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幼児の「不器用な向社会的行動」の発達的特徴に応じた保育者の関わり

研究課題

研究課題/領域番号 21K02997
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分10020:教育心理学関連
研究機関静岡大学

研究代表者

若林 紀乃 (杉岡 紀乃 / 若林紀乃)  静岡大学, 教育学部, 講師 (70435056)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード向社会的行動 / 保育 / 幼児
研究開始時の研究の概要

本研究は,幼児の向社会的行動の自発的生起過程において不器用な表現になる幼児の育ちを支える保育実践を検討するものである。具体的には以下の4点を実施する。
①向社会的場面に対する情動・衝動に関するアセスメントを考案する。
②日常の保育場面において表現される向社会的行動の観察データ,知識として表現される面接データを収集し,幼児の自発的な向社会的行動の表現方法を検討する。
③①および②のデータから,自発的な向社会的行動が不器用な表現になる対象児を選定し,その特徴を明らかにする。
④向社会的行動が不器用な表現になる幼児に対する保育者の認識と③の対象児の特徴を照らし合わせ保育者の関わり方を保育者と共に考案する。

研究実績の概要

本研究は幼児の向社会的行動の自発的生起過程において,不器用な表現となる幼児および,その育ちを支える保育実践,を検討することを目的とした4カ年計画の研究である。
研究3年目となる今年度は,幼児の向社会的行動の不器用な自発的表現について,2年目で収集した観察事例をもとに,保育者独自の見立て方を検討した。事例は,見立て方に違いがあらわれる傾向がみられた次の2事例である。①「Rが折り紙をしていた時,少し離れたところにいたUの折り紙をTが持っていってしまった。すると,Rが突然Tを突き飛ばしけんかになった。」②「Rがブロックで遊んでいるとAとKがブロックの取り合いになって2人とも泣いてしまった。するとRが突然変な顔をしながら2人に対して「おならブー」とおしりを突き出した。しかし2人は泣いたままだった。」
①②各事例の見立て方について,保育者および大学生に質問紙調査を実施した。質問項目は,行動への解釈と評価,対象児の能力への評価,に加え想定年齢・性別,就学までに育ってほしい社会性の力,などであった。
質問紙調査の結果,事例の発達的な見立てとして,向社会的行動としてポジティブに評価する場合,大学生は3歳以上,保育者は3歳未満,を想定する傾向にあった。保育者は3歳以上に対し言語的解決や話し合いを望んでいることが示唆された。なお,調査の最後に就学までに育ってほしい社会性をたずねたところ,自己主張などの自己志向的成長を望む保育者は大学生と同様に事例の行動へのポジティブな評価を示す傾向が見受けられた。保育者の他者志向的文化が3歳以上の向社会的行動への評価を形作っている可能性が考えられた。今後は,①の事例を「正義のヒーロー行動」,②の事例を「場面緩和おどけ行動」,としてこれらの向社会的行動の育ちをどのように保育の中で捉え育むのか,保育者と議論を進め思いやりを育む保育実践を考案していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は,主に,保育現場における幼児の観察・面接調査,および保育者との協議を研究方法としている。
研究初年度および2年目は,調査保育園において新型コロナウィルス感染拡大状況があり,その影響により継続的な観察調査を行うことが困難な状況であった。3年目である今年度より,観察や保育者への調査が積極的に行われたものの,研究計画としてはやや遅れた状況となっている。

今後の研究の推進方策

今後の計画としては,3年間の観察データ,保育者への面接および質問紙調査データをもとに,保育者と協議を行い,不器用な表現となる自発的な向社会的行動をどのように保育の中で育むのか,保育のあり方を検討する予定である。
具体的には,対象園で収集された自発的な向社会的行動の事例を対象児の詳細な情報と共に,保育者間で共有する。その上で,向社会的行動としてその育ちをどのように捉え育むのかを議論する。その後,保育者1人1人と,保育現場で思いやりを育むために必要な保育実践とは何かを面接する。助言や助力といったスキルとしての向社会的行動のみでなく,一見,制裁のようにみえる「正義のヒーロー行動」や,一見,ふざけ行動にみえる「場面緩和おどけ行動」を視野にいれながら,情動として湧き上がる向社会性を育む保育とは何かを探っていく予定である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 矛盾に満ちた子育てー知識の確からしさと感情のリアルー2022

    • 著者名/発表者名
      若林紀乃
    • 雑誌名

      発達

      巻: 171 ページ: 52-56

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 子ども理解の文化規定性-職業・国・地域の違いに触れてー2021

    • 著者名/発表者名
      若林紀乃
    • 雑誌名

      発達

      巻: 168 ページ: 63-68

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 子育て本を発達研究者が親目線で読んでみた -今,求められる子育て本とは何か?-2023

    • 著者名/発表者名
      若林紀乃,近藤龍彰,大久保智生,瀬野由衣,赤木和重, 伊藤 崇, 常田美穂, 平井美佳
    • 学会等名
      日本発達心理学会第35回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 発達心理学から適切/不適切な保育を問う2023

    • 著者名/発表者名
      若林紀乃,大久保圭介, 川田学, 池添鉄平, 臺加津美, 野澤祥子, 古賀松香, 木下孝司
    • 学会等名
      日本発達心理学会第35回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ECEC teacher’s recognition of young children who do not successfully express prosocial behavior2023

    • 著者名/発表者名
      Sumino Wakabayashi
    • 学会等名
      the 22nd Annual Hawaii International Conference on Education
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 思いやりを複眼的視座から再考する2023

    • 著者名/発表者名
      廣戸健悟,二村郁美,若林紀乃,河村悠太,遠藤利彦
    • 学会等名
      日本発達心理学会第34回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 発達心理学者が出合う子育ての「リアル」ー「お母さん・お父さんがいい!」現象を取り上げてー2023

    • 著者名/発表者名
      若林紀乃,近藤龍彰,大久保智生,瀬野由衣,江上園子,坂上裕子,神谷哲司
    • 学会等名
      日本発達心理学会第34回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 「親」として発達心理学について考えるー発達心理学は子育てにどう向き合うかー2022

    • 著者名/発表者名
      大久保智生,瀬野由衣,近藤龍彰,若林紀乃
    • 学会等名
      日本発達心理学会第33回大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] モンゴル国における知能検査の開発ー子どもに寄り添った発達支援を目指してー2022

    • 著者名/発表者名
      永田雅子,野邑健二,D. Odgerel,N.Oyuntunglag,野村あすか,横山佳奈,金子一史,若林紀乃,福元理英
    • 総ページ数
      180
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      9784750353838
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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