研究課題/領域番号 |
21K02950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
喜多 雅一 岡山大学, 教育学研究科, 特命教授 (20177827)
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研究分担者 |
鈴木 孝義 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (80249953)
榊原 保志 信州大学, 教育学部, 名誉教授 (90273060)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | システム思考 / Earth4Allモデル / Big Picture Thinking / カリキュラム / 中学校理科 / 高校化学・物理の融合 / ネパールの水の循環 / グローバル・コンペテンス / ツール / 電気伝導度 / 化学電池 / 水の循環 / 高校化学 / 化学教育 / 責任ある研究・イノベーション / ポストコロナ / 社会環境学 |
研究開始時の研究の概要 |
現在COVID-19 禍において,科学教育のパラダイムシフトが世界規模で加速され,グローバルな課題解決の核となる化学教育(市民教育と研究者養成)にシステム思考(ST)の導入が求められている。化学のミクロ<-->マクロ<-->グローバル(地球システム)を相乗的に分析することが求められ,同時に科学技術開発における責任ある研究・イノベーション(RRI)の枠組みによる取り組みも求められている。本研究では,中学校理科,高等学校の化学や理数探究,大学ならびに大学院の化学専門教育(特に物理化学や環境化学)を対象にST のアプローチ並びにRRI を取り入れ,実践可能なカリキュラムや教材を提案する。
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研究実績の概要 |
化学教育に「システム思考」の方法を取り入れる研究を行っているカナダ,英国,米国の研究者の研究状況調査を意見交換も含めて行う予定だったが,令和4年度もCOVID-19のため,断念し,次年度以降に繰り越した。今年度は昨年度と同様に,文献調査,特に2022年に発表されたSandrin Dixson-Decleveらの「Earth for All」(50年ぶりのローマクラブ報告書,システムダイナミックスモデルEarth4Allを用いた1970-2100年までのシミュレーション)を化学教育にも取り入れられるかの可能性を追求した。この成果は令和5年度に発表する。また2022年のOECDのVeronica Boix Mansillaら「Big Picture Thinking」(2018年のPISAのグローバル・コンペテンスの結果分析)でも社会環境学的なシステム思考の重要性が主張されており,これを分析して,学会発表した。また岡山県内のSSH2校と中学校1校でシステム思考についてのアンケートや授業実践を実施した。またネパールで,共同研究者の榊原保志とともにシステム思考を取り入れる授業実践を中学校高校で実施した。いわゆる理科の教科の一単元としてシステム思考を取り上げることの難しさや,学校教育であらわに扱わないシステム間での因果関係やその動的な変化は中学生や高校生には創造しにくいことが明らかになった。放送大学岡山学習センター内にシステムダイナミックスVensimの勉強会を立ち上げて,その使用法や応用を学部生や院生に共有し,研究に使ってもらう活動も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外の動向調査が文献のみとなり,実際のどのようにカリキュラムに取り入れられているかがCOVID-19の影響により,不十分である。なお,共同研究者間でどのように研究を進めていくかの議論を学会発表やネパールでの実践研究を共同で行った。また,喜多・榊原は連名で研究発表を行った。 化学教育にとどまらず,小・中・高校の理科の中で「システム思考」に必要な技能や能力がアメリカの次世代科学教育やオーストラリアのK-6の科学とテクノロジーのカリキュラムにしっかり位置づけられており,STEMならびに文理融合のツールとしても注目されていることを文献調査で明らかにした。合わせて,教科内容を社会や地球規模の問題として概念図としてまとめる方法が地学(地球システム),生物(生物の中の様々なシステム),化学(ミクロ-マクロ-グローバル),物理(エネルギーシステム)において考えられており,これをカリキュラムから授業レベルの活動へと練り上げていく必要がある。研究としての焦点化がこれらの文献調査によって明らかになってきている。 実践レベルでの研究を3件実施でき,これらを論文にまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は先述したEarth4Allモデルを活用した演習を行い,システム思考の有用性を放送大学岡山学習センターや高校・中学で実践的に理解してもらい,学習効果を検証する。 システムダイナミックスの動的な変化は直接,反応速度や熱力学的な化学変化に活用でき,時間変化や量的変化を検討できることを通じて社会環境的な課題にも勝代言うできることを示したい。また海外の研究者との情報交換や実践の具体を調査する。
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