研究課題/領域番号 |
21K02962
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永田 素彦 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (60271706)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 地域づくり / アクションリサーチ / ウィズ・コロナ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ウィズ/ポストコロナ状況における新たな地域づくりのあり方を、アクションリサーチを通じて検討しようとするものである。地域の活性化とは、「共育」関係、すなわち異質な者同士が互いに学び合う関係が賦活している状態のことである。これまで地域活性化の先駆的成功例とみなされてきた事例の多くは、地域内外での共育関係づくりに工夫をこらしてきた。本研究では、ビフォーコロナの時期に先駆的でユニークな地域づくりを行っていた地域を事例とし、ウィズ・コロナ状況における新たな生活様式を前提とした地域活性化=共育関係づくりのあり方を、研究者自身も事例に関与しながら、事例から学ぶ姿勢で探索する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ウィズ/ポストコロナ状況における新たな地域づくりのあり方を、アクションリサーチを通じて明らかにすることにある。地域の活性化とは、共育関係(異質な者同士が互いに育て育てられる関係)が賦活している状態をいう。2022年度は、(1)2021年度に選定した主たる研究フィールドである三重県尾鷲市向井地区における耕作放棄地の再活性化の活動について、協同的な活動主体の成り立ちと特徴を、筆者もプロボノメンバーの一人として活動に参加しつつ、検討した。(2)もう一つの研究フィールドとして、兵庫県姫路市でスタートした「ENGAWAプロジェクト」を選定した。これは高齢者の孤立を防ぐだけでなく「地域のプレイヤー」になってもらうことを目指すもので、対面とオンラインのハイブリッドに工夫を凝らした活動でもある。(3)あわせてウィズコロナ時代の地域づくりのあり方を、オンラインツールと共育関係づくりの観点から理論的に検討した。 本年度の研究を通して明らかになったことは、次の通りである。(1)オンラインコミュニティと現地コミュニティの融合・連携は、従来の地域づくりには見られなかったような多様性と可塑性を備えた協同的活動主体を生み出した。(2)プロボノの登用という点では、スキルマッチング型ではなく、多様性に基づく創造的交歓によって新たな活動や価値が双発した。(3)共育関係づくりについては、一人一人の人間が変幻自在的存在であることをふまえ、そのポテンシャルを発揮し、刺激しあうような工夫が重要であることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・本研究では、当初、三重県尾鷲市と兵庫県伊丹市における2つの地域コミュニティを研究フィールドとして、研究を進める計画だった。そのうち尾鷲市については、具体的な研究フィールドを選定し、ウィズコロナ状況における共育関係の特徴やプロセスについて検討するなど、当初の計画通り順調に進捗している。 ・一方、もう一つの研究フィールドについては、伊丹の地域づくりの中心人物であるH氏とその仲間が兵庫県姫路市でENGAWAプロジェクトを始動し、それについて参与観察とインタビューによる予備調査を行ったところ、本研究にふさわしい研究フィールドであると判断した。しかし本格的な実地調査は2023年度に行うことになる。 ・このような状況から、全体としてやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)尾鷲市向井地区におけるアクションリサーチを継続する。2023年度も引き続き現地での活動や(オンライン)会議に参加しつつ、関係者へのインタビュー調査を実施し、ウィズコロナ状況における地域づくりの共育関係の形成プロセスやその特徴を検討する。 (2)姫路市におけるフィールド研究も、H氏をはじめとする関係者と協同しつつ、進めていく。 (3)アクションリサーチに基づいて、共育関係の観点から新たな地域づくりの特徴を記述する理論モデルの検討を進める。
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