研究課題/領域番号 |
21K03025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
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研究分担者 |
金綱 知征 香川大学, 教育学部, 教授 (50524518)
西野 泰代 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (40610530)
鶴田 利郎 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 講師 (20735352)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | いじめ / モニタリング / 教師のいじめ認知 / 自己効力感 / いじめ認知 / いじめ対応 / 教師 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、学校におけるいじめの認知・対応をより確かにするために、定期的な調査や通報アプリなどと連動するモニタリングアプリを開発することを主な目的とする。教師のいじめ認知・対応における個人差にかかわらずいじめ深刻度をモニタリングできるシステムの開発を行う。 研究1:教師のいじめ深刻度認知支援のためのモニタリングアプリの開発:要経過観察の児童・生徒に関して、適時・最少の質問への回答動向をふまえ、教師・管理職等に警告を伝えるアプリを開発して評価を行う。 研究2:教師のいじめ認知・対応の「温度差」に関する研究:文献研究をふまえて、教師のいじめ認知・対応に関する国際比較研究を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、学校において教師が行ういじめ認知・対応をより確かにするために、教師のいじめ認知・対応における個人差にかかわらずいじめの深刻度をモニタリングできる、定期的な調査などと連動するモニタリングアプリを開発することを主な目的としている。 1.「いじめモニタリングシステム」の全県展開:「いじめモニタリングシステム」が奈良県全県の公立小学校等に実装された。継続的な観察から気になる児童の様子を教員間で共有できるWEBアプリケーションであり、「気付き見守りアプリ」と命名された。「奈良県いじめ防止のプラットフォーム」の一部として運用されていく。 2.学校の導入・活用状況の調査:教師のいじめ対応効力感尺度として開発した項目の一部を用いて、まずは校長等の管理職及び生徒指導担当教員への調査を行った。その結果、一斉入力に関しては温度差があった。「協働していじめに対応できてはいない」かつ「一斉入力不要」と回答している学校では、いじめが重大事態になってしまってからでは遅いので、「必要ない」と回答した理由を尋ねてみたい。自由記述で「アプリがあっても使わなければ宝の持ち腐れ」「タイムリーな話し合いが必要」などがあった。 3.国際的な共同と研究成果:フィンランドのTurkuで行われた欧州発達心理学会での招待シンポジウムに登壇し、本システムの紹介を含む日本のいじめ研究と対策について紹介した。9月には共編著「SOGI Minority and School Life in Asian Contexts:Beyond Bullying and Conflict Toward Inter-Minority Empathy」が刊行され、12月には、いじめとSOGIマイノリティに関する取り組みを推進した元ユネスコ本部職員と、タイの研究者を招聘し、日本発達心理学会のプレカンファにも位置づけ、発刊記念シンポジウムを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、奈良県内での「いじめモニタリングシステム」の先行実施をふまえて、9月に全県の公立小学校等への実装ができた。「気付き見守りアプリ」と命名された。「奈良県いじめ防止のプラットフォーム」の一部として運用されていく。 国際学会の招待シンポジウムでの発表も、海外の研究者の招聘も行うことができた。 導入後の状況に関する調査も実施でき、奈良県いじめ対策連絡協議会で報告した。
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今後の研究の推進方策 |
1.「いじめモニタリングシステム」の改善:全県の公立小学校等への実装後、「システム入力の際の動きが遅い」などの課題が明らかになっている。また、そのほかにも改善すべき点があると思われるので、精査し改善していく。また、いじめ以外の課題への対応を目指しての拡張を検討する。あわせて、保護者への情報提供や支援の仕組みに関しても、検討していく。 奈良女子大学の伊藤美奈子教授と共同し、児童が回答するアンケートのデータと、この教員による気付きのデータを統合しての分析を行うことも検討していく。 2.教師のいじめ対応効力感尺度による調査の実施:昨年度は、「いじめ対応効力感尺度」のなかの一部の項目を用いて、複数の自治体で校長等の管理職及び生徒指導担当教員への調査を行った。令和6年度は、複数の自治体で、教員全体への調査を実施する。そのなかで、事例記録をAIが学習し、新たな事例の際の支援に役立てる仕組みについても、AI活用の専門家の支援を得ながら取り組んでいく。 3.国際的な共同と研究成果の論文・著書:現在のところ、国際学会への参加の予定はないが、海外の研究者を招聘する可能性がある。少なくとも、日韓の二国間交流事業で韓国の研究者との交流を昨年度から行っているので、その交流の際に、このシステムの成果を伝えていく。また、韓国の研究者が1名、本年9月から1年間、大阪教育大学にサバティカルで滞在するための手続きを行っているので、このシステムの紹介をしていくとともに新たな共同をしていく。
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