研究課題/領域番号 |
21K02942
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山内 保典 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (40456629)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | アカデミック・インテグリティ / 学習倫理 / オンライン授業 / 生成AI / 教材開発 / 実態調査 / 不正行為 / オンライン授業/試験 / 倫理教材 / 生成系AI / ソーシャルリスニング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、大学でのオンライン授業の急速な拡大を背景に、新たな広がりが懸念されるオンライン授業や試験に特有な不正行為、及び、不正行為に対する認知の実態を、大学生を対象としたWEBアンケートで明らかにする(研究1)。その結果を基に、対面式授業を前提とした現行のアカデミック・インテグリティ(学習や研究における誠実性)教材の限界を克服すべく、オンライン授業における不正行為も視野に入れた教材の開発と実用可能性調査を行う(研究2)。
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研究実績の概要 |
2023年度は、1.生成AIの普及により研究計画の見直しが必要になったこと、及び、2.研究代表者のその他の業務の多忙、子の養育という、2つの事由により、当初計画の遅延・変更が生じ、補助事業期間延長を申請し、承認された。 当初、本研究では、オンライン授業での不正行為の実態把握と、その結果に基づいた学習倫理教材の開発を計画していた。実際に、2021年度の調査結果に基づき、オンデマンド授業での不正視聴(過度な高速視聴や飛ばし見など)、リアルタイム・オンライン授業での不正(ログイン状態での長時間の離席など)、オンライン試験での不正(画面外でのカンニングなど)に関して、事例教材、兼、調査項目の開発を進めていた。 しかし、2022年秋に生成AIが登場し、一気に普及したことで、学習における不正行為を巡る状況が一変した。生成AIは目まぐるしく発展し続け、例えば、当初は不自然だった文章も、今や人間が書いた文章との見分けがほぼつかなくなった。見分けがつかなくなれば、生成AIの利用を禁ずることは、実質的に困難になる。この事態に対し、1.利用を禁ずるために、相応の監視コストを負担する、2.利用を禁じず、学生の自律に任せる、3.むしろ利用を奨励しAIの活用スキルを向上させるなど、教員間でも意見が分かれている。 そこで2023年度は、生成AIの不正利用を含む研究計画に変更するため、生成AIに関連する学習倫理に関する情報を収集しつつ、生成AIを用いた学習における不正行為に関する事例教材の作成を開始した。試作した事例教材は、大学1年生を対象としたグループ議論の題材とし、学生からもフィードバックを得た。 2024年度は、オンライン授業での不正行為と、生成AIを用いた不正行為に関する事例を基に、それらの事例に対する学生の認識を調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度は、1.生成AIの普及により研究計画の見直しが必要になったこと、及び、2.研究代表者のその他の業務の多忙、子の養育の2つの事由により、当初計画の遅延・変更が生じ、補助事業期間延長を申請し、承認された。 2023年度は、生成AIの登場により、研究計画の変更を余儀なくされた。生成AIをめぐる学習倫理の状況が目まぐるしく変化する中、新たな研究計画の検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に作成した生成AIの授業場面での利用に関る事例に基づいた調査票を準備し、大学生から見た学習倫理と生成AIの使用に関する認識を明らかにする。事例を視聴した上で、不正のトライアングルの観点(機会、動機、正当化)から、学生の認識を把握する。特に正当化については、教育関係者の間でも生成AIの使用を肯定する意見と否定する意見がある。それらの意見に対する、学生の認識を調査する。 その結果を基に、オンライン授業と生成AIに関する事例教材を洗練させる。生成AIのメリットとデメリットを学生が考え、どう利用するかの方針を学生が考えることを目的とした教材を作成する予定である。
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