研究課題/領域番号 |
21K02960
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
今在 慶一朗 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40359500)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ナショナルアイデンティティ / 自己責任 / 公正感 / 社会的公正 / 道徳観 / ナショナル・アイデンティティ / 自律性規範 / 公正・公平 |
研究開始時の研究の概要 |
既得権を持つ富裕層が格差を容認するリバタリアニズムに親和的で、既存の政治体制を支持することや、無産階級の人々が結果の平等を志向するリベラリズムに傾倒し、体制の変革を求めることは当然といえる。しかしながら、保守政党を支持する労働者が存在するように、実際には経済的な豊かさと政治的態度の結びつきはそれほど強いわけではない。本研究では、「集団価値モデル」「黒い羊効果」という二つの理論的背景から、政治体制に対する志向性の背後には国に対する帰属感、すなわちナショナルアイデンティティがあり、これが公正・公平規範に強く影響を与えると仮定し、質問紙調査によって得られたデータに基づいて検証を行う。
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研究成果の概要 |
集団への帰属意識が強い人は他のメンバーに対して好意的な態度をとりやすいと考えられると同時に、集団の活動を正当化する傾向も強いと考えられる。これを一国の社会にあてはめると、ナショナルアイデンティティが強い人は、社会の中の不遇な人々への支援を必要と感じると同時に、社会が公正である以上不遇である責任はその人たち自身にあると考えやすいと推測される。アンケート調査の結果、ナショナルアイデンティティの一種である愛国心は、国家機関が公正であり、人々は自分の現状に責任を持つべきだと感じさせることが確認された。これは、ナショナルアイデンティティには社会的弱者への支援を抑制する効果があることを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現代はグローバル化が進んだ一方で、自国中心主義的で排他的な人々の活動も盛んであり、インターネット上では日常的に「ネトウヨ」の発言を確認することができる。こうした人々は自国や自国民を大切に思ういわゆる「愛国主義者」であると考えられるが、同時に「愛国主義者」にしばしば見られる「保守主義者」は、しばしば生活や経済的成功について「自己責任」を強調する者も多いように思われる。本研究では、愛国心が社会的弱者の支援につながりやすいと同時に、自国の現状を肯定し、国が公正に機能している以上、不遇な状況にある人はその人自身が責任を負うべきであるという規範をもたらしやすいことを確認した。
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