研究課題/領域番号 |
21K02926
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
|
研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
谷口 和成 京都教育大学, 教育学部, 教授 (90319377)
|
研究分担者 |
伊藤 崇達 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (70321148)
笠 潤平 香川大学, 教育学部, 教授 (80452663)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 自己調整学習 / 学習指導モデル / 学習方略 / 学習観 / メタ認知 / アクティブ・ラーニング / 認知発達 / 物理教育研究 |
研究開始時の研究の概要 |
生徒,学生の物理学習に対する理解状況や学習意欲の状況について実態調査を行い,その結果に基づき,学校の授業から家庭学習や定期テストといったすべての学習活動をとおして,自らの学びの状況をふり返り,状況に応じた適切な方法を選択しながら,学びを深め,継続すること(=自己調整学習)ができる生徒を育成する学習指導モデルを開発する。開発したモデルは,現職教員を対象とした研修講座等をとおして広く提案する。
|
研究実績の概要 |
本研究は,物理概念の定着を目指すアクティブ・ラーニング(AL)型授業において,自己調整学習の3つの要素<動機づけ><学習方略><メタ認知>への能動的な関与を促す,物理の学習指導モデルの開発,普及を目指している。 初年次となる昨年度は,対象とする高校生・大学生の①自己調整学習における上記3要素の実態と②認知発達(科学的思考力)の状況および③物理概念の理解状況の関係を調査し,これらについて,研究協力校および本学における授業実践を通じて検討した。その結果,[1]認知促進の理論に基づく認知的(科学的推論力)支援が情意面(動機づけ)を支援すること,[2]動機づけを促す支援としての「宿題(家庭学習)」のあり方,[3]学習方略の活用状況,特に「リハーサル方略(繰り返し,丸暗記など)」が物理概念理解に負の影響を及ぼす可能性を示唆する結果を得た。 2年次となる本年度は,昨年度の成果に基づき,(1)昨年度に引き続き,高校生,大学生の上記①~③の調査とともに,④学習に対する個人的な信念(学習観)の調査を実施し,物理概念理解に影響する要因を明らかにすることを目指した。また,(2)物理および理科授業を通して学習方略を促す支援方法を実践的に検討した。その結果,(1)については「メタ認知的方略」を活用する学生・生徒ほど概念理解が進む傾向があるが,その価値を認める「学習観」を保持している必要があることが明らかになった。また,(2)については,具体的な状況を設定しても,学習方略を教授するだけでは定着は難しく,学習者がその必要性を「自分事」として認知するような工夫,すなわち「学習観」をいかに育むかが重要であることが明らかになった。 また,年度後半には,「物理概念理解と学習方略」研究会を開催し,物理教育関係者と活発な意見交流を通して,ここまでの成果と課題について共有および次年度に向けた研究協力の依頼を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度もコロナ禍の影響があり,研究協力(公立)校での実践的な研究は制限を受けたが,本学附属校の協力を得ることにより,その問題を回避した。むしろ,第3年次に計画している「年間を通した支援」を先行実施することができ,本実施に向けた具体的な展開と課題を事前に明らかにした。 また,年度後半には,本研究課題の研究協力母体となる「アドバンシング物理」研究会にて「物理概念理解と学習方略」研究会を開催し,成果と課題を共有するとともに,次年度に向けた研究協力体制を構築した。
|
今後の研究の推進方策 |
上記【概要】①~④の調査の対象を複数の国公立,市立の中学,高校に大幅に拡張し,物理概念や理科学習における理解度との相関,特に「メタ認知」を軸とした学習観と学習方略および認知発達の状況との関係を量的,質的に明らかにする。また,年間を通じてそれらの獲得を支援する授業プログラムを研究協力校および大学において構築,実践する。 その評価に際しては,実践前,途中,後の各段階において,同質問紙調査を行い,実践前後の変容を量的に分析するとともに,授業の録画および参加生徒へのインタビュー調査により質的な評価も行う。 以上の結果について,研究協力母体である「アドバンシング物理」研究会にて随時,報告し,学習者が自己調整をしつつ概念理解を実現する授業モデルの構築に向けた検討を進める。 さらに,一定の成果ごとに関連学会にて発表したり,海外の研究者と議論をしたりなどして,授業モデルの普遍化を目指す。 年度末には,ミニシンポジウムを開催し,その成果報告を行い,さらなる発展に向け,物理教育関係者で問題意識の共有を図る。
|