研究課題/領域番号 |
21K02979
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大薗 博記 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (50709467)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 協力 / 公共財 / 罰 / ガバナンス / リーダーシップ / 集団 / 進化 / 攻撃 / 専制 / 階層 |
研究開始時の研究の概要 |
大集団での秩序維持や協力達成のために罰権力の集中が提案されてきたが、本研究は「支配-被支配の階層構造のある中で、権力の暴走を制御し、集団協力が達成される条件は何か」を明らかにする。具体的には、権力者はいかに罰するか、そして、被支配者はどのような権力者に従い、安定的な協力が維持されるのかを集団実験により検討する。それにより、権力集中の正負の側面を明らかにし、協力達成に寄与する実証的な知見を提供することが本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
社会的ジレンマ(SD)を解決するために罰権力の集中が提案されてきたが、本研究は権力者(支配者)と被支配者の相互作用に着目して、「支配-被支配という階層構造の中で、権力の暴走を制御し、集団協力が達成される条件は何か」を明らかにする。当該年度は、前年度に引き続き、計画2)権力者への支援はどのようにして起こり、安定的な協力が維持されるのか、を集団実験により検討した。具体的には、以下の研究を行った。 一つ目は、統治の構造を単純にモデル化したゲーム実験を行うことにより、権力者が私欲に走り圧政に至るか、集団成員のために善政を敷くかを分ける条件を探り、成員がどのような権力者に従うかを検討した。前年度の予備実験と同様、成員が集団から離脱しにくい(離脱コストが高い)と権力者は圧政に走る(成員のために資源を使用せず、罰を増やすことに資源を使用する)傾向が高まることがわかった。また、権力者の意思決定は、ゲームの繰り返しを通しても変容しにくい一方、成員側は徐々に集団に所属し、協力するようになるという予想していなかった非対称性があることも見いだせた。本実験の結果を国内学会で発表し、現在投稿準備中である。 さらに、「権力の暴走」という本研究のテーマに関連して、国際情勢も鑑みて、「武力保持の規定因」に関する研究に前年度から引き続き着手した。具体的には、お互いに相手に攻撃するか否かを決定する「先制攻撃ゲーム」について、そもそも攻撃能力(武力)を持つか否かの決定を加えた「保持/不保持選択付き先制攻撃ゲーム」を着想し、実験を行った。その結果、「相手が武力を保持する可能性が高いと見積もっているほど、保持の決定をしやすい」という武力均衡を求める傾向があることが見出された。当該年度は英語論文にまとめ、現在査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、大きく2つの計画からなり、前々年度は計画1,前年度と当該年度は計画2と進めている。既に計画1の論文については、投稿し査読中であるが、査読プロセスが遅れており、採択には至っていない。前年度より進行中の計画2について、本実験のデータを集め、論文執筆中であるが、投稿には至っていない。さらに、当初の計画にはなかったが本研究のテーマと合致する「武力保持の規定因」研究については、査読中である。以上のように、研究成果は出ているものの論文採択にまでは至っていないため、「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
現在国際雑誌に投稿し査読中の2つの論文については、採択を目指す。現在執筆中の論文について、完成させ、国際雑誌に投稿し、採択を目指す。さらに、研究計画2について、圧政か善政かを分ける条件として、「成員側による権力者への反抗」に着目した実験も検討したい。成員側に反抗する手段があれば、権力者側は善政を敷きやすいと考えられる。
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