研究課題/領域番号 |
21K02941
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
小倉 巧也 北海道科学大学, 保健医療学部, 助教 (20849228)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 放射線教育 / 理科教育 / 仮想現実 / 放射線 / 教育教材 / バーチャルリアリティ / 科学教育 / 教材開発 / VR:Virtual Reality |
研究開始時の研究の概要 |
福島第一原子力発電所事故発生後,原子力災害被災地では小学校児童の放射線リテラシー獲得を目的とした様々な放射線教育プログラムが実施されている.しかし,小学生にとって目に見えない現象である放射線を概念のまま正しく理解することは発達段階の観点から困難であり,より直感的理解を支援する放射線学習教材の開発が求められる. 本研究では,小学校児童に対し放射線の基礎的な性質に関する知識を無理なく導入するために,仮想現実を利用した視覚体験型の新規放射線教育教材を開発する.本開発教材は実践を通して学校教育用教材として最適化し,その後,考案した学習指導案と共に一般化することで全国に広く普及化を図る.
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研究実績の概要 |
本研究は,放射線に関する基本的な概念を小学生児童へ無理なく導入するために,直感的理解を支援する視覚・体験型の仮想現実放射線教育教材の開発を行うことを目的としている.なお,12歳以下の児童について,ヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)を使用した3D立体視を含むバーチャルリアリティ(以下,VR)体験は,斜視や不同視を引き起こす懸念があることが報告されており,本研究ではHMDを使用しない仮想現実教材の開発を進めてきた.仮想物体を現実空間に表示する技術の一つとして,拡張現実(以下,AR)がある.VR体験の大きな特徴である「仮想空間内に置かれた物体を操作する」ことを実現するために,研究代表者は放射線源や遮へい材等の操作によって生じる結果および現象を立体表示するAR教材を複数種類開発し,これら教材の表示位置を実空間で操作することによって,仮想物体の疑似的操作を可能にするオリジナルな放射線教育教材を考案した.2021年度末までに小中学校の教職員に対して放射線教育教材開発のニーズ調査を実施した.それを踏まえ,2022年度から2023年度まで,オリジナルな仮想現実放射線教育教材の開発を実施し,予定していた全ての教材開発を完了した.今年度はこれまでに開発した教材および学習指導案を使用して教育実践を行い,その教育効果を評価する.また,本研究を通して得られた成果は学会発表および論文投稿等によって広く周知を図る.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北海道及び福島県の小学校教諭に対する質問紙調査の結果から,教材開発のニーズが高かった「放射線の線種毎の飛程距離の違い」「放射線の透過性」「放射線の防護(遮蔽)」について,昨年度までに視覚体験的に学べる仮想現実教材の開発が全て完了した.特に遮へいに関する教材は粒子および光子の動作を付与し,児童および生徒の関心を引く教材とした.また,それに併せてオリジナルな学習指導案を開発し,教育現場で実践可能な段階まで順調に進められている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発したオリジナルな教材を用いて教育実践を行う.併せて,その教育効果についての評価を行う.具体的には,公営施設における科学教室等の機会を利用し,開発した学習指導案に沿って教育を実践し,教育前後の理解度調査によって教育効果を評価する.教育実践と並行して,更なる教材開発のニーズ調査を実施し,新たな仮想現実放射線教育教材の開発にも着手する.児童生徒に対して仮想現実技術を駆使したリアルな視覚体験の機会を創出し,目に見えない放射線を無理なく導入することを実現するために更なる教材開発と教育プログラムの開発方針を計画する.
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