研究課題/領域番号 |
21K02988
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
有馬 淑子 京都先端科学大学, 人文学部, 教授 (40175998)
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研究分担者 |
細野 文雄 群馬大学, 情報学部, 助手 (10261827)
神原 歩 京都先端科学大学, 人文学部, 准教授 (30726104)
小野寺 孝義 広島国際大学, 健康科学部, 教授 (40204268)
柿本 敏克 群馬大学, 情報学部, 教授 (70269257)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 共有知識 / 信頼ゲーム / 仮想世界ゲーム / テキスト分析 / ネットワーク分析 / リモート環境 / 人間行動認識(HAR) / 機械学習 / 集合知 / 集団間関係 / RMEテスト / 知識共有 / リモートワーク / 集団虚記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
インターネットを通じて相互作用する社会では、知識はどのように共有されるのだろうか。本研究の目的は、知識の共有性が、各地域集団の態度と感情、そして社会的行動に及ぼす影響を探索的に検討することである。この目的のため、本研究では仮想世界ゲーム電子版を用いて、ゲーム中のメッセージ送受信から情報共有過程を、質問紙で内外集団に対する態度と共有メンタルモデル、実験により集団虚記憶を測定する。社会全体の共有知識量が高まるほど、集団間の敵対的態度が低下し、協力行動が高く見いだされると予測する。
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研究実績の概要 |
本研究は、社会全体の共有知識量が高まるほど集団間の協力行動が高く見いだされることを仮説として、Online社会における知識共有過程を検討するものである。R4年度は、下記の分析と実験が行われた。 1. リモート環境におけるストレス研究:モバイルフォンから取得した身体動作を機械学習により分析する人間行動認識研究(HAR)を実施、NAVONタスクを用いた認知バフォーマンスとの関連性を検討した結果を論文として投稿した。 2. 信頼ゲーム研究:R3年度に実施した信頼ゲーム結果の分析を行なった。対戦相手の写真として、信頼・不信の写真条件を設定、RMEテストとの関連を検討したが、写真条件による差は見出されなかった。そこで、R4年度は条件を変更して、繰り返しゲーム中の対戦相手の戦略を変化させたところ、RMEとの関連が見出された。大学院生との共同研究として、返答間隔を条件とした信頼ゲームオンライン実験も実施したが、条件効果は見出されなかった。 3. 仮想世界ゲーム研究:R3年度に予備実験にて確定させた手続を用いて、R4年度は、仮想世界ゲームの本実験を2回実施した。外集団とのコミュニケーションに要するコストを条件とした。この実験参加者には、上記の研究で開発されたRMEテストおよび信頼ゲームが同時に実施された。分析の結果、信頼ゲームにおける行動との関連性は見出されていないが、RMETが資産形成過程に影響する結果が示された。 4.分析手法開発:所属集団内および、集団間ネットワークの発達に伴う共有知識構造の変化を検討する分析手法を開発、この結果をグループダイナミクス学会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
信頼ゲームオンライン実験(250名)、仮想世界ゲーム本実験を2回(40名X2)実施し、仮説の検討を行なった。また、分析手法の開発を行い、一定の成果を上げることができた。また、リモート環境下における身体動作に対するHAR(人間行動認識)研究成果を論文にまとめることができた。 HAR分析の他、昨年度得られたデータより、分析手法の開発を行なった。仮想世界ゲーム中のChatlogおよびレポートから収集したテキストデータに対するテキスト分析を実施、共有知識構造の指標とするものである。さらにネットワーク分析によって得られるネットワーク中心性の指標を組み合わせることにより、所属集団内および、集団間ネットワークの発達に伴う共有知識構造の変化を検討することが可能となる。機械学習を心理学実験に組み合わせる手法については、今年度の人工知能学会にまとめて報告する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度は、共同研究者と共に、昨年度に実施した仮想世界ゲームの分析にあたるほか、再度、仮想世界ゲームの本実験を実施する。実施にあたっての条件設定などについては、共同研究者とのディスカッションを経て検討する。さらに、本研究助成により実施された信頼ゲーム結果をまとめて論文とする。 また、R4年度中に開発された機械学習分析手法により、収集したデータの分析を行う。 なお、R4年度は、リモート環境において社会的に認知が共有される過程を検討するために、共同サイモン課題プログラムをInquisitで開発、社会的共有認知と身体動作同期との関連性を分析したが、有意な関連性は得られなかった。そこで、より認知が共有される過程をより詳細に検討するために、新たに、VR環境における共同サイモン実験として展開する予定である。
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