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心理学の一領域としての学校心理学の起源と発展ー教育心理学との差別化をめぐってー

研究課題

研究課題/領域番号 21K02993
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分10020:教育心理学関連
研究機関千葉大学

研究代表者

大芦 治  千葉大学, 教育学部, 教授 (30289235)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
キーワード心理学史 / 教育心理学 / 学校心理学
研究開始時の研究の概要

本研究では、前述のように心理学の体系としての学校心理学が教育心理学や臨床心理学との棲み分けをするする中で、どのように独自性を作り上げていったのか歴史的な経緯を明らかにすることにある。そのため概ね以下に述べる①から③の3つの研究を行いたいと考えている。いずれも、文献調査が中心で、データ収集を常套手段とする心理学研究においては必ずしも正統的なものではない。しかし、データ実証主義に対する過度の偏りこそ、心理学における歴史的理解の欠如をもたらしてきたものであり、それを打破しようとするところに本研究の特徴がある。

研究実績の概要

本研究は、心理学の中で類似した隣接領域と考えられている「学校心理学(school psychology)」と「教育心理学(educational psychology)」がいつごろ、どこxで、誕生し、
やがて、それぞれ別の領域として独自性を自覚し、成長発展していったかを当時の雑誌記事や、学校心理学、教育心理学のそれぞれ生みの親とされる人物の残した記述などから明らかにしようとしたものである。
本年度は、これまでややとびとびに行ってきた研究をまとめるため、旧来からの仮説ー教育心理学、学校心理学とも1890年から1910年ごろにかけて成立したもので、およそ、そのあたりまでたどることによって、起源と棲み分けが行われるようになった経緯が理解されるのではないかーとというものを再検討した。そのため、この時代から比較的最近までの2つの雑誌(Journal of Educational Psychology,                                                                                      Journal of School Psychology)のタイトル、アブストラクトから抽出されるほぼすべてのキ―ワードを比較した。その結果、両者は1910年代のより古い時代からある程度独立した一今日一般的に考えられる領域とは異なる領域として成立していたことが判明した。Witmerによって、また、これとは別の歴史をもち、両者の棲み分けなどというものはそもそもその黎明期にあっては、存在しなかった可能性が高いということである。
現在、著者はこの研究をうけて、むしろ、教育心理学の起源をさぐる方面に軸足をうつしつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

おくれているというより「研究実績の概要」で記したように、当初見込んでいた「学校心理学」と「教育心理学」の掛け合いの歴史というようなものはなかった。したがって、研究時間、資源の配分自体が教育心理学の歴史の解明のほうに大きく投入ざれることになり、そういう意味で研究が当初の予定通り進んでないというべき状態になっている。
教育心理学は19世紀を通して時間をかけながら師範学校のカリキュラムの中で作り上げられてきたものであるのに対し、学校心理学はその創始者Witmerによって、比較的短期間のまとめられたもので、両者にはあまり接点がない。また、Witmer自身は自分の創始した心理学の領域を臨床心理学と呼んでいたことも考慮しなくてはならない。その点を十分踏まえたうえで、入門書、入門講義などで安易に「学校心理学」と「教育心理学」を隣接領域として扱うのはもっと慎重になるべきであろう。

今後の研究の推進方策

ここまで実施してきた研究を踏まえて考えると、本研究課題でテーマとした「学校心理学」と「教育心理学」の棲み分けということはさして大きな問題ではなく、むしろ、両者はそれぞれ別の領域で、特段深い関係がある訳でもなく、それぞれの固有の歴史的発展を遂げていたことがわかった。むしろ、それらを探索してゆくことこそ、研究数の絶対量が少ない現況においては、必要なのではないだろうか。
なかでもなかでも、当面は教育心理学の歴史研究に専心するのがよいのであろう。教育心理学は、一般に考えられているようにE.L.Thorndikeによって20世紀初頭に始められたものではない。Educational Psychologyという名称自体はさらに15年ほどさかのぼり1880年代に突然出現する。また、それ以前は師範学校などでmoral philosophyなどの名称で心理学に関連した科目が開講されていたことを、著者も確認しているが、これらがどこに由来するのか、実は、わからないことも多い。すでに著者は教育心理学の起源を求める研究にも取り組んでいるが、当面は、そこに専心してゆくのが、一番、大きな成果が得られるのではないかと感じている。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 教育心理学史序説 : 第4報2024

    • 著者名/発表者名
      大芦 治
    • 雑誌名

      千葉大学教育学部研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Education, Chiba University

      巻: 72 ページ: 45-52

    • DOI

      10.20776/S13482084-72-P45

    • URL

      https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900122354/

    • 年月日
      2024-03-01
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 学校心理学史構築の試み(1)ー学校心理学は教育心理学とどのように棲み分けていたか2023

    • 著者名/発表者名
      大芦 治
    • 雑誌名

      千葉大学教育学部研究紀要

      巻: 71 ページ: 21-26

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 教育心理学史序説 : 第3報2022

    • 著者名/発表者名
      大芦 治
    • 雑誌名

      千葉大学教育学部研究紀要 = Bulletin of The Faculty of Education, Chiba University

      巻: 70 ページ: 37-44

    • DOI

      10.20776/S13482084-70-P37

    • URL

      https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900120441/

    • 年月日
      2022-03-01
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Witmerの”Psychological Clinic”誌の論文タイトルからみた学校心理学2023

    • 著者名/発表者名
      大芦 治
    • 学会等名
      日本教育心理学会第65回総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 教育心理学および学校心理学の起源と発展過程に関する研究 2つの心理学の棲み分けについて 1960年代の状況2022

    • 著者名/発表者名
      大芦 治
    • 学会等名
      日本教育心理学会第64回総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 教育心理学の起源を探る(2)2021

    • 著者名/発表者名
      大芦 治
    • 学会等名
      日本教育心理学会第63回総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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