研究課題/領域番号 |
21K02992
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
橋本 博文 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (00759714)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 直観的意思決定 / 集団 / 社会差 / 集団主義 / 個人主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本申請研究においては、1)直観的意思決定に基づく協力行動に集団による拘束性はあるのか、そして、もしあるとすれば、2)集団の枠を超えた協力行動を促すために必要となる手立ては何か、さらに、3)直観的協力の集団拘束性に社会差は示されるのかという三つの問いを設定し、それらに対する答えを提出するための一連の社会心理学的実験研究および国際比較研究を実施する。
|
研究実績の概要 |
本申請研究の主たる目的は、1)直観的意思決定に基づく協力行動に、集団による拘束性があるか否かを実験室実験により検証すると同時に、2)集団の枠を超えた協力行動の促進因について明らかにすることにある。さらに、直観的協力の集団拘束性に示される社会差についても分析の俎上に載せ、3)身内びいき傾向が強固に示される集団主義的社会では、集団内に限定的な直観的協力が顕著に示される一方、集団の枠を超えた協力行動は示されにくいという理論仮説を検討する。これら一連の目的に沿った個別研究を着実に実施するため、令和4年度には令和3年度に得られた研究成果を踏まえつつ、直観的協力行動を導く意思決定過程の分析およびその促進因に関する検討に尽力した。より具体的には、囚人のジレンマゲーム(PDG)における相互協力の結果が従来の多くの研究と同様に左上に提示される条件(統制条件)に加え、利得表の相互協力と相互非協力の結果の位置を反転させ、相互非協力の結果が左上に提示される条件(利得表反転条件)を設け、利得表の提示と説明の仕方が直観的意思決定に基づく協力行動に影響を及ぼすか否かを検討した。その結果、協力行動には予想した条件差は示されなかったが、意思決定時間に関しては条件の主効果および条件と意思決定(協力・非協力)の交互作用が示され、協力者は相互協力の場合の結果により注意を払いやすく、自身が非協力した場合の結果については注意を払いにくい可能性などが示唆された。この研究知見を論文としてまとめつつ、最終年度である令和5年度には、直観的協力の集団拘束性およびその社会・文化差を検討するための実験を実施する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請段階において計画していた実験を着実に実施しているため。コロナ禍の影響は小さくないが、独立基盤形成支援(試行)により、研究環境の整備が進み、研究実施の方向性についての見通しが明確になった。さらに、国際共同研究の実施にも目途が立ち、少なくとも現在までは当初の計画通りに研究を展開することができている。
|
今後の研究の推進方策 |
本申請研究実施にあたって申請者は、身内びいき傾向が強固に示される集団主義的社会においては、集団内に限定的な直観的協力が顕著に示される一方、集団の枠を超えた協力行動は示されにくいと予想していたが、この予想が実証的な研究を通して裏付けられるか否かを比較文化研究を通じて検討する予定である。調査研究によって把握できるのは、あくまで人々の一般的な協力性ないし寛容性であるが、そうした傾向性が集団内に限定されるものか否かを確かめるためのプレ調査をできるだけ早期に展開する。また実験研究については、令和3年度と令和4年度に蓄積した研究知見を踏まえつつ、日米仏間の国際研究体制のもとで確実に実施できる準備を進める。
|