研究課題/領域番号 |
21K02966
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
沼崎 誠 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (10228273)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | システム正当化 / 社会系心理学 / 格差 / 不平等 / ステレオタイプ / 社会格差 / 実験社会心理学 |
研究開始時の研究の概要 |
相対的に平等的な社会といわれていた日本において,格差の拡大や固定化が問題となっている.格差は多くの人に望ましくない影響を与えるにもかかわらず,格差を減らす方向に社会は進んでいない.なぜ,格差から不利益を被っている人が,格差を低減しようとする試みを支持しないのか? 維持の過程にはどのような心理メカニズムが寄与しているのか? 本研究は,実験社会心理学的アプローチを用い,解明しようとする試みである.
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研究実績の概要 |
格差維持過程にどのような心理メカニズムが寄与しているのかを明らかにするために,(A)相補的ステレオタイプを用いたシステム正当化傾向の検討,(B)格差拡大が現状を維持するイデオロギーの支持に及ぼす効果の検討,(C)保有資源の格差と原因が協力行動に与える影響について検討を行った. (A)に関しては,クラウドソーシングで参加者を募集し,主観的社会階層を測定した上で,日本に対する脅威の顕現化を操作し,社会的地位の高い職業と低い職業のイメージ(温かさ次元と有能さ次元)に回答させた.結果として,1) 地位に基づく相補的ステレオタイプが見られ,2)男性参加者においては脅威が顕現化すると相補的ステレオタイプの表明が強まり,3)主観的社会階層によってこれらの効果が調整されない,ことが見いだされた. (B)に関しては,クラウドソーシングで参加者を募集し,世帯収入で社会階層を測定し,格差拡大記事への接触の有無を操作し,保守的イデオロギーへの態度に回答させた.結果として,男性参加者では,右翼権威主義尺度の因習主義因子と社会支配傾向尺度の平等主義因子において,統制条件では世帯収入が高いほど保守的であったものが,格差が顕現化するとそのような傾向が見られなくなった.女性参加者では,社会支配傾向尺度の平等主義因子において,世帯収入が高いと格差が顕現化すると保守的になることがみいだされた. (C)に関しては,多くの参加者を一度に参加できるようにシステムを組み試験的に実験を行ったが,システム上に問題が生じたため小規模な予備実験にとどまっている. 理論的検討として,システム正当化理論に関して,「Jost, J. T. (2020), System justification theory. Harvard University Press.」の翻訳を共編者として出版した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症蔓延のため2021年度に実施できなかった実験を2022年度におこない,当初では2022年度に行う予定の実験がまだ実施できていないため.
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今後の研究の推進方策 |
(A)相補的ステレオタイプを用いたシステム正当化傾向の検討では,これまで実施した実験に基づいて方法を改良し,プレレジストレーションをして,幅広い社会階層を含む一般サンプルを対象とした実験を行う.結果を確認した上で,相補的ステレオタイプを持たれている対象を拡大して追試を行う. (B)格差拡大が現状を維持するイデオロギーの支持に及ぼす効果の検討では,これまで実施した実験に基づいて方法を改良し,プレレジストレーションをして,幅広い社会階層を含む一般サンプルを対象とした実験を行う. (C)保有資源の格差と原因が協力行動に与える影響については,システムを改善して,2022年度に実施できなかった実験を行う.公共財ゲームにおいて小数者のみが運によって多くの収入を得る状況で,収入の格差が固定していると教示する条件と,収入の格差が流動する可能性があると教示する条件を設け,比較する実験を行う.
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