研究課題/領域番号 |
21K02965
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
田村 達 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (10515109)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 共感抑制 / 非人間化 / 共感 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、攻撃の被害者の人間らしさを低く見積もったり否定したりする「非人間化」が、他者の苦痛を和らげる反応をもたらす「共感」を阻害する過程を解明しモデル化することによって、葛藤・紛争の激化を抑止する人間的な共感の喚起に必要な条件を示すことにある。特に本研究では、被害者を非人間的な名前で呼ぶこと、つまり非人間的ラベリングが、被害者への共感を阻害することによって非人間化を引き起こすと仮定し、対象の苦痛に関する手がかりを認知する時点(研究1)と、対象が苦痛下にあることを認知する時点(研究2)において、非人間的ラベリングが及ぼす影響を実験的に検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は被害者の非人間化を通じた共感抑制の過程を解明してモデル化し、深刻な差別や葛藤・紛争の抑止に必要な条件を提示することを目的としている。本研究は相手に対する共感的反応が阻害されるポイントとして、対象の苦痛に関する手がかりを取り出す時点と、対象が苦痛下にあると解釈した後という二つに焦点を当てるものである。今年度は、昨年度実施した第二のポイントに関わる質問紙調査を継続した。Hoffman & Trawalter (2016)や、Deska, Kunstman, Lloyd, Almaraz, Bernstein, Gonzales, & Huegenberg (2020)の研究では、人種の異なる対象に対しての苦痛知覚の差異を質問紙調査によって実施している。本研究では昨年度、これに倣って非人間的ラベリングが対象の苦痛知覚に及ぼす効果について検討を行い、非人間的ラベリングの対象は社会的苦痛を感じにくいと判断される傾向を示した。そこで今年度は昨年度の研究の継続として、データの追加及び分析と、また、対象の非人間的ラベルを変更してラベルの種類による影響の差異の検討を行うことで、結果の一般化を目指した。その結果、非人間的ラベリングの対象に身体的苦痛を感じにくいと判断する参加者たちの傾向が示された。昨年度の研究で用いた非人間的ラベルは無生物で社会的な価値の低さを示唆するものであり、今年度用いたラベルは動物的でどちらかと言えば肉体的な強さを示唆するものであった。一方で、両研究において比較対象として用いたポジティブな非人間的ラベルは対象の苦痛知覚に対して効果が見られていない。従って、用いられるラベルの種類によって苦痛知覚に異なる効果がもたらされる可能性が示されており、このメカニズムの特定が次の研究課題として加えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、Hoffman & Trawalter(2016)やDeska et al(2020)が行った対象の苦痛知覚の人種による違いの研究に倣って、非人間的ラベリングによって対象の身体的苦痛・社会的苦痛の知覚が変化することを検討してきた。その結果、これらにおいて用いた無生物ラベルによって対象者の社会的苦痛の知覚が、動物的ラベルによって対象者の身体的苦痛の知覚が、それぞれ歪められる可能性が示された。これらは本研究で仮定してきた共感反応が阻害される第二のポイントに関わっており、用いられる非人間的ラベルによって苦痛下の対象への認識が変化することを示すものである。Hoffman & Trawalter(2016)やDeska et al(2020)は、黒人対象の苦痛知覚の歪みが対象の困難な生活状況の認知に媒介されることを示しているが、こういった判断が非人間的ラベルの対象にも適用されるのか、それはラベルの種類によって異なるのか、という新たな研究の展開が考えられる。一方で、当初研究1として予定していた、偏見と武器の誤判断との関連についての実験(Payne, 2001)に倣った実験は、実験刺激の調整とその提示機材の準備が遅れている。従って、当初の計画とは異なる研究が展開されているということができるが、予定していた実験研究を行えていないため、計画は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初想定していた研究1について、実験刺激の調整と実験制御のプログラムを完成させて実施する。また同時に、身体的苦痛知覚・社会的苦痛知覚に及ぼす非人間化の原因に関する研究を実施する。当初想定していた研究2についても実験準備を行う。
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