研究課題/領域番号 |
21K02977
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
内藤 美加 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00212077)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | メタ表象 / 言語的表象 / 幼児期 / 心的表象 / 幼児 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は日本の幼児を対象に,メタ表象の発達が文化や領域に普遍か独自かという問題を心と言語の表象理解から検討する。実験では幼児のメタ表象を,人の信念が現実とは違い誤る場合があるという心的誤信念課題と, 1つの事物が複数の名称をもち得ることの言語課題で調べ,その関係を明らかにする。日本の幼児は欧米人に比べ心的表象理解に困難を示すことが知られており,欧米で主張されたメタ表象の発達的、汎領域的な普遍性には確証がない。従って誤信念と言語の理解は同期せず,年齢により両者の関連が異なる可能性がある。本研究は欧米とは異なる予測を実証的に検討し,文化や能力領域でのメタ表象発達の独自性を明らかにするものである。
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研究実績の概要 |
22年度もコロナウイルス感染症予防の観点から本実験の実施は困難であった。そこで,園長を務めた附属幼稚園の子どもに可能な範囲で予備実験を実施した。幼児(3,4,5,6歳児)に言語課題を行い,材料の妥当性や実施手順を確認した。言語課題は代案命名,文脈手がかり,二重の3種類である。 代案命名は,2つの異なる呼び方が可能な物(例えば,にんじん/野菜例えば,にんじん/野菜など,カテゴリ名とその一事例)を命名する課題である。2つの名前のうち1つ(”にんじん”)を実験者が使った場合に,子どもがもう一方(”野菜”)で名付けられるかを調べた。 文脈手がかり課題では,既に知っている物でも文脈に従った異なる別の呼び方を許すことができるかを調べた。既知物(例えば,りんご)と未知物(例えば,絞り器)の対を提示し,文脈手がかり(”太郎はお腹がすいた”)を与えた後,提示物に対して無意味語(例えば,”ヘク”)を使った指示(“太郎にヘクを渡してあげて”)で,子どもが未知物と既知物どちらを選ぶかを確認した。 二重課題は同じ1つの物が異なる名前を持ちうることの理解である。1つの標的未知項目(例えば,チーズ削り器)を2人の登場人物がそれぞれ別の無意味語(例えば,“リニ”と“ラソ”)で呼んだ後,子どもに4つの対象物(既知妨害項目2つ,未知妨害項目1つ,標的)の中から各人物の指示(“リニにはどれかな?”および “ラソはどれかな?”)に対して正しく同じ標的を選べるか否かを調べた。 予備実験はまだデータ数が不十分なものの,用意した言語課題の材料はいずれも年長児だけでなく3歳児にも理解可能であることが概ね確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
代案命名課題では,まずカテゴリ名(野菜,花,飲み物,鳥,動物,果物)とその事例(にんじん,チューリップ,水,フクロウ,イヌ,リンゴ)の対(例えば,野菜とにんじん)が理解できるかの語彙チェックを行い,練習項目2つと本試行項目4つの課題内容が年少児にも理解可能であることを確認した。文脈手がかり課題では,文脈手がかりの有無条件設定のために各条件4試行ずつ2セットの材料を用意した。1試行は未知物と既知物および無意味語の材料からなり,合計8試行分の未知物(調理器具など)はいずれも子どもには新奇であり,既知物(リンゴ,石けん,クレヨン,歯ブラシ,靴,,バーガー,枕,鞄)は理解できること(例えば,“リンゴはお腹がすいたときに食べるもの”であること)を確認した。二重課題では特に既知の妨害8項目(2個×4試行,例えば,ボール,クレヨン,絆創膏)が理解できることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
23年度は5月以降5類に引き下げられたものの,保育園・幼稚園は依然COVID-19感染への警戒が強く,大規模な本実験の実施は困難な可能性がある。しかし感染状況を見つつ園の協力を仰ぎながら,少なくとも本22年度に確認した言語材料を用いてさらに予備実験をすすめ,できれば本実験を開始する予定である。予備実験の実施は関係していた附属幼稚園に引き続き協力を求める。 実験実施の際には,部屋の換気を行い,実験者はマスクを着用して各セッションの前後に手指や実験材料の消毒を行うなど,感染予防を徹底するよう対応する。
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