研究課題/領域番号 |
21K02986
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
高比良 美詠子 立正大学, 心理学部, 教授 (80370097)
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研究分担者 |
池田 まさみ 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 教授 (00334566)
森 津太子 放送大学, 教養学部, 教授 (30340912)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 認知バイアス / 尺度作成 / ヘルスプロモーション |
研究開始時の研究の概要 |
1年目は(1)~(3)を実施し、認知バイアス総合アセスメント尺度を作成する。(1)認知バイアスの収集:認知バイアスに関する論文を網羅的に収集する。(2)尺度項目の作成:各認知バイアスの定義に基づき項目を作成し、内容的妥当性を確認する。また、一般市民を対象としたインタビュー面接により、項目の一般化可能性を確認する。(3)予備調査および本調査の実施:予備調査で項目を精査した後で本調査を実施し、尺度の因子構造を確認する。2年目は、縦断調査により認知バイアスの生起プロセスを因子別に検討する。3年目は、2年目に明らかにしたプロセスモデルを基盤に、各人に最適化したヘルスプロモーションプログラムを開発する。
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研究実績の概要 |
判断、意思決定、記憶などに見られる、系統的で予測可能な認知のエラーは、一般に「認知バイアス」と呼ばれており(e.g., Wilke & Meta, 2012)、日常生活においてこのような認知バイアスを経験することは、個人のWell-beingに悪影響を及ぼす可能性が指摘されている(e.g., Shafir, 2013)。なお、これらの認知バイアスは、人が共通して持っている認知システムに基づいて生じると考えられているため、特定の人のみが経験するものではなく、遍在する現象であると見なされてきた。しかし、現在提案されている認知バイアスを個別に検討していくと、多くの人が共通して経験する現象ではあるものの、経験の程度には個人差が存在していることが明らかになってきた。そこで本研究では、代表的な80種類の認知バイアス経験の個人差を一括して測定可能な「認知バイアス・アセスメント尺度(CBA)」の開発を行い、これらの認知バイアスの経験と個人のWell-beingの関係を明らかにすることによって、個人の健康増進に役立つ知見を提供することを研究の最終目的とした。 当該年度においては、開発した「認知バイアス・アセスメント尺度(CBA)」の妥当性についてさらに検討を進めるために、対象者の属性を前年度に行った調査より広げ、異なるサンプルにおいても同様の結果が再現されるかを検討した。また、認知バイアスの経験と個人の認知処理スタイルの関係についても検討を行い、認知バイアスを経験する程度に個人差が生じる原因についての考察を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題では、開発した「認知バイアス・アセスメント尺度(CBA)」を用いて、個々人が経験しやすい認知バイアスのタイプを同定し、それにあわせたヘルスプロモーションプログラムを提案することを目指している。ここまでは、主にCBAの開発研究を進めてきたが、認知バイアスのタイプに応じたヘルスプロモーションプログラムの提案については、令和6年度に実施予定の調査研究の結果に基づいて行う予定である。そのため、現在までの進捗状況としては、「(3)やや遅れている」を選択した。 令和5年度に、ヘルスプロモーションプログラムの提案に繋がる研究の実施に至らなかった理由としては、多種多様な認知バイアスの経験の程度を包括的に測定することにより、認知バイアスの種類をタイプ別に分類する尺度がこれまでになく、CBAの妥当性の検討に多くの時間を費やした事が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初に立てた全体計画の流れに沿って研究を進める。まず、令和6年6月に、開発済みの「認知バイアス・アセスメント尺度(CBA)」を用いた調査を、幅広い年代や職業従事者を対象に実施する。そして、CBAの下位尺度得点等を利用して、経験しやすい認知バイアスのタイプに基づき個人をクラス分けすることの妥当性について検討する。その上で、特定のタイプの認知バイアスを経験しやすい個人の特徴を明らかにするための縦断調査を行い、その結果に基づいて、タイプ別のヘルスプロモーションプログラムの提案を行う。
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