性が尊重された学習集団によるものづくりと探究の実践は、新型コロナの影響で制限されている。そこで、発達・知識・技能の差、多様な感情・価値観に限った緩い多様性の範囲の学習集団において、おもちゃものづくり・あそび・探究の結びつき、感動や驚き・不思議により一つになること(United by Emotion)による、豊かな活動とまなびの表出(Unity in Diversity)について分析している。
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今後の研究の推進方策 |
教材のさらなる開発を進めながら、開発した教材を用いた実践では、国内においては子ども園、特別支援学校、附属幼稚園、附属小中学校、高校、静岡大学講義、国外においても、幼稚園、特別支援学校、また、これまで実践してきたモンゴルの小中一貫校での実施を計画している。子どもたちの変化を子どもたち、保護者、教師(保育者)への3種類のアンケートから、質的分析および定量的分析により、明らかにする。特に、国内外の研究者と現場からの評価を検討し、今後の開発および実践に生かして行く。 学校での授業実践に関する制限がなくなりつつあるが、家庭やweb上での取り組みとして、① 家庭での取り組みを展開し、材料、つくり方・あそび方・探究シート、アンケート用紙などの配布、② 全国の幼小中高大を対象に、webで発信し、アンケートをとる、③ 世界に向け多言語(英語、中国語、ポルトガル語、フランス語、モンゴル語)で発信し、アンケートをとる、などの可能性を探る。子どもたちの活動を明らかにするだけでなく、webでの子どもたち同士の交流について可能性を探る。 今年度の研究で明らかになった子どもの発達の多様性(支援が必要な子どもも含めた多様性)の中から生まれる豊かな活動について、理論的な背景も含め明らかにしていく。 開発している教材の研究対象とする分野は、技術教育、幼児教育、特別支援教育、数学教育、理科教育、美術教育などの分野からなり、その主要な4つの学会(日本産業技術教育学会、日本数学教育学会、日本保育学会、日本特殊教育学会)を中心に研究発表を行っており、今後、他の教育学会での発表にも力を入れる。
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